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株式会社エー・イー・エス

3次元CADを呼び出すマクロを自社開発し、ドキュメント作成作業を自動化。設計レビューの工数を大幅に削減

株式会社エー・イー・エスの事業の主軸は、自動車関連プラントの設計請負と設計レビュー。その設計レビューでは、設計・部品・製造工程の各情報を1枚に集約したドキュメントを顧客に提出していた。課題となっていたのは、その作成に要する工数。複数のシステムからデータを張り付けていたので、複雑なものでは丸1日かかることもあったという。
そこで、同社はMicrosoft Excelから『CATIA V5』を呼び出すためのプログラムをVisual Basic for Applicationsを使って自社開発。現在では、一瞬の作業となっている。

導入の狙い
設計レビュー用ドキュメントの作成に要する工数の削減。
自動車生産ラインにおける装置の配置シミュレーション。
リバースエンジニアリング業務での3次元スキャンデータの図面化。
導入システム
3次元CAD『CATIAV5』
導入効果
ドキュメント作成を1日から一瞬に短縮。
構内物流の検討に3次元データを活用。

設計情報と部品構成情報を合わせて取り込み、製品生産イメージを工程別に見せるドキュメントを作成し、顧客に提示している

設計情報と部品構成情報を合わせて取り込み、製品生産イメージを工程別に見せるドキュメントを作成し、顧客に提示している

国内外の自動車関連プラントで設計請負と設計レビューに携わる

横浜市に本社を置く株式会社エー・イー・エス(以下、エー・イー・エス)は、自動車関連プラントを専門とするエンジニアリング企業として知られている。法人設立は、2004年6月。千代田化工建設株式会社で自動車プラント事業に携わっていたメンバーが中心となり、株式会社宮津製作所と双日株式会社の2社を戦略的パートナーに迎えてビジネスをスタートさせた。

同社がコアコンピタンスに掲げるのは、「リーン生産システム」「品質管理能力」「ターンキー能力」「コンサルティング能力」の4点。さらに、技術統括室・副室長の浅井寛氏は「プロジェクトマネジメントも、同業他社にない弊社の強みです」と付け加える。

特定の自動車メーカーのグループに属しておらず、海外比率が高いこともエー・イー・エスの特徴だ。「国内メーカー各社のほか、欧米メーカーの海外現地法人や各国の地場メーカーからも幅広くお仕事をいただいています」と、浅井氏。例えば、タイには約50名(契約社員を含む)、インドには約10名(同)を常駐させ、現地スタッフを指導しながら自動車生産ラインの設計からプロジェクト管理までを請負(ターンキー:完全引き渡し)方式で引き受けていると言う。タイでのビジネスは、既に10年以上続いており、インドも4年目に入った。

技術統括室 副室長 浅井寛氏

技術統括室 副室長
浅井 寛氏
「工数削減のメリットは絶大。以前は丸1日かかっていた作業が、ほんの一瞬で済むようになりました。設計や管理の品質だけでなく、コスト面でも競合他社との競争に打ち勝つことができます」

設計請負と並ぶもう一つの重点分野が、設計のレビューだ。現在では、中進国の自動車メーカーが独自の車種を開発・製造する例も増えてきた。ところが、そうしたメーカーから「自分たちで設計してみたが、製造に入るとなかなか品質が出ない」という相談が同社に寄せられているのだ。このような問題の解決に専門的な立場からあたるのが、エー・イー・エスの設計レビューだ。「日本の生産技術の視点で設計を見直してみませんかとご提案し、お客様と一緒になって、より良い設計にしていくための活動に取り組んでいます」と浅井氏は説明する。

生産ライン設備のシミュレーションや 建屋内部の再現に3次元CADを活用

これら業務を遂行するのに欠かせないのが、エンジニアリングの品質と効率を高めてくれるIT。同社では、設立当初から自動車業界標準の3次元CAD『CATIA』とデジタルマニュファクチュアリング/プロダクションツール『DELMIA』をメインのエンジニアリングツールとして活用してきた。

「そもそものきっかけは、自動車の車体組み立て工場における溶接ロボットの配置シミュレーションでした」と語るのは、技術統括室・デジタルエンジニアリング技術担当チームリーダーの中薗昌彦氏。
「組み立てラインの限られたスペース内で必要な溶接作業をこなすには、何台のロボットをどのように配置するのが良いか。経済性も考慮した解を求めるには、『CATIA』と『DELMIA』の組み合わせが最も適していました」と振り返る。

『CATIA V5』と『DELMIA』の組み合わせは、治具の設計にも使われている。「一般的に治具は治具メーカーさんが作られるので、私どもが担当するのはコンセプト設計までです。ただ、特別な治具については弊社でフルに設計することもあります。以前は治具設計や建屋などの設備設計を2次元CADで行っていたのですが、生産ラインの自動化シミュレーションをするには治具などの設備も3次元化しておく必要があるため、こちらでも『CATIAV5』と『DELMIA』を使うことにしました」と浅井氏。3次元で検証することによって問題の早期発見で手戻りが減り、設計工数も約50%となり、納期短縮につながったと話す。

さらに、『CATIA V5』と3次元スキャナとの連携という利用もしている。この使い方をしているのが、既に存在している物を図面に起こす「リバースエンジニアリング」という業務。実際には、建屋内部を3次元スキャナで計測し、柱や照明器具などを点群データから簡易的に3次元モデルにし、生産設備を配置した際に干渉などの問題がないかをシミュレーションする。ここに『CATIAV5』が使われているのは、点群データを軽量に取り扱えるため。「3次元スキャナは自動車生産ラインの設備を図面にするために導入したのですが、現在では、重電、鉄鋼、石油化学などの案件で使われることが多くなっています」と中薗氏は説明する。

技術統括室 デジタルエンジニアリング技術担当 チームリーダー 中薗昌彦氏

技術統括室
デジタルエンジニアリング技術担当
チームリーダー
中薗 昌彦氏
「部品の寸法と質量から適切なパレットを選ぶためのプログラムもできあがり、構内物流の検討に使える目処が立ちました。今後は、みんながマクロを使えるように指導していきたいと思います」

Excel、『CATIA V5』、AutoCADのそれぞれのマクロの仕様の違いに、手こずったという

Excel、『CATIA V5』、AutoCADのそれぞれのマクロの仕様の違いに、手こずったという

ただ、エー・イー・エスの売り上げに大きな比重を占める設計レビューについては、『CATIA V5』と『DELMIA』の連携だけで品質と効率を高めるのは難しかった。「設計レビューでは、設計情報、部品情報、工程情報などを一つにまとめたドキュメントをお客様から求められるのが普通です。ところが、いろいろと調べてみたのですが、その作業を自動的に行ってくれるようなツールが見つかりませんでした」と中薗氏。それならば……と、ドキュメント自動作成ツールを自分たちで作ろうということになった。

また、工数とコストの点からも、設計レビュー用ドキュメントの自動化は強く求められていた。浅井氏によると、当時は「自動車の組み立て工程ともなりますと、関わってくる部品点数は”万”単位のオーダーになります。以前は部品の名称や図版を一つずつ手作業でコピー&ペーストしていましたので、作業工数も膨大。複雑なものでは、A3サイズの資料1枚を作るのに丸1日かかることも珍しくありませんでした」という状態。自動化ツールを自社開発するために多少の社内投資をしたとしても、長期的には大きなコスト削減効果があることは明らかだった。

VBAマクロで『CATIA V5』を呼び出しデータの張り付けを自動化

そもそも、設計レビュー用ドキュメントの作成に手間がかかるのは対象のデータが複数のシステムに散在しているため。設計情報は3次元CADから取り出せるが、部品情報は部品表(BOM)のデータベースから、工程情報は生産管理システムからインポートしてこなければならないのである。「我々の設計レビューでまず考えるのが、どういう順序・工程でものを作っていくかということ。その後に、それぞれの工程に3次元CADのツリー構造やBOMの部品情報を当てはめていきます」と中薗氏が説明する。

そうしたバラバラのデータを自動的に集めて、ドキュメントに自動的に張り込むために、エー・イー・エスが選んだのは、Microsoft Excelのマクロ言語であるVisual Basic forApplications(以下、VBA)を使う方法だった。つまり、設計レビュー用ドキュメントをExcelのシートとして作成し、シート内にあらかじめ組み込んでおいたVBAから『CATIA V5』などのマクロやアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を呼び出してデータの張り込みを自動化しようとしたのである。

ただ、その仕組みを完成させるまでの道のりは決して平坦なものではなかった。まず必要だったのが、VBAを使える人材の養成。「VBAでプログラムを組める社員が1人しかいなかったので、大塚商会さんにお願いして1日コースの教育サービスを開いてもらいました」と中薗氏は振り返る。

最大の難関は、『CATIA V5』のマクロに関する技術情報の収集だった。
「自分たちのしたいことをするには、どのように書けばよいかを突き止めるのが、結構大変でした。インターネットで英文の資料を漁るわけですが、思ったとおりの使い方がすぐに出てくるわけではありません」と浅井氏。「普通の探し方では見つからなかったのに、ひょいと思いついてヘルプファイルを見るとそこに載っていた、というようなこともありました」

苦労の末に完成したVBAベースの自動化ツールは、設計レビュー用ドキュメントのExcelシート内のボタンに割り当てられている。基本的な情報をExcelシートに入力してからこのボタンをクリックすると、『CATIA V5』やBOMから取り込まれたデータが自動的に張り付けられる。浅井氏は、「工数削減のメリットは絶大。以前は丸1日かかっていた作業が、ほんの一瞬で済むようになりました」とその効果を語る。

また、VBAで記述するプログラムの中身を変えれば、さまざまな用途に転用できることも大きなメリットだ。「部品の寸法と質量、生産上の要求を3次元モデルから求めて適切なサイズのパレットを選ぶプログラムもできあがり、構内物流の検討に使える目処が立ちました」と中薗氏は説明する。

経営面での効果として浅井氏が挙げるのは、コスト削減。価格のみを武器にする競合他社との競争に打ち勝つには、設計そのものや管理の品質だけでなく、徹底したコスト削減が求められる。だからこそ単純作業はなるべく自動化し、より知的なプロセスに労力を注ぎ込んでいかねばならない。

プログラミングへの壁を低くしてマクロを使える人材を増やしていく

ひとまずの成果を得たエー・イー・エスは、次のステップとして、より多くのエンジニアが実務でVBAや『CATIAV5』、その他のCADのマクロを使いこなすことを目指している。

「凝ったプログラムをみんなで共用するだけでなく、各自がマクロのカスタマイズをできるように指導していきたいと思います。簡単なところでもいいですから手を入れられるようになれば、仕事の進め方や生産性もずいぶん違ってくるのではないでしょうか」と中薗氏。浅井氏は、「設計業務に集中している人にとって、マクロでのプログラミングには高い壁があるのも確か。その壁を低くしてあげることによって、二の足を踏んでいる人を引きずり込んでいきたい」と考えている。

CATIAによる風洞模型の設計

インドのアショク・レイランド社から送られた工場建設の感謝の盾

技術情報を取得するのに苦労したという経緯から、エー・イー・エスが大塚商会に特に求めるのは『CATIAV5』のマクロに関する技術的なサポート。ツール開発の効率を高め、より多くの作業を自動化するためにも、大塚商会を通じて最新の技術情報を入手したいというのが中薗氏の願いだ。

単に3次元CADを使いこなすだけでなく、VBAによるプログラミングで作業の効率を高めていく。こうした進取の姿勢は、エンジニアリング業に限らず、どのような業種・業務にとってもビジネスを成功させるためのカギとなるに違いない。

株式会社エー・イー・エス

業種 プラント関連エンジニアリング
事業内容 自動車関連プラントの設計請負(ターンキー)、エンジニアリングコンサルティングサービス、プロジェクトマネジメント
従業員 約90名(2011年4月現在)

株式会社エー・イー・エス

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