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株式会社ホクサン

手作業から3次元CADに転換。納期の大幅短縮と精度向上を実現し新たな事業展開で売上拡大を目指す

株式会社ホクサンは、自動車のバンパー部等に取り付けるエアロパーツの製造を得意とするプラスチック加工の企業だ。同社は2006年までマスターモデル成形を手作業で行っていたが、取引先メーカーからの要請で3次元CADを導入。短期間で3次元CAD操作に習熟し、リードタイム短縮とコスト削減、製品の精度向上など多くの効果を上げている。さらに大手自動車メーカーのOEM製造だけではなく、自社ブランド“H-STYLE”の製造販売にも着手。同社の主要な売上を担うまでに事業拡大した。新システム導入をきっかけに、さらなる設備投資など積極的な経営戦略を描き始めている。

※本ページは大塚商会が発行している 「成功事例集2010(製造業編)」 から転載したものです。
※2010年1月取材

導入の狙い
クライアントである自動車メーカーとのデータ共有
導入システム
3次元CAD『CATIA V5』
3次元CAD/CAM『Mastercam』
導入効果
人件費・材料費等コストの大幅削減
設計精度の向上
納期短縮
外注費削減
デザイン・設計からモデル・型製作、量産までの一貫生産体制を実現

高い柔軟性と耐衝撃性を備え、リサイクルも可能なABS樹脂によるエアロパーツ等を製造している

高い柔軟性と耐衝撃性を備え、リサイクルも可能なABS樹脂によるエアロパーツ等を製造している

ABS樹脂の真空成型加工を手掛けるアフターパーツ製造会社

神奈川県横浜市の株式会社ホクサンは、自動車のバンパー部分に取り付けるエアロパーツ等の設計・製造等を手掛ける、ABSプラスチックの加工を得意とする企業だ。自動車の関連製品を手掛けるメーカーは、大きな製品や金型を大量に保管する必要性から地方に大規模な工場を構えることが多い。同社は、あえて首都圏に根を下ろすことで大手ディーラーとの距離の近さを強みとして、小規模ながらデザイン・設計からマスターモデルの作成、真空成型での試作、量産までを社内で一貫して生産する体制を整え、幅広い車種に対応した製品作りで評価されている。

「大量生産に適した射出成型や1点当たりの単価が高くなるFRP樹脂製品なら、他社も思い当たりますが、ある程度の量産化も可能で環境に優しいというニーズに適した真空成型によるABS樹脂加工を一貫体制で担えるのは関東近県では当社だけだと思います」とH-STYLE事業部 チーフマネージャーの星川 賢氏は同社のアドバンテージを語る。

1994年の設立当初はOEM製造からスタートし順調に売上を伸ばしていた。しかし近年、自動車販売の低迷傾向により自動車メーカーからの受注が伸び悩んだことから、自社ブランド“H-STYLE”を立ち上げ、よりデザイン性を追求したオリジナルパーツを製作。カー用品店などで販売されるとカーマニアから人気を集めた。現在では35~40車種に対応し、1車種で多いものでは9パーツのラインナップを有している。売上比率においてもOEM製造によるものと同社の売上を二分するまでに急成長を遂げている。

星川氏は「自動車の売れる台数が少なければ、待ちの仕事であるOEMは必然的にパイが小さくなるので、うちの製品も売れなくなります。そこで、多車種少量生産で勝負することにしたのです」と力強く語る。

こうした事業戦略の転換を促し、デザイン・設計から製造・販売までの一貫体制を作ったのは、実は3次元CAD/CAMの導入によるものだった。

H-STYLE事業部
チーフマネージャー
星川 賢氏

H-STYLE事業部
チーフマネージャー
星川 賢氏
「大塚商会にはスペシャリストがそろっていて、困ったことがあると、いつも助けてもらっています。特にCAD導入当初、『たよれーる』コールセンターには大変お世話になりました」

取引先からの要請がきっかけで一気に3次元CAD運用へ

同社が、3次元CAD『CATIA V5』とCAMシステム『Mastercam』を大塚商会から同時導入したのは2006年3月のこと。当初は積極的に導入を考えたのではなく、取引先の自動車メーカーから、CADのデータを渡すので同じ環境を整えてほしいと要請があったからだという。「それで受注が増えるならと思い、安くはありませんがCAMと合わせて導入を決めたのです。他社からの提案も受けていましたが、大塚商会さんからコストと当社の業務内容に合う提案を受け、大塚商会さんを選びました」と星川氏は導入の経緯を語る。

OEMの場合は、発表前のニューモデルの車体デザイン画とバンパー部分のCADデータが取引先メーカーから送られてくる。まず『CATIA』で車体のバンパーに圧着する面から書き起こし、そこからキャラクターラインを作るといった手順で設計していく。次に『Mastercam』でNCデータに変換して、NC加工機にかけマスターモデルを切削し、その後マスターモデルから金型を作成し真空成型によって量産するという製造工程だ。

事前に準備をする時間もないままの慌ただしい導入で、最初の1年くらいは現場の混乱も多かったという。「『CATIA』による設計も導入当初は外注に頼みました。その後、徐々にデータを確認しながら3次元CADの操作方法を覚えたのです。当時は大塚商会さんの担当者に来てもらったり、『たよれーる』コールセンターに毎日電話したりしていました。言葉だけではわからない作業ではリモートサポートを受けながらデータを作ることもありましたが、『何ならそちらで全部作ってください』とお願いしたくなった時もありました。1年ほどかけて数多くの車種を手掛けて、やっと使い方が身に付いてきたという感じです」と星川氏は冗談めかして当時を振り返る。

3次元CADの導入前は、新車デザインのCG画像と実車を元にクレイや木材でマスターモデルを製作していたという。メーカー側のデザイナーのチェックを受けて修正の指示があれば、また手作業で直すことの繰り返し。タイトな日程の中で少しの修正でも最初から作り直さなければいけないということも多かった。

3次元CAD導入以前から設計を担当しているH-STYLE事業部 CS担当の近藤 智亮氏は「手作業のモデル製作は、うまくいかないと盛って削って盛って削ってという作業の連続でした。時間もかかりますが、材料費もばかになりません。CADを導入すれば修正作業が簡略化されることは明らかでしたし、手作業の頃に泣きながら修正していたことを思うと、CADの習得にかかる苦労もあまり感じませんでしたね」と語る。

H-STYLE事業部
CS担当
近藤 智亮氏

H-STYLE事業部
CS担当
近藤 智亮氏
「バンパーのデータをゼロから作る自社ブランドの製品も、いかに車に取り付けやすくするかが重要だと考えています。『CATIA』による設計の精度向上と修正の手軽さには非常に満足しています」

3次元CAD最大の効果は作業時間短縮と精度向上

自動車のエアロパーツというと、整備工場でなければ取り付けが難しいかと思われるかもしれない。「実は当社製品のようなABS樹脂製であれば、バンパーを外さなくても両面テープで取り付けられます。新車でも、メーカーの工場ラインで取り付けるとその分コストがかかってしまいます。OEMパーツとしてメーカーに供給するには、ディーラーで営業担当がサービスとして貼り付けられるような仕様が求められます。しかし確実に脱落を防止するには、接着率を8~9割に保たなければなりません。本体を傷つけることなく、ぴったりと圧着するには高い精度の製品が求められます。バンパーのデザインが複雑な凹凸を持っていたとしても、正確に取り付けられるようにするため、今では3次元CADは欠かせないものになっています」と星川氏は説明する。

近藤氏も手作業の時代と比較して3次元CADの効果を感じるのは“精度の高さ”だという。「どんなに腕のいい職人でも、人間の手で造るモデルでは完全な左右対称というのは不可能です。バンパーは非常に複雑で繊細な形状曲面をしていますから、人間の手でクレイモデルを薄く一削りしただけでも、バンパーと合わなくなってしまう。しかしCADから作成すれば、データ上は完璧なオフセット面を作り出すことができます。かつてはそこまでの精度は求められなかったのですが、お客様の目が肥えてきたことと、売れない時代により多くの付加価値が求められることから、エアロパーツに対する要望も高くなったと感じています」と話す。

加えて製造工程の第一段階であるデザイン・設計・マスターモデル作りの時間が大幅に短縮できたことで、それまで1つの製品につき2.5カ月かかっていた納期が1.5カ月と1カ月ほど短縮できている。「手作業だった当時と比較して、1人で1カ月半かかっていたモデル作成が約10日にまで短縮できています」と近藤氏。大幅な作業時間の軽減は、人件費の削減に直結する。設計段階での精度が上がったことから、製作途中の修正や手戻りも減り、精度向上の点からもコスト削減を実現している。

しかしCADデザインによる独特の苦労もあったという。「車体全体のCADデータがあれば、パーツを取り付けた後についても事前にシミュレーションできるのですが、取引先からのデータはバンパーの部分しかありません。実際に車に取り付けた時にどんなイメージになるのかが今ひとつわからなくて、CAD移行当初は思い通りに仕上がらない時もありました。それでも数をこなしていくうちに、データチェックの時点で『あ、いいね』と思うデザインができるようになりました。エアロパーツは新車の販促の材料として扱われることも多いので、デザインにはこだわっています」と近藤氏は明かす。

OEM製造の伸び悩みから自社ブランド重視に戦略を転換

こうして『CATIA』を使いこなすようになったが、自動車販売の落ち込みもあって、OEMの受注は期待通りには増えなかった。星川氏は「せっかく3次元CADを入れたのだから、自分たちで使うことはできないかと考えました。CAMを同時に導入したのも、設計で作ったCADデータを製造工程まで活用し、それまで外注に頼んでいたモデル切削や金型製造を内製化することも見越しての導入でした。そうした社内一貫製作体制を作ることで、カー用品チェーン店や個人ユーザー向けの自社ブランド開発に力を入れて行くという経営方針転換が可能になったのです」と話す。

自社ブランド“H-STYLE”の場合は、メーカーからバンパーのデータが入手できるOEM製造と違って、実車を用意して正確な車体データを測定するところから作業が始まる。

「たとえ高級車でも当社で実車を購入し、接触型の3次元測定器で車体のデータを計測します。丸一日かけて測定した1,000カ所ほどのデータを『CATIA』に取り込み、画面上に星空のように広がっているXYZ軸のデータの点と点を結んで面を作っていくとバンパーなどの形が現れてきます。手作業で3次元データを測定するので、それぞれに誤差が生じているデータの点と点を『CATIA』でつないで滑らかにしていく作業が一番大変ですね。カメラで撮影するだけでデータがとれる3次元スキャナがあると便利だろうと、大塚商会さんから提案をもらっているのですが、投資対効果を考慮し、今後検討していきたいですね」と星川氏は言う。

3次元CAD導入により、さまざまな効果が現れたことで、新たな展望も見えてきたという。

「現在、当社で所有しているNC加工機では、スチール型を削り出すことはできないので、どうしてもモデルを作って型を取るという工程が必要になります。NCフライスを導入して、モデルレスで金型成形ができるようになれば、モデルの材料費も含めて、大幅なコスト削減になり、さらに大きな効果を生むことができます」と星川氏は今後の抱負を語る。

3次元CADの導入により、作業効率をアップさせ、コスト削減を実現。自社ブランドの成長にもつなげた同社では、厳しい自動車部品業界での生き残りをかけて、独創性をますます強化し、新たな段階を目指そうとしている。

左が『CATIA』の3次元データ、右が『Mastercam』でCAMに変換したデータだ

左が『CATIA』の3次元データ、右が『Mastercam』でCAMに変換したデータだ

株式会社ホクサンのホームページ

株式会社ホクサンのホームページ

株式会社ホクサン

業種 プラスチック加工製造業
事業内容 模型・木型・樹脂型・金型の企画・製作・販売・プラスチック加工(自動車エアロパーツや医療機器部品の製造等)
従業員 25人(2010年1月現在)

3次元CADデータ導入を契機に新規事業を展開した株式会社ホクサン

3次元CADデータ導入を契機に新規事業を展開した株式会社ホクサン

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