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田屋エンジニアリング株式会社

田屋エンジニアリング株式会社

田屋エンジニアリング株式会社 代表取締役 田屋惠唯氏

マニアだけではなく誰もが安全に楽しめるラジコンヘリコプターを作りました。ある意味SolidWorksの集大成のような製品です。

横浜市青葉区の田屋エンジニアリングはラジコンヘリコプターで世界トップレベルの技術を誇る。田屋惠唯社長自身がSolidWorksを使って開発し、 2008年12月にリリースされた「Innovator」は、これまでのラジコンヘリコプターとは一線を画す製品だという。同社を訪問、田屋社長に詳しく伺った。

田屋エンジニアリング株式会社

田屋エンジニアリング~ラジコンヘリコプターの世界ブランド

― 田屋エンジニアリングの業態をお聞かせください。

田屋エンジニアリングは、ラジコンヘリコプターの設計・開発を行う会社です。1998年に発売した「Amigo」は日本だけでなく海外のラジコンファンにも厚く支持され世界的ベストセラーになりました。

田屋エンジニアリングが行うのは製品の設計・開発の部分です。生産と販売に関しては、工場設備と販路を持つ台湾の上場企業が行い、国際分業の形で全世界で販売を行っています。(注:日本市場に関しては田屋エンジニアリングが総代理店)。スタッフは8名です。

ホビー用の設計技術や制御技術を生かし、JAXA(宇宙航空研究開発機構)やその他の依頼により、気象観測や災害監視などを目的とした無人飛行機の研究開発支援も行っています。

― 田屋エンジニアリングではSolidWorksをどのように活用していますか。

SolidWorksは1996年に初めて導入しました。現在はProfessionalとPremium 各1本をラジコンヘリコプターの設計に使っています。

私は海外出張が多いため、ワークステーションだけでなくノートPCにSolidWorksを入れてどこででも設計をしています。先日は空港の待合室でフライトを待つ間、急ぎの部品を設計し、目的地へ到着したときすでに試作部品が完成していたことがありました。

ドイツで行われた発表会で新製品Innovatorのデモ飛行をする
田屋氏(左端)。

ドイツで行われた発表会で新製品Innovatorのデモ飛行をする
田屋氏(左端)。

画期的なラジコンヘリコプターをSolidWorksで設計

― 田屋エンジニアリングでは2008年12月に新製品Innovator(イノベーター)を発売しました。今日はこの新しいラジコンヘリコプターについて伺っていきたいと思います。まず、Innovatorのコンセプトについて教えてください。

このヘリコプターは、いわゆるラジコンファン、ラジコンマニアだけのものではなく一般にも通用する製品として設計しました。本物のラジコンヘリコプターを誰にでも安全に簡単に楽しんでいただこうというコンセプトです。

これまでのラジコンヘリコプターは飛行前の機体の調整が難しく、操作も複雑なことが普及しない原因になっていました。独学は難しいため誰かに教えてもらう必要がありますが、趣味としての市場がまだ小さいためスクールや講習などの場も少なく、始めたはいいけれど飛ばない、面白くない、思ったより難しい、ということですぐにやめてしまう人も少なくありませんでした。

また、飛行中は大きな音で広範囲に飛行するため飛行場所を確保するのが大変ということも、普及を妨げる要因の一つでした。

このようなラジコンヘリコプターの問題点を解決したのがInnovator です。Innovatorは、これまではとても難しかった機械的な調整や送信機上で行う難解な設定などの操作を、機体に内蔵された専用コンピュータが安全性を最優先した上で最大の飛行パフォーマンスが得られるように統合制御します。

新製品のInnovator EXP。

室内での飛行も可能。

(上)新製品のInnovator EXP。(下)室内での飛行も可能。

― これまでのラジコンヘリコプターとInnovatorとの機能の違いをもっと具体的に教えてください。

具体的にまとめると以下のようになります。

1.送信機
  • 従来製品:飛行前の設定や飛行中の調整は操作方法が難解な送信機で行わなければならなかった。
  • Innovator:機体のコンピュータにあらかじめ最適な設定データが内蔵され、送信機での設定や微調整を不要にした。送信機は操縦スティックだけの非常にシンプルなものになっている。

左が従来の送信機。スイッチやボタンが多くLCDの操作パネルには専門コードが表示され、初心者には難解そのもの。右はInnovatorのシンプルな送信機。

左が従来の送信機。スイッチやボタンが多くLCDの操作パネルには専門コードが表示され、初心者には難解そのもの。右はInnovatorのシンプルな送信機。

2.安全性
  • 従来製品:意図に反して勝手にローターが回りだしたり、バッテリーが燃えたりするようなこともあった。
  • Innovator:安全な回転数に自動的に制限したり、機体や電池の状態を常にチェックして問題のある場合はパイロットに知らせたり、危険な場合は飛べなくするなど、安全性を最優先した電子制御が行われる。
3.飛行場所
  • 従来製品:機体も大きく音も大きいので、ラジコンヘリコプター専門の飛行場や、人がいない広い場所を探さなければならずマーケットを拡大できなかった。
  • Innovator:軽量で音が小さいため、飛行場所の制限は大きく緩和され、室内でも飛ばすことができる。
4.部品
  • 従来製品:汎用部品の集合で作られているため、同じ機種でも部品の配置や個体差などにより、一機一機異なる調整が必要だった。さらに、汎用品はコピーをされやすかった
  • Innovator:使用部品は電池に至るまですべて専用に設計。さらに機体や送信機ごとのわずかな誤差もキャンセルするキャリブレーション機能などにより、汎用品のような機体による個体差がきわめて少なく、設定データの共有が可能になった。また電池にID識別機能をつけるなどコピー防止策をとっている。
5.無線通信
  • 従来製品:決められた周波数帯での通信であるため、同帯域内の他の通信の影響を受けて誤作動してしまうことがあった
  • Innovator:スペクトラム拡散方式の通信を専用に開発したため、周波数に関係なく他の通信の影響を受けず、多数のヘリコプターを同時に飛行させられるようになった。

(上左、上右)Innovatorのモデリング画面。(下左)統合制御のモデリング画面。(下右)黄色い部分が統合制御部分。

(上左、上右)Innovatorのモデリング画面。(下左)統合制御のモデリング画面。(下右)黄色い部分が統合制御部分。

― 開発期間はどれぐらいかかったのでしょうか。

4年かかりました。構想を考えるのに1年、設計は2~3ヶ月、ソフトウェアの設計仕様書を書くのに3ヶ月です。最も大変だったのはソフトウェアの開発で、3年かかりました。

メカの設計が終わった段階で書いた仕様書は非常に完成度が高く、長期に及んだソフトウェアの開発中も最後までほとんど変更する必要がありませんでした。このようなしっかりした仕様書が書けたのは、SolidWorksが事前に全てのイメージを私に与えてくれたからだと思っています。

新製品の開発にSolidWorksが果たした役割

― 今回のInnovatorの開発にSolidWorksはどんな貢献をしましたか。

Innovatorという製品は、SolidWorksの集大成と言えるかもしれません。今申し上げたとおり、SolidWorksによる設計で初期にしっかりとしたイメージが確立できたということがまずあります。そのほか今回は2つの大きな役割がありました。「3D取扱説明書」、そして「プレゼンテーション」です。

― それぞれについて詳しく教えてください。まず一番目、3D取扱説明書とは何ですか。

Innovatorの取扱説明書は膨大な量になるはずでした。機体はもちろんスピードコントローラー、電池に至るまで、部品それぞれに詳しい説明書が必要です。これらをすべて読むのは大変ですし、紙での説明では伝わり方に限界があります。

そこで、SolidWorksのドキュメント作成ソフト3DVIA Composer を使ってアニメーションによる11カ国語対応の3D取扱説明書を作りました。飛ばす手順はもちろん、飛ばす前に必ず行わなければならない調整の手順などを、PC画面上でアッセンブリーを分解したり回転させたりクローズアップを使ってわかりやすく説明することができます。このアニメーションの作成には、 SolidWorksのデータをそのまま使っています。

今はまだできませんが、将来的には部品をクリックするとそこから購入できるようにまでしていきたいと思っています。

私は今回の3D取扱説明書の制作を終え、今後ラジコン模型にかかわらず世の中全ての取扱説明書が3Dに変わっていくことを確信しました。

Innovatorに添付される3D取扱説明書(DVD)。ヘリコプターの構成、操作方法、メンテナンスのしかたまで、SolidWorksのデータによるアニメーションでわかりやすく解説されている。

Innovatorに添付される3D取扱説明書(DVD)。ヘリコプターの構成、操作方法、メンテナンスのしかたまで、SolidWorksのデータによるアニメーションでわかりやすく解説されている。

― では次に、プレゼンテーションについてお聞かせください。

今回の製品の開発に当たっては、今までのラジコンヘリとの大きな違いにまわりの理解を得るのが大変でした。生産販売を行う台湾の会社の社長にこのInnovatorのコンセプトを理解してもらうのに3年かかっています。「一般向けの製品を作らなければ普及しない、一般に受いられるためには完成された工業製品であることが必要」「部品を全て専用に開発し、全体を統合して制御しなければ安全性もコストパフォーマンスも得られない」「コピーされない付加価値の高い製品づくりが必要である」など説明してもなかなか理解していただけませんでした。開発費も当初予定していた予算の10倍かかってしまったため私が持ち出しをして乗り切りました。

しかし製品が完成し、昨年5月に上海で行われた世界ディーラー会議で、前述した3D取扱説明書を使いながらプレゼンテーションしたところ、場内で拍手がわき起こり、それまでの苦労が吹き飛んだ想いでした。

設計、3D取扱説明書、さらにそれを皆に理解してもらうこと、これらすべてSolidWorksがなければできなかったことでした。デザイナーなどを介することなく、私のような技術者がプレゼンや提案を効果的にできるところもSolidWorksのすばらしいところだと思います。また何より私自身が理解を高められます。

― ところで、かつて2次元CADをお使いだったということですが、2次元CADと3次元CADとの違いは何ですか。

2次元CADの導入も比較的早かった方だと思いますが常に設計の合理化には興味がありました。自分と周りの人(業者)に自分のアイデアを正確に具現化できる最良の方法を追い求めてました。結局他人に形状を伝えるには実物に近いビジュアルに勝るものはありません。2次元CADを使っているとき、他にフリーハンドで3次元の絵を一杯描いて海外メーカーとのやりとりを行っていました。SolidWorksにしてからもう2次元は使わなくなりPCごと捨てました(笑)。

一番大きく違うのは、設計している自分がイメージしやすいこと。3次元で設計を行っている時は創造ですが、2次元の図面製作は時間のかかる作業でしかありません。

「これからは専用部品の時代。汎用部品を使った製品に未来はないと思います」 田屋氏

「これからは専用部品の時代。汎用部品を使った製品に未来はないと思います」 田屋氏

SolidWorksへの要望

― SolidWorksへのご要望はありますか。

バージョンアップのたびに機能がよくなっていますが、例えば今回電子基板のICなどの実装部品は一個一個時間をかけて手作りでモデリングしました。しかしSolideWorks2009には「circuitWorks」なる機能が備わり、次回は実装された電子基板が容易に作れそうです。

しかし機能追加は便利な反面、SolidWorksがなにやら複雑で難しいイメージを受けてしまうことがあります。鋸と鑿と鉋だけだった職人の道具箱に使ったことのない道具がいっぱい増えた感じです。でも実は便利な道具はいっぱいありそうです。したがって今までのように全て使いこなそうと思わず、今後も自分が使い慣れた道具をメインに時間の余裕があるときには新しい道具にもチャレンジしていこうと考えています。

大塚商会への評価

― 大塚商会への評価をお願いします。

大塚商会とは13年にわたる長いおつきあいで、SolidWorksはもう10年以上使っていますが、お話したようにSolidWorksの機能の発達に追いつかなくなり、「たよれーる」を頼りにしています。先日も、非効率なやり方をしていることを指摘されて、便利な機能の説明をしてもらいました。

そして大塚商会からは、ソフトウェアの保守に関してのオペレーションを参考にさせていただいています。SolidWorksのインターネット上からバージョンアップができる仕組みなどです。そのやり方をInnovatorのソフトウェアでやってみようと思っています。

現在ノートPCのセキュリティ対策を強化したいと思っているので、それについてもまた相談に乗っていただきたいと思っています。

今後の展開

― 今後の展開についてお聞かせください。

私はあまりビジネスに欲がなく拡大志向ではありません。エンドユーザーを喜ばすために最高の技術を提供する、技術者として納得のできる仕事をしてきました。今後もそれは変わりません。

ただ、これからの製品はすべて台湾製、中国製になっていくのは明らかです。どこで生産されたかということよりも、誰が設計したかが問われ、ラジコンの世界においてもより一層設計者の腕が問われることとなるでしょう。

これからもSolidWorksを便利な道具として、今回のInnovatorのように既存にはない画期的な製品をゼロから考えだし、世に送り出していきたいと思っています。

お忙しい中、ありがとうございました。

※ 田屋エンジニアリングのWebサイト
※ 取材日時 2009年5月
※ 事例インタビュー 取材屋

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