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株式会社今野製作所

株式会社今野製作所 執行役員 ものづくり本部本部長 技術部 部長 白須一博氏(右)、ものづくり本部 技術部 主任 菅原知史氏(左)

「せっかく3DCADがあっても、派生するものづくりツールがないと業務は何も変わりません」
SOLIDWORKSを核に、3Dデータを生かした製品開発で売り上げ10倍増を実現

バブル崩壊期の不況をきっかけに売り上げが伸び悩んでいた「爪つき油圧ジャッキ」のトップメーカー、株式会社今野製作所(以下、今野製作所)。同社では、業績を回復すべく、新しい顧客創出のためSOLIDWORKSを新たに導入し、その3Dデータを幅広く活用した「ものづくり体制」を構築。大きな成果を上げ始めているその取り組みについて、同社ものづくり本部本部長の白須一博氏と同技術部の菅原知史氏に伺いました。

株式会社今野製作所について

1975年、日本で初めて「爪つき油圧ジャッキ」を商品化した機械メーカー今野製作所。「イーグルジャッキ」の名で知られるその爪つき油圧ジャッキは、いまや国内シェア7割を誇る同社の基幹事業です。また、油圧関連製品やオーダーメイド板金加工品を設計、製造。それらが同社事業における2大柱となっているほか、福祉機器の開発・製造販売も展開しています。

1961年の創業以来、今野製作所は「お客様の“ほしい”を“かたち”に」をものづくりの基本理念に、徹底して顧客の立場に立ったものづくりで着実な成長を続けてきました。近年は業界の先陣を切って設計3次元化を推進。この業界では珍しいカスタマイズ製品の企画・開発、海外展開など、新たなマーケットの開拓を進めています。

設立 1969年10月
本社 東京都足立区
サイト http://eagle-jack.jp/index.php

油圧爪つきジャッキの主力製品G-60(写真)

油圧爪つきジャッキの主力製品G-60(SOLIDWORKSのモデルデータ)

3DCADとものづくりツールの活用が始まったきっかけ

爪つき油圧ジャッキは、工作機械などの重量物を持ち上げて運び、設置する作業に使われます。通常の油圧ジャッキは重量物の下に本体を入れるスペースがなければ使えませんが、爪を付けることでわずかな隙間さえあれば、低い位置からの重量物の持ち上げが可能になります。「イーグルジャッキ」は、創業者である先代社長が「こんな道具があったら」というユーザーの要望を受けて開発した今野製作所のオリジナル商品で、高度成長期の勢いと共に急速に売り上げを伸ばしました。しかし、バブル崩壊後、急激な景気の後退と相まって伸び悩みに直面。同じ頃、新たに就任した現社長(今野浩好氏)の指揮のもと、全社でものづくりの「カイゼン」と「新規顧客開拓」への取り組みが始まりました。

特に注力したのは、ジャッキ業界では他に例を見ない「特注品」への対応です。しかし、私(白須氏)が入社した当時は「設計者」が社内におらず、カスタマイズの引き合いは多くあったもののそれに応える開発体制がなく、年に数件ほどの個別対応が精一杯でした。職人が図面も描かずに勘と経験で作っては試し、直しては試しを繰り返し、苦労して完成させても利益もなく、納品後客先で壊れてしまうこともしばしばでした。

ユーザーの細かい要望に応えながら、きちんと利益を出していく特注品づくりをするため、熟練した職人が持つノウハウや膨大な製品一つ一つの設計情報を蓄積し共有して、それらを生かしながら合理的かつ効率的に設計できる開発体制が必要でした。そこで注目したのが3DCADの活用でした。

QCDのバランスを保つことで、1品ものの特注品でも効率よく作り、利益を確保できる点が当社の強みです(白須氏)

アナログ(職人)とデジタル(CAD)を総合してノウハウを蓄積

― 導入したSOLIDWORKSをどのように活用されたのでしょうか?

まず取り組んだのは、強度解析です。SOLIDWORKSとSimulationを導入し、解析と3D化を進めました。しかし、実際に解析してみると製品にはさまざまな問題がありました。例えば、製品によって安全率が異なっているなど、各製品の設計基準が統一されていませんでした。そこでまず設計手法を標準化し、誰でも蓄積したノウハウを生かした効率的なものづくりができるよう、設計の判断基準を固める必要がありました。解析の利用により試験の回数を減らすと共に、試験したデータと解析結果を両方利用し、そのデータを突き合わせることでノウハウを蓄積していきました。そのノウハウをデータとして蓄積するためのツールとしても解析ツールを活用しています。

また当時、Explorerでの3Dデータ管理に限界を感じていたため、SOLIDWORKS Workgroup PDMを利用することにしました。その頃、入社したのが菅原さんでした。菅原さんは自社製品の技術情報を棚卸しし、ものづくり体制の基盤を整えるため、製品を一つ一つノギスで計測。大塚商会のコンサルティングで策定した自社のモデリングルールにのっとり、かつ現場の職人のノウハウを盛り込みながら、丸3年をかけて200を越す自社製品の3Dデータ化を進め、PDMに蓄積していきました。

売り上げ を10倍に伸ばした「特注品」への取り組みによる効果

― この取り組みには、どのような効果がありましたか?

SOLIDWORKSやPDMの活用で自社の技術情報の棚卸しと標準化を進めたことにより、1品からでも利益を出せる体制が整い、以前は年間1000万にも届かなかった特注品の売り上げが、今では年間約8000万と約10倍に増えました。案件数も年間数件だったのが、今では100件以上をこなせるようになりました。また当時、並行して製造や営業も含めた全社での業務プロセスの見直しを進めていたこともあり、相乗効果で特注品事業はいち早く大きな成果を上げることができました。

成果は売り上げアップなど数字の面だけではありません。1番大きいのは SOLIDWORKSの活用以降、当社のものづくりのあり方そのものが大きく変化したことです。中でも顕著なのは、製品の信頼性の確保です。現在では特注品の開発でも、SOLIDWORKS上で強度解析などの事前検討ができるのでクレームはほぼなくなりましたし、3Dのイメージがあれば提案時も分かりやすく、ユーザーが求めているものと違うものを作ってしまうことがなくなりました。また、裏付けを持った技術により、経験の少ない若手営業でもベテランと同じように自信を持って提案できますし、流用設計がしやすい体制が整ったことによりCADによる設計時間が大幅に短縮され、提案のスピードも格段に速くなりました。このことも特注品事業の拡大に大きく貢献していると思います。

SOLIDWORKSの効果

― あらためて、御社にとってのSOLIDWORKSの効果とは?

3Dは2Dと違い、動きの確認ができたり、実際の寸法を当てはめた「リアル」な形として、自分が頭の中で考えた設計案が正しいかどうか確認できるツールだと思います。製造現場でも、組み立てや電話での打ち合わせの際SOLIDWORKSの画面を見ながら「人間図面レス製造」を実現しています。それまで口頭やメモだった修正内容などの情報をCADデータに記録として残すことができるようになりました。最初は3Dに抵抗を示していた職人も、一度、分かりやすくて仕事に役立つものだと分かれば使ってくれますし、今となっては、3DCADがないと何も仕事が進みません。

そして、特注品の開発では「今ほしいデータ」がすぐに取り出せる、SOLIDWORKSによる流用設計が非常に効果的です。一から設計するのであれば、どのCADを使っても正直一緒だと思いますが、流用設計をするならSOLIDWORKSをうまく使うのが1番です。

また、整備したSOLIDWORKSのデータは、PDMや解析はもちろん、例えばSOLIDWORKS Composerでアフターサービスや営業活動で活用している取扱説明書などのドキュメント類の作成に活用しています。SOLIDWORKSが使える設計者でなくてもCADのデータを2次利用できるという点がComposer導入の狙いで、3DデータさえあればComposerを使って、分かりやすいドキュメントを作成することができます。将来的にはドキュメント担当を設けたいと考えています。このように、3DCADから派生する周辺のものづくりツールがなければ、せっかくCADがあっても業務は何も変わらないと思っています。

1番最初のデータ化には苦労しましたが、データが整ってしまえば活用方法はいくらでもあります(菅原氏)

3Dの活用は次の時代への準備

― 次々と新たなツールに投資してきたのはなぜですか?

当社では、解析やPDMをはじめ、以前からCAMや3Dスキャナーと点群データ編集ソフトGeomagic Capture for Design X、ブラザー製の工作機など、3Dデータの活用の幅を広げ、効率を上げるためのツールを導入してきました。こうしたものづくりツールの積極的な導入は、私たち技術の役目と思い、意識的に先取りするようにしています。ユーザーの要望があってから対応しているのでは後れをとってしまいます。当社では、さまざまな助成金を活用して、こうしたツールへの先行投資をしています。

初期の導入から、5~6年がたち、効果が出てくるようになりましたが、当初は不安な面もありました。中にはまだ立ち上げ段階のものもありますが、導入したからにはやるしかない、成功するまでチャレンジするという意気込みで最適な活用方法を日々模索し、今の成果につながっています。

町工場から機械メーカーへ 今野製作所の新たな挑戦

― 板金事業でも「3Dものづくり」の展開を始めているそうですね。

板金事業では、理化学系の工場や研究所などで使う棚やテーブル、容器、収納ケースなどのステンレス板金加工を行っています。1品ものの開発が多い板金加工は定型化が難しく、油圧ジャッキでも経験したように、個々の職人の勘と経験に頼った開発になりがちでした。利益も出にくく、基本は手作りで、ノウハウも設計情報も何も残りません。また、設計者がSOLIDWORKSで展開図面を出しても、その通り信じてもらえず製造現場で寸法を微調整しているような状態でした。そこで、油圧ジャッキで成功したように、既存製品を3D化し、加工工程のノウハウを蓄積し標準化を進めるため、特に実物に近い伸び値の計算、板金部品の正確な展開形状の作成、板金加工のシミュレーションが可能なツール(CAL)と3Dスキャナーを導入し、利益を確保できる効率のよいものづくり体制作りを始めています。

また以前は、現物に合わせて「何か作りたい」「ここを直したい」というユーザーの要望があっても技術的に自社で対応できず、外注に出したり断らなければいけないことが多々ありました。現在は3Dスキャナーで、どのような引き合いにも対応できる体制を整えている最中です。さらに、図面がないものをスキャンして3Dデータ化できるというだけで、営業的にもその案件の「設計をつかむ」ことができ、その製品の製作まで受注できる可能性を高めることができます。またこれを新しくスキャニングサービスとしてもPRし活用していく予定です。

3DスキャナーGeomagic Capture for Design Xでのスキャニングの様子

― 海外への本格展開を見据え、ジャッキ製品のラインアップの見直しをされているそうですね。

海外展開には取り組み始めてはいるものの、実際に「Made in Japan」の品質を掲げて既存の製品を現地でそのまま展開しても、価格面で受け入れられませんでした。そこで、製品のラインアップを見直し、プロダクトデザイナーと協業するなど、デザイン面も含め、あらためて企画・開発を進めています。その第一歩となる新製品として、ジャッキの関連製品で「スマートドーリー(Smart Dolly)」という重量物を乗せて運搬する製品を近々発表します。製品としては昔からあったものですが、とても大きくて重たい製品で、現在に至るまで30年近く改良されないまま出回っていました。これをSOLIDWORKSで解析、必要な強度を維持しながら不要な部分をそぎ落とし、最終的には既製品の50%(パーセント)にまで軽量化することに成功しました。3Dを駆使して一から見直したことで、従来とは全く違う、競合他社にはないテイストの製品にすることができました。こうした手法は、全体にも広げていこうと考えています。

従来品「イーグルローラー」の50%軽量化に成功

スマートドーリーのSOLIDWORKSモデルデータ

SOLIDWORKS Composerで作成したスマートドーリーの分解図

またこれまで、ジャッキ製品の心臓部である油圧ジャッキそのものはOEMで購入し周りの部分を弊社が開発してきたのですが、特注品の設計をする中でそれがネックになるケースが出てきました。カスタマイズができるように内製化を始めたのですが、金型化すると融通が利かずカスタマイズ品には向かないため、ブラザーの工作機とSolidCAMを導入し、1品1品対応しています。こうしてOEMであった心臓部も内製化することで技術を自社でコントロールし、付加価値の高い製品を作り、差別化につなげています。またCAMについては、実際の加工をする製造部門と設計をつなぐためのツールとしても活用しています。

工作機の選定にあたっては、大塚商会から一並びでフラットにいろいろなメーカーの工作機を紹介してもらえたことが比較検討に大変役立ちました。

ブラザー工作機(SPEEDIO S500X1)での切削の様子

さらなる効率化を目指した「業務をつなぐ」PDMの導入

かねてより、Workgroup PDMを利用して流用設計ができる体制を整えてきましたが、近々SOLIDWORKS PDM Professionalへの移行を予定しています。現在は、大塚商会さんにカスタマイズを手伝ってもらいながら、生産管理システムと連動させるための仕組み作りを進めています。これが完成すれば、SOLIDWORKSで設計した製品の設計情報を、例えば注文時の必要数量などにダイレクトに反映させることができるため、発注ミスの低減とリードタイムの短縮が可能になります。またそれだけでなく、CADデータを活用するためにそろえてきた、解析、CAM、3Dスキャナーなど、さまざまなものづくりツールを、PDMを起点に連携させ、3Dデータが情報として流れ、それぞれの業務がつながることによる一気通貫の「プロセス改善」が実現できる予定です。

今後の展望

当社ではもう一つ新たな取り組みを進めています。2013年に「東京町工場 ものづくりのワ」というプロジェクトを発足しました。当社と同じ板金業の3社がそれぞれ異なる強みを結集し分野を超えてアイデアを出し合いながら、業務管理、人材育成、技術開発にイノベーションを生み出すことを目的とした企業体として活動しています。この活動においては、当社で設計した製品を他の2社で製造する、またその逆など、技術情報をはじめ受注状況などを3社間で共有しスムーズにコミュニケーションができる仕組みが必要でした。通常、外注に依頼した場合は、何か問題があった時にその問題の内容は戻ってきません。企業体として、その中で連携することができれば、問題の詳細な情報をノウハウとして残すことができ技術力の向上につながります。ここでも3Dデータは、一企業の枠を超えて、企業間でも業務をつなぐ大きな役割を担っています。

― 御社の今後の展望と大塚商会への今後の期待をお聞かせください。

現時点で5年をかけて体制を整える計画のちょうど中間地点まで来ています。これまで構築してきた仕組みを最大限に活用すると共に、新たな取り組みを加速させ、現在の売り上げ約6億円を、できるだけ早い段階で、プラス1億円に伸ばしたいと考えています。大塚商会さんには、引き続き当社の取り組みに役立つ有効なものづくりツールの提案とそれらをつなぐサポートをしていただきたいと思っています。

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