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株式会社プラスチック工学研究所

株式会社プラスチック工学研究所

株式会社プラスチック工学研究所 取締役 技術開発部長 辰巳昌典氏(右)
技術開発部 副主任技師 鬼防崇氏(左)

「構造解析の習得で、より高精度な金型設計が可能となりました。そのきっかけはトラブル解決のために依頼したコンサルテーションでした。」

大阪府枚方市のプラスチック工学研究所はプラスチックの押出成形装置メーカー。バーチャルラボの構築をめざして設計の3次元化を進めて来た。2005年にSolidWorks、2007年にSolidWorks Simulationを導入し、金型設計では既に150を超える実績を築いた同社に話を聞いた。

プラスチック工学研究所について

― プラスチック工学研究所について教えてください。

プラスチック工学研究所は、プラスチックの加工機械の設計・製造・販売をしている会社です。プラスチック加工の中でも、押出成形に特化していることが最大の特徴で、主な製品は、単軸押出機、二軸押出機、押出金型、成形装置です。製造装置全体を対象としていますが、スクリュー、金型等の単品部品だけで製造・販売することもあります。

押出成形は、プラスチック原料を溶融状態にして、ある形状のリップ(吐出口)を持った金型を通して連続的に押し出し、金太郎飴のように一定の断面を持った形状(フィルム、シート、パイプなど)に成形する加工方法です。食品、医療、化粧品、車など幅広い分野の工業製品で使われています。
おおまかな製造工程は以下の通りです。

  1. 押し出し機で材料を溶かして圧力をかける
  2. 金型から溶けた材料を押し出す
  3. 押し出された材料を冷却装置で固める
  4. 切断・巻取

光学フィルム成形装置

光学フィルム成形装置

成形装置の金型部分

成形装置の金型部分。製品の精度に直結するため重要。

SolidWorksの活用方法―押出金型で150を超える設計事例

― 御社が導入したSolidWoks製品とそれぞれのライセンス数を教えてください。

現在導入しているライセンスは、SolidWorks Professionalが8ライセンス、SolidWorks Simulation Professionalが1ライセンスです。SolidWorks Professionalの部署別導入数は、技術開発部は1、押出設計グループは3、金型設計グループは4です。

― 御社ではSolidWorks製品をどのように使用しているのですか。

弊社では現在、SolidWorks製品を、主に押出金型の設計で使用しています。2005年、SolidWorks Professionalを導入して以来、実務での設計事例は累計で150を超えました。また、3次元データは、そのまま金型の加工にも使っており、図面レス化も実現しています。

SolidWorks Simulation Professionalは、必要に応じて構造解析―流動解析との連成解析―に使用しています(流動解析は、他社と業務提携して共同開発した3次元樹脂流動解析ソフトを使用しています)。

連成解析では、まず、3次元CADで3次元モデルを作り、そのデータを中間ファイルを経由して流動解析ソフトに取り込み、最適な流路や圧力などを求めます。そして、そのデータを用いて構造解析を行うという作業を交互に行い、ソリッドな形状データを定めます。解析結果とリアルの実験結果を比較することで傾向が把握でき、精度の向上につながっています。

SolidWorksでの金型設計事例 は150を超える

鬼防氏
「SolidWorksでの金型設計事例は150を超えました」

押出し成形のキーとなるのは、ダイと言われる口金のような金型の部分です。その中で、フィルムやシート(JIS規格では、フィルム=厚さ250µm以下、シート=厚さ250µm以上と定義されている)の製造に使うTダイという金型を例にとって説明をします。Tダイの内部には、高粘度の溶融樹脂が流れており、樹脂を吐き出す部分(リップ)には、非常に大きな圧力がかかります。それによってリップが変形してしまうと、フィルムやシートの幅方向への膜厚が均一ではなくなり、精度の低い製品が出来てしまいます。また、Tダイは二つ割りの構造になっており、ボルトで締めつけていますが、内圧が高くなると、締め付け部分に隙間が生じ、樹脂漏れの原因にもなります。それを防ぐために、まず流動解析で、Tダイ内部の樹脂の流動特性(流速分布や圧力分布)を求め、次にそれらの値を用いて構造解析を行い、強度を評価したり、ボルトの締め付けトルクの計算などを行います。

このTダイの中でも特に、フィルムやシートの膜厚を1µ、2µ の単位で制御する精度の高さを実現している、弊社独自の自動Tダイも、SolidWorksを使って設計しています。自動Tダイは、シートやフィルムが出てくるリップを自動的に動かしてより均一な膜厚のシートが出来るようにコントロールします。弊社の自動Tダイは、熱膨張の伸び縮みを利用してリップを部分的に押したり引いたりすることで、膜厚を均一に保ちます。そのコントロールの精度はプラスマイナス1%以内であり、これは当社が新開発した技術だからこそ実現できるものです。

SolidWorksで作成した自動Tダイの3次元モデル

SolidWorksで作成した自動Tダイの3次元モデル

ヒートボルト試験機の解析モデル

ヒートボルト試験機の解析モデル

バーチャルラボの構築をめざし3次元設計に移行

― 金型設計の3次元化は、どのような経緯で進んだのでしょうか?

そもそも、当社が設計を3次元化に移行したのは、高度化する顧客ニーズに対応するためでした。大量生産の生産拠点が国内から中国に移転して、日本国内の工場が競争力を維持・向上させるためには、多品種小ロットのニーズに対応することが求められるようになりました。私たちが扱うプラスチック製品にも高機能化が求められ、従来は目視による検査でOKだったものが、光学顕微鏡など、目視では検査できない領域へと進化していきました。

その中で弊社は、より精度の高い設計を行うために、3次元設計を活用したバーチャルラボを構築することをメインテーマとして掲げました。それによって、試行錯誤に要していた時間とコストを削減する事が出来、製品開発のスピード向上につながりました。 ただ、SolidWorksの導入時はまだ2次元設計の方がコスト面などで優れていたため、まずは押出成形の製造ラインの中でも重要性の高い金型設計から、部分的に3次元に移行しはじめたのです。

ヴァーチャルラボの構築を目指し3次元化を進める

辰巳氏
「バーチャルラボの構築を目指し3次元化を進めました」

3次元に移行し始めた際に短期的な目標として掲げたのは、部品の干渉チェック、図面ミスの撲滅、設計工数の半減(対2次元設計比)、CAEの本格的な導入、CAD/CAMの融合・図面レス化、でした。副次的な効果として3次元データを、学会での発表や顧客へのプレゼン資料作成に活用できることも期待していました。その中でも、1. 部品の干渉チェックと図面ミスの撲滅、2. CAEの本格的な導入、3. CAD/CAMの融合、図面レス化(3次元形状の加工)では、以下のような課題がありました。

1. 部品の干渉チェックと図面ミスの撲滅

金型はいくつもの部品が複雑に組み合わされて出来ています。特に、Tダイは、樹脂流路形状が複雑で、2次元図面では正確に表現出来ません。そのため、実際に作ってから部品同士が干渉して組み合わせることが出来ないといったミスが発生していました。また、組立図にミスがなくても、それをばらして部品図を書く段階でミスが発生するといったことも頻発していました。そのために部品を作り直さなければいけないということがありました。

2. CAEの本格的な導入

弊社では、2001年から他社と3次元樹脂流動解析ソフトの共同開発を進めて来ました。5年ほどかけて検証作業を行った後、実務における本格的な運用に移行する際、3次元CADの導入が必要でした。

3. CAD/CAMの融合、図面レス化(3次元形状の加工)

従来、金型部品の加工は、2次元図面を作って、その図面に基づいて行っていました。しかし、前述の通り金型の樹脂流路形状は非常に複雑で、2次元CADでは全ての形状を表現することが出来ません。加工の精度は加工者任せになっており、本当に正確に加工出来ているのかどうかが不透明でした。

SolidWorksの導入はスムーズに完了

― それらの課題解決のために3次元CADの中でもSolidWorksを選定したのはなぜですか?

先ほど申し上げた3次元樹脂流動解析ソフト開発の業務提携先がSolidWorksを使っており、連携を取るためにも、まず1ライセンス購入しました。それが2005年です。その際に大塚商会による導入教育で基本操作を習得しました。金型設計グループ全員が教育を受けましたが、SolidWorksはスムーズに入り込むことが出来たため、他のツールと比較検討する必要がなく、これまでに4ライセンスまで増やしました。

― SolidWorks Simulation Professionalも同時に導入したのですか?

SolidWorks Simulation Professionalは2007年に導入しました。金型設計では、内圧によるリップの変形の問題は常にありましたが、従来は何か問題が起きてから対応して、どうにかやりくりしていました。しかし、SolidWorksを導入し3次元設計にも慣れてきたので、今後は構造解析によって、事前に防ごうと考えました。

高粘度樹脂が流れる内圧によるTダイの口開きに関する構造解析

高粘度樹脂が流れる内圧によるTダイの口開きに関する構造解析

流動解析が先行したのは、金型の内部の流路や樹脂を溶かすスクリューなどが技術の核になる部分だからです。その部分でかなり複雑な計算が必要なため、流動解析によって最先端の技術を築こうと考えました。3次元樹脂流動解析ソフトを共同開発した相手は、それまで射出成形がメインで、押出成形はあまり流動解析までは進んでいませんでした。弊社でも、従来の2次元設計では限界を感じていたため、業務提携によって一緒に解析テストを繰り返し、実効性を確認しながら進めてきました。

SolidWorks導入によって設計の3次元化がスピードアップ

― SolidWorksの導入による効果をお聞かせください。

SolidWorks導入によって3次元への移行が格段に早まりました。導入時には設計工数の半減を見込んだのに対し、工数そのものは2割減ですが、それに加えて、次のような効果が得ることが出来ました。その効果は見込み以上でした。

1. CAD/CAMの融合により高精度な加工がミスなしでできるようになった

SolidWorks導入後、弊社では、CAD/CAMの融合を加工業者と共に開発してきました。現在は、複雑な形状をしたTダイの樹脂流路の加工で、3次元データをそのまま使用し、図面レスで行える状況に到達しました。金型加工業者に3次元データを渡せば正確に加工をしてもらえるため、作り直しがなくなりました。

膜厚を自在に制御できる自動Tダイ

膜厚を自在に制御できる自動Tダイ

2. 設計ミス・図面ミスの防止・撲滅

設計者自身が部品の干渉をチェックできるようになり、設計ミスがなくなりました。それは、図面ミスの撲滅にもつながっています。従来は、部品同士を組みつけるための穴ピッチが違って組みつけられないということがありましたが、今はそれが完全になくなりました。

3. 流動解析と構造解析の連成解析によって、より高精度な設計が可能になった

SolidWorksを導入したことで、本格的な流動解析が出来るようになり、さらに、流動解析と構造解析の連成解析を行なうことで、限界設計に近い高精度な金型設計が出来るようになりました。実際のユーザー向けの金型では、10tの金型が7tになったという例もあります。

4. 3次元データの活用

お客様に対して、わかりやすい説明資料を作成できるようになり、形状を理解していただくのが非常にスムーズになりました。それがお客様からの高い評価にもつながっています。さらに技術開発部では、構造解析や流動解析の活用事例の発表資料(成形加工学会・成形加工シンポジアなど)の作成にもSolidWorksを活用しています。

ユーザーさんも同じような環境を持っていることが多いので、お客様と同じ目線で話ができるようになったことも良かったと思います。(辰巳氏)

6年間使ってきた私個人の感想では、2次元CADでの設計は、もうしんどいんですね。社内で使っている多く設計者からも同様の感想が聞こえてきます。(鬼防氏)

大塚商会のコンサルティングをきっかけに構造解析が本格化

― 御社ではSolidWorks製品を大塚商会から購入されて、保守サポートも契約していますが、ご利用状況を教えてください。

まずSolidWorksを最初に導入した2005年の導入教育は、設計部門の半数にあたる10名ほどが受けました。それによって、基本操作を習得することが出来ました。その後は、電話での保守サポート『たよれーる』を利用しています。これは非常に有効で、CADだけでなく、Simulationの操作でも、各設計者がよく利用しています。特に、Simulationは、一度止まってしまうと、なかなか先に進めません。自分たちで解決できない場合は、作成したデータを見ていただいて、どこが悪いのかを指導していただいています。

「コンサルティングで習得したことが、今も当社の構造解析のベースになっています。」

この『たよれーる』とは別に、実は、Simulationを本格的に活用するようになったきっかけがありました。2009年、客先で金型のトラブルが発生し、構造解析で問題を解決しなければなりませんでした。トラブルというのは、内圧に起因する金型変形による樹脂漏れです。 当時、まだSimulationは導入したばかりで、どこにどういう条件を与えて、どのような解析をして、何を評価すればよいのか、そして、どのような形でまとめて客先に報告すればよいのかがわかっていませんでした。客先に説明に伺う日が決まっていたため、急遽、大塚商会に連絡してコンサルタントの方に来てもらいました。そして、一緒に解析モデルに取り組んでいただき、指導を受けながら解析結果をまとめ、それによって部品を再製作してトラブルを解決することに成功したのです。

その際に習得したことは、今でも、弊社の構造解析の基本となっています。問題になった金型は複雑な形状をしており、解析が困難でした。私たちは、それを一気に解決しようとして失敗していましたが、それに対して、要因をつかみやすいように形状をユニット単位で計算する方法を伝授していただきました。

あの時は、従来の設計と比べて、かなり難易度の高い案件でした。それまでは、大きな問題は発生しなかったので、構造解析の重要性が見えていませんでした。しかし、これをきっかけに構造解析が一気に進みました。

今後の展望

― 今後のビジョンをお聞かせ下さい。

先ほども申しましたが、弊社ではヴァーチャルラボの構築をメインテーマとして掲げています。そのメインテーマに沿って、今後は、以下のようなビジョンを掲げています。

1. 3次元設計の汎用機への展開

これまで3次元で設計してきた金型は、新たに開発したり、オーダーメイドで開発する、高精度な金型です。今後は、汎用製品での3次元設計も積極的に進めていきたいと考えています。

2. 押出設計グループへの展開

押出設計グループにもSolidWorksを3ライセンス導入して、一部3次元化を進めています。今後は、金型と同様に押出機についても設計事例を増やしていきたいと考えています。

3. 3次元データのPDM(製品情報管理)

これまでは3次元データがそれほど多くありませんでしたが、金型の汎用品や押出機などの3次元化が進んでいくことで、データが増えることが予想されます。すでに全社的には8台入っているので、製品情報の一元管理を徹底する必要があります。

4. 自動設計化

設計変更に対して、お客さんへのレスポンスを早くするということも、課題の一つです。設計テーブルなどを利用して短時間で設計変更を可能にし、顧客満足度の向上に役立てたいと思っています。

5. 製品専用コンサルティング

大塚商会からの提案でもあるのですが、弊社製品に特化した専用コンサルティングを受けることで、3次元設計をさらに進化させられるのではないかと期待しています。これまで弊社独自のアセンブリの組み方やモデリングの仕方、またはルール決めなどを独自でやって来ました。そこで、弊社の金型、押出機などを見ていただいた上で、弊社の製品に合わせた設計や解析の方法を指導していただくことを検討しています。

これらのビジョンを達成することで、より最先端の設計技術を構築していきたいと考えています。

お忙しい中、ありがとうございました。

株式会社プラスチック工学研究所のWebサイト

※取材日時 2011年4月
※事例制作 カスタマワイズ

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