MSC Software社がMSC Nastran 2013のリリースを発表
2013年 7月 8日
2013年6月19日 アメリカ カリフォルニア州 サンタアナ ―― 解析ソリューションプロバイダとして知られるMSC Software社は6月19日、MSC Nastran 2013のリリースを発表した。MSC Nastran 2013には、自動車や航空機業界などで行われる解析作業の時間を大幅に短縮することを可能とする、カスタマイズ機能やその他の幅広い問題に対応できるソリューションが新たに搭載されている。
統合された疲労解析機能
Nastran 2013では疲労解析機能が組み込まれており、他の疲労解析ソフトウェアに出力することなく、Nastranソルバ単体で疲労損傷や疲労寿命を計算することができる。かつてはポスト処理で行なっていた疲労解析作業も、今バージョンから解析ソルバによる処理として利用できるようになったことから、一定の疲労寿命を維持したままの重量最適化を初めとして数多くのメリットが受けられるようになった。
―耐久性解析における連続処理を排除することにより、計算時間が大幅に短縮され、同時に使いやすさについても大きく改善された。
―疲労解析と同時に設計最適化が行えるため、重量を軽減しつつ耐久性の高い設計を行うことが可能になった。
多孔質弾性素材のモデリング
トリム部品は衝撃吸収に適しており、自動車や航空機の制振用素材として幅広く使用されている。Nastran 2013ではこれらトリム部品に使用される多孔質弾性素材の振る舞いをサポートすることにより、固体-流体連成挙動のような複雑なマルチフィジックスモデリングが可能となったため、トリム部品の解析精度の向上が実現している。
非線形解析
システム解析の精度を上げるため、モデル作成の柔軟性向上とその機能に更なる柔軟性が提供されている。
―材料のユーザー定義サブルーチンの改良により、ユーザーが状態変数を定義可能となった他、追加の内部変数が利用できるようになった。
―非線形動解析性能を強化するための強制相対運動解析機能改良。
―弾性モデルの変形をシミュレーションするAdamsに使われるMNFファイルを、形状が壊れていてもエクスポートできるようになった。
陽解法非線形解析
爆発問題におけるパフォーマンスや流体構造解析(FSI)能力を改善できるよう、いくつかの新機能が追加されている。
―オイラーソルバにおける爆風荷重について、1Dから3D、または2Dから3Dの軸対称マッピングが可能になった。
―多点爆発と、それによる構造健全性への影響を解析するための、異なる点火装置による多点爆発のサポート
―FSIアルゴリズムの強化
ハイパフォーマンスコンピューティング
Nastran 2013におけるソルバの改良と並列性向上により、様々な解析機能の計算速度が改善されている。並列性向上とGPGPU技術を利用することによる計算時間の削減は平均して20%から50%に及び、より多くの設計の解析をする機会が増えることとなった。
―生産性向上のためのGPUデバイスサポートの強化
―分散メモリ並列(DMP)アルゴリズムによる非線形解析性能向上
―マルチユーザー環境でのメモリ消費を削減する新たなメモリ管理アルゴリズム