CD-adapco社が「STAR-CCM+ v10.02」をリリース

2015年 3月 2日

2015年2月26日 アメリカ ニューヨーク州 ニューヨーク ―― CD-adapco社は26日、同社のフラッグシップCFD解析ソフトウェア「STAR-CCM」シリーズの最新版となる、「STAR-CCM+ v10.02」をリリースした。STAR-CCM+ v10.02では、「Multidisciplinary Design eXploration」(MDX:連成解析による設計探索)の導入による設計案決定プロセスの支援を柱としており、この新機能を用いることで実際の使用状況を完全に再現しながら解析を行うことができる。この機能は、設計空間全体を通じての製品パフォーマンスをよりよく理解するために利用できる。

CD-adapco社製品管理部門シニアバイスプレジデントのJean-Claude Ercolanelli氏は、「我々がMDXに期待するのは、ユーザー企業の市場における競争力を強化することです。このためには、さまざまな設計案の探究を通じて解析能力を最大化できるような、安定性の高い、自動化された知能的なテクノロジーによって初めて可能となります。さらに加えて、これまでも行ってきたカスタマエクスペリエンスと生産性の改善のためのさまざまな機能強化によって、MDXによる利益を最大化することができるでしょう」と述べている。

テクノロジー

STAR-CCM+ v10.02では、CADクライアントのリモート実行をサポートし、リモートクラスター上で動作しているCADソフトウェア上でシームレスに設計変更を試行できるため、ネットワークやプラットフォームを介しての設計空間探索を実現している。このイノベーションはCAE市場においてまれなものである。
また、STAR-CCM+ v10.02ではVOFモデルや流体フィルムモデル、およびラグランジアンモデルに関する新規の相互作用モデルを導入することで、多相モデリング領域における技術的なブレイクスルーを達成している。この取り組みにより、コンピューティングコストとメッシュ数を劇的に削減し、雨水管理、クランクケースとギアボックスのスロッシング、部品の液浸や塗装といったこれまでは非現実的だったさまざまな応用的な用途への道を開いた。
さらに、VOFとオイラリアン多層モデルのメリットを統合した、Large Scale Interface多層モデルが新たに追加されており、多数の異なる共時的流れ領域をとらえることを可能としている。この機能は、石油やガス、化学工業のような工学シミュレーションが非常に重要な業種に対するCD-adapco社の継続的な取り組みを示している。さらにオイラリアン多相モデルやVOFモデル、DEMモデルについてもいくつかの改良が行われている。

エクスペリエンス

カスタマエクスペリエンスに関する強化としては、新規に導入された「STAR-View+」ツールが挙げられる。STAR-View+は環境や遷移的な結果、あるいは相互作用の記録をアニメーション化に対応し、ユーザー間での解析結果の共有とコラボレーションを可能としている。STAR-View+は無償のユーティリティツールで、解析結果のナビゲーションとより深い検証が行える。
また、STAR-CCM+ v10.02では、GPUの適用範囲を強化しており、表示レイテンシの劇的な削減やグラフィカルインタラクションの強化が行われている。加えてこのバージョンでは、アドジョイントベースエラー見積もりやメッシュ偏差解析、深さ選択モードの改良によってユーザーエクスペリエンスに新たな地平をもたらしている。

生産性

STAR-CCM+ v10.02では、スループットの改善によって解析時間の短縮や、あるいはより多くの異なる設計案の探索を実現している。また、IdeaStormから得られた顧客ニーズの一つであるWake Refinement機能では、パーツの背部に生じる跡をより正確にとらえるための抜き勾配を求めることができる。
その他の生産性改善につながる機能強化としては、スケーラビリティとメモリー消費の改善によって全データマッパーのターンアラウンドタイムを著しく削減するほか、解析中のパフォーマンスに影響しないパーツのレポート機能やパーツベースの薄膜メッシャー、送風機インターフェイスモデルなどが挙げられている。

また、STAR-CCM+ v10.02では、CD-adapco社顧客によるイノベーションフォーラムであるIdeaStorrmへの投稿を元とする40の新機能が含まれている。同社は、自身のソフトウェアについてのビジョンを提供するために毎年3つのメジャーバージョンのリリースを表明しており、同時に顧客の現在のニーズへの対応を続けている。