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Autodesk Inventor 株式会社アルバック

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「3Dの火を消すな」の号令の下徹底した専門教育と社内支援で3次元設計のトップランナーに

真空技術を応用した各種製造装置や機器、素材などの開発を展開する株式会社アルバック。特に半導体やフラットパネルディスプレイなどの製造装置においては、つねに最先端の製造プロセスにおける重要な製品群を提供していることで定評がある。技術進歩とともに製造装置の大型化、スペックの高度化が進み、設計段階での正確さが製品づくりの効率性を大きく左右する時代に。2次元CADから3次元CADへの移行が不可逆的なすう勢となっている。そうした中、アルバックはいち早く大規模な3次元CADシステムの導入を実践。徹底した専門教育と社内支援で全社的な3次元CAD化を推進している。

※本ページは大塚商会が発行している 「αソリューション」 から転載したものです。

同社の主軸商品のひとつであるFPD(フラットパネルディスプレイ)の薄膜製造装置

導入の狙い

設計段階での正確性を追求することにより、製造工程での修正を減らす導入システム

『Autodesk Inventor Professional』、『Autodesk Vault』

導入効果

製造工程での修正が減り、大幅なコストダウンが実現経験の浅い設計者でも正確性の高い設計が可能に

3次元CAD化の波にいち早く対応「Autodesk Inventor」を大量導入

株式会社アルバックは、真空技術とその応用技術を核として、あらゆる産業と科学分野の発展のためにソリューションを提供する研究開発型企業である。社名の「ULVAC」は「真空の極限(Ultimate in Vacuum)」の頭文字「UL」と「VAC」を取ったもの。文字通り、真空技術のトップランナーとして長年培った技術の粋を結集し、さまざまな製造装置や機器、素材を世に送り出してきた。

その関連領域は電子・電機・通信・光学分野をはじめ、太陽電池・超高真空排気システムなどエネルギー・環境分野、血液製剤や抗生物質など医薬品・食品・化学・バイオ分野のほか、宇宙船の外壁やロケットエンジン部品といった最先端分野に至るまで、われわれの快適で安心な生活の実現や科学振興、社会そのものの発展に不可欠な分野を網羅している。

なかでも液晶テレビやプラズマテレビなどでおなじみフラットパネルディスプレイ(FPD)や半導体などの分野においては、“ドッグイヤー”のたとえ通り、年々めまぐるしく高度化する製品スペックを確実にキャッチアップしながら、製造現場の高い要求に応える装置や機器、素材などを開発。さらに、その運用や分析・検査、カスタマーサポートなど多角的なプロセスソリューションを提案する“研究開発型ソリューション企業”として快進撃を遂げている。

研究・開発能力の徹底追求こそが発展の原動力であるアルバックにとって、その要となる設計プロセスの高度化と合理化は長年の大きな課題だった。国内外を問わず、製造業の設計現場では、2次元CADから3次元CADへの不可逆的な移行の波が押し寄せていた。

同社はそうした変化にいち早く対応し、2004年10月に大塚商会を通じて3次CAD「Autodesk Inventor Professional」50本を導入。その後急ピッチで社内普及を図り、07年までに計450本を導入するという大掛かりな設備投資を行った。単一の利用者による同システムの導入規模としてはおそらく国内最大級だ。アルバックの3次元CAD化にかける意気込みの強さをうかがい知ることができる。

生産技術開発センター センター長 名和 浩之氏

生産技術開発センター センター長
名和 浩之氏

「設計ミスが減少すれば、製造工程での修正や部品廃棄が減り、大幅なコストダウンに結び付きます。今後はCAMの導入によって製造ラインの合理化を実現したいですね」


FPD事業本部 第2FPD事業部 設計部 部長 小泉 敏行氏

FPD事業本部 第2FPD事業部
設計部 部長
小泉 敏行氏

「当事業部のトップガン卒業生7名には、『3次元CAD以外は使うな』と言っています。いまのところ事業部全体では2次元CAD設計も並存していますが、将来的にはフル3D化を目指します」

専任者育成のため徹底教育の場を設定

3次元CADの導入当初の利用状況は決して活発とは言えなかった。ドラフターでの手描き設計からコンピュータによる2次元CAD設計に移行した当時もスムーズに移行できたとは言いかねない状況であり、さらに複雑な知識や操作能力を要求される3次元CADへの移行は、設計者に、新たな負担を強いることになったからだ。

受注産業としての宿命も3次元CADへの転換を滞らせた。大量生産型の製造業とは異なり、受注のたびに新たな図面を要求される同社のような業種では、つねに設計部門の負荷が大きい。目の前の設計作業が優先され、3次元CADの技術習得は後回しにされがちとなった。

しかし、時代の変化に乗り遅れることを危惧した諏訪 秀則社長(当時は副社長)は「3Dの火を消すな」と大号令を掛けた。これを受けて全社を挙げての3次元CAD専任者教育が実施される。米軍のエースパイロット訓練組織として知られ、映画のタイトルにもなった「トップガン」を名称とする専任者養成スクールを社内に開校。各事業部から選抜された設計者を3ヵ月ずつ缶詰にして徹底教育を行うプログラムがスタートした。

各事業部の長にとって、常時忙しい設計現場の人材を引き抜かれることは痛手ではあるが、5年後、10年後を見据えた先行投資の重要性を理解して快く送り出し、設計者らが精鋭として戻って来ることを期待した。

そうした「トップガン」の運営をはじめ、アルバックの3次元CAD化推進の後方支援を行っている生産技術開発センター情報システム部 生産アプリケーション室 室長の笠原 利則氏は「トップガン専用の常設教室を設け、設計コンサルティング会社の講師を招いて、当社のやるべき3次元設計を徹底的に教え込んでいます。すでに8期が修了し、47名の卒業生を現場に送り出しました」と成果を語る。

また、同室の槻岡 孝二氏は「製造にかかわる10事業部のうち、多い事業部は7名前後、少ないところでも4、5名の卒業生を擁する体制になりました。3次元設計の習得者でチーム編成できるようになり、各事業部内での活用を促す力となってくれそうです」と期待を寄せた。

3次元CADのデファクトスタンダードともいえる「Autodesk Inventor」を採用したことも、設計者らが比較的スムーズに3次元CADでの設計に習熟できる結果に結び付いたようだ。

同社FPD事業本部 第2FPD事業部 設計部の小泉敏行 部長は「15年位前に3次元CADシステムの導入をトライした事業部がありましたが、操作性の悪さや複雑さ、英文の取扱説明書しかなく理解しにくいことなどから、ことごとく断念しました。その点、『Autodesk Inventor』はかなり理解しやすく、使い勝手もいいですね」と語る。

FPD事業本部 第2FPD事業部 設計部2係 係長 月川 慶澄氏

FPD事業本部 第2FPD事業部
設計部2係 係長
月川 慶澄氏

「より利便性の高いシステムにするには運用面でのルール作りが欠かせません。わたしが事業部内のリーダーとなって、Autodesk Inventorによる設計のルールづくりや部品の標準化作業を行っています」


FPD事業本部 第2FPD事業部 設計部 主事補 井上 哲也氏

生産技術開発センター
FPD事業本部 第2FPD事業部
設計部 主事補
井上 哲也氏

「Autodesk Inventorによる設計データの標準化を実現するうえでは、PDM(製造データ管理)システムと連係させることも重要な課題。事業部内で定期的にミーティングを開き、解決策を探っています」

製造工程の損失を減らすため3次元設計で正確性を追求

同社には、機械設計を行う事業部が10グループあるが、今回は、主軸製品であるFPDの設計を行っている第2FPD事業部に3次元CADの利用に関する話を伺った。

第2FPD事業部は、液晶用カラーフィルターの表面に透明な伝導膜を成膜する装置や、プラズマディスプレイパネル(PDP)用酸化マグネシウム蒸着装置および太陽電池用途等のスパッタリング装置などを製造している。

これらの装置は薄型テレビの大画面化とともに年々大型化しており、最大のものは全長50〜60メートル、重量200トンにも及ぶ巨大サイズだ。

「ひとつの部品ですら20トン規模に及びます。装置が小型だったころは、設計ミスで部品同士が連結しなくても製造現場で簡単に修正できました。しかし部品が巨大化した今日では、ちょっとした設計ミスによる部品の作り直しが大きな手間となり、莫大な追加コストを生んでしまうのです」と小泉氏は語る。

無駄なコストを省くためには、設計段階でいかにミスをなくすかが重要だ。後工程で作り直しが出ないように、正確な設計シミュレーションを行うことが要求されるのである。

2次元CADでの設計では、平面に描かれた図面から立体としての出来上がりをイメージし、それを上、下、斜めなどあらゆる角度から検証できる能力が要求される。しかし能力を身に付けるには熟練を要し、未熟な者がイメージをつかめないまま設計を行えば、後工程における不具合の原因となりやすい。

しかし、3次元CADシステムなら設計者の熟練度にかかわらず、設計図面をコンピュータ画面上で立体に描き、360度あらゆる角度から徹底検証できる。その結果、製造工程における莫大な修正コストが解消されるのである。

小泉氏は「平面図から立体像をイメージできるようになるには通常5〜10年の経験を要するものですが、『Autodesk Inventor』なら操作方法さえ覚えれば、画面ですぐに立体像が見られます。熟練に要する時間をほかの業務に割けるという点でも合理的ですね」と語る。

実際、第2FPD事業部では、入社3年目の設計者が、ベテラン設計者にしか設計出来ない大型で複雑なユニットを「Autodesk Inventor」で設計し、ほぼノーミスで製造工程に乗せるという成果を挙げている。同事業部にはトップガン卒業生が7名在籍。今後も3次元CADの活用頻度を高め、ディスプレイの世代交代(大型化)に合わせて設計のフル3次元化を実現していく方針だ。

生産技術開発センター 情報システム部 生産アプリケーション室 室長 笠原 利則氏

生産技術開発センター
情報システム部
生産アプリケーション室 室長
笠原 利則氏

「全社における設計の3次元化を支援するため、社内にサポートデスクを設けました。現場における運用上の問題点をひとつひとつ拾い上げては克服しながら、3次元化の火を消さないように取り組んでいます」


生産技術開発センター 情報システム部 生産アプリケーション室 槻岡 孝二氏

生産技術開発センター
情報システム部
生産アプリケーション室
槻岡 孝二氏

「トップガン卒業生が少しずつ増えることで、各事業部に3次元CAD設計の輪が広がっていくのを実感しています。導入当初は一部に抵抗もありましたが、最近では全社的に『2次元CADよりも3次元CADのほうがいい』という声が強まっています」

部品や設計ルールを標準化CAM導入も視野に

第2FPD事業部では、設計部2係係長の月川 慶澄氏がリーダーとなって、「Autodesk Inventor」による設計のルール作りを行っている。「性能が優れている『Autodesk Inventor』では、さまざまな設計方法が可能です。ルールが統一されていないと、それぞれの設計者が各自のやり方で設計を行ってしまい、改造や仕様変更の際に支障を来たします。そのため、事業部内のチームだけでなく、全社の設計担当者の代表らで編成された『3D設計委員会』が、定期的にルールづくりや運用上の問題提起を行っています」と月川氏は説明する。

同社は、「Autodesk Inventor」による過去の設計データが簡単に検索、参照できる管理ツール「Autodesk Vault」も導入。ルールによって標準化された各種部品の設計データが蓄積され、事業部内や全社で汎用できる仕組み作りを目指している。

第2FPD事業部 設計部主事補の井上哲也氏は「Autodesk Inventorによる設計データと、PDM(製造データ管理)システムとの連係を実現させることも大きな課題。標準化を実現するうえでは欠かせません」と今後の目標を挙げた。

部品の標準化は、製造工程の合理化とコストダウンに結び付く。アルバックではかつて、部品・部材の多くを外部から調達していたが、ディスプレイの世代交代による製造装置の大型化とともに、それに合った部品・部材の調達は困難となり、内製率が拡大傾向にある。

同社生産技術開発センターの名和 浩之センター長は『社内の付加価値を上げるうえでも内製化率の拡大は必須。今後はAutodesk Inventorで制作した設計データが、そのまま生産ラインの制御データとなるCAM(コンピュータ支援製造)システムの導入が必然の流れとなるでしょう」と展望を示した。

アルバックは日本、北米、欧州、アジアの4極体制で生産・販売・サービスを展開している。Autodesk InventorとCAMの連動は、海外生産拠点の製造手順の合理化や品質向上にも結び付くに違いない。

アルバックと大塚商会との付き合いはAutodesk Inventorを50本導入した04年以来となる。その後、計400本のAutodesk Inventorを追加導入したことからもわかるように、大塚商会のサービス体制には強い信頼を寄せているようだ。

名和氏は「今後も利用者の立場に立って、より付加価値の高いサービスをご提案いただきたいですね」と期待を込めて語った。

全社をあげて3次元CAD設計に取り組んでいる



株式会社アルバックのホームページ
http://www.ulvac.co.jp/

株式会社アルバック

業種:製造業

事業内容:ディスプレイ・太陽電池・半導体・電子・電気・金属・機械・自動車・化学・食品・医薬品業界および大学・研究所向け真空装置、周辺機器、真空コンポーネントの開発・製造・販売・カスタマーサポートおよび諸機械の輸出入。真空技術全般に関する研究指導・技術顧問

従業員:1,638名(2007年9月現在)


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