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老舗文具メーカーのトンボ鉛筆(北区豊島)は、8年前にSolidWorksを導入、製品設計に活用している。まずデザインを決め、中の機構を入れるというデザイン手法で機能美を追求、外国のデザイン賞を受賞するなどの実績を上げている。同社技術開発部の石川氏に詳しく聞いた。 |
| もくじ |
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― トンボ鉛筆についてお聞かせください。
トンボ鉛筆は鉛筆専業メーカーとして1913年に創業、まもなく創業100周年を迎えます。こんにち、「書く・消す・貼る」の3事業分野を核に、人が何かを生み出そうとする時になくてはならない文具の開発に注力しています。
当社はTOMBOW、MONO、PIT、ZOOMなど数々の著名ブランドを産み出してきましたが、100周年を控え、これらの一定の方向に集約するために「トンボのこころ」と題するステートメントを策定しました。「文具の最高のつくり手になること。それが私たちトンボの、変わることのない目標です。そのために、私たちは、誰よりも人間にくわしい会社になります。人が、どのように文具と接し、どのように使い、どんな想いを抱いているのか。それを知るために、人を見つめ、その声を聞き、その心の中にまでまなざしを注ぎます。」(トンボのこころはホームページでも公開しています)
― トンボ鉛筆はSolidWorksをどのようにお使いですか。
トンボ鉛筆では、2000年に2次元CADからSolidWorksに設計ツールの切り替えを行いました。現在バージョン2008を7ライセンス、およびCOSMOSWorksを使用し、ボールペンや修正テープなど内部機構のある製品の設計に活用しています。
― SolidWorks、およびCOSMOSWorksが文房具の設計にどのように役立っているかをお聞かせいただきたいと思います。まず、修正テープについてお聞かせください。修正テープの設計において重要なことは何ですか。
修正テープの品質には、使用するテープも影響しますが、ケース設計において重要なのは「テープを紙面に対してどれだけ密着させるか」ということです。テープを紙面に載せて走行させた時、「浮き」が出るとテープの亀裂の原因となります。また、修正テープですから、貼ったテープの上にボールペンなどで文字を書きますが、その際にも浮きがあるとはがれの原因になり、きれいに再筆記できません。
テープ走行を司るのはギアなど内部のカセット部品です。カセット内には細かい部品がたくさんあり、部品同士が当たってしまう「干渉」が起こりやすくなります。
2次元CADを使っていた時には、実際に組立を行わないとこの干渉が見分けられませんでしたが、SolidWorksを使うようになり、干渉が事前にシミュレーションできます。
また、「にぎりやすさ」「丸み」など外部ケースの設計にもSolidWorksが役立ちます。
― ケースの設計ではどのようなところに役立ちますか。
SolidWorksによって形状データの精度が向上し、以前よりはるかに複雑なデザインの再現性が向上しました。また「にぎりやすさ」など機能を踏まえた外観設計にもSolidWorksが役立ちます。

― では次に、ボールペンについてお伺いいたします。ボールペンの設計にSolidWorksおよびCOSMOSWorksはどのように役立っていますか。
ボールペンの設計には、COSMOSWorksが非常に役に立ちます。一番役立っているのは、内部機構よりもむしろクリップの部分です。特にプラスチック製のクリップは金属製と比べてどうしても折れやすいのが難点でした。ですから、ボールペンに限らず筆記具の設計のポイントの一つとして「クリップの強度」があります。 ここで役立つのがCOSMOSWorksによる強度解析です。しかし、ただ強いだけでは商品として魅力はありません。デザイン性を生かしながら強度のある設計が求められます。新製品の「P Fit」は大きなクリップに特徴を持たせたデザインの油性ボールペンですが、今回、デザイン性が認められ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のオフィシャル・ミュージアムストア「MoMA Design Store」で展示販売されています。 |
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― 他にSolidWorks、COSMOSWorksが役に立っているところはありますか。
原油高の影響でプラスチックなどの材料費が値上がりしていることもあり、材料費削減の観点から、必要最低限の材料で十分な品質を確保するための設計課題があります。COSMOSWorksの応力解析、樹脂流動解析の活用で、ある程度精緻な材料費を割り出せるためコスト評価に役立っています。
― トンボ鉛筆がSolidWorksの導入のきっかけを教えてください。
最初に導入したのは、製品設計のためではなく、切削モデルでモックアップを社内で作り始めたことがきっかけでした。製作のための簡易的な3Dデータが必要になったためです。その後効率性を考えて、モックアップの自社製作は行っていませんが、このことが3次元設計を部内に広めるきっかけになりました。
― 3次元設計を広めるきっかけとは。
社内でモックアップを作ったことで、「実際の形にして製品検証する」というやり方が設計部内に定着したのです。設計部の人数も製品のアイテム数も増えたこともあり、設計部内でSolidWorksによる設計がどんどん行われるようになり、追加導入しました。
― トンボ鉛筆の製品は、海外でデザイン賞を受賞するなど定評があります。デザインをどのように製品づくりに生かしていますか。
トンボ鉛筆では、「文具は美しくなくてはならない」という考えから、製品におけるデザイン性を大事にしています。まずデザインから、その後設計を行い、調整をしていくやり方を取っています。
商品企画の後、デザインを数種類作り、デザインレビューをしながら、まず外側の部分の形を決めていきます。その中に設計担当者がそこに必要な機構を入れていきます。
デザインありきで中身をいれますから、「この部分は機構が入らない」などということも起きてきます。そういう際にはデザイナー相談しながら、微調整を行って変更していきます。最終的にモデルを決定し、SolidWorksのデータを外注の金型業者に送って金型を作ってもらっています。
2次元で設計をしていた時には、金型業者によって細かい形状が微妙に違ったりしていました。しかし、SolidWorksのおかげで、面や形状曲線などを生かした複雑なデザインを忠実に再現できるようになりました。
― SolidWorksを使っていて、不便なことはありますか。
3次元図面だけでは完結しないことが多い、ということでしょうか。たとえば、金型業者にはSolidWorksのデータをお渡ししますが、必ず2次元図面に指示を書いたものを添付します。また、社内で行う図面の検図も2次元図面で行います。これらが、すべて3次元で完結する日が早く来ることを望みます。
― PDMWorksもお使いであると伺いました。
PDMWorksは、先日導入しました。ファイルの管理もそれぞれがバラバラに保存をしていたため、何か一つの製品のデータを他の製品の設計に流用するのに、データを探すのが大変でした。PDMWorksの導入によって、これを製品別にフォルダ分けをしてデータを移し、一元管理ができるようになりました。これにより、データの流用が簡単になっただけでなく、不必要な上書きや紛失防止にも役立っています。
― 大塚商会はどのように活用していますか。 大塚商会には、以下3つの方法でSolidWorksのサポートを行ってもらっています。
― 大塚商会は何か要望はありますか。 これは大塚商会にお願いすることではないかもしれませんが、社内用の簡易的なSolidWorksの検定があればいいなと思います。 というのは、新人に仕事を任せるときに、どれぐらいの力量なのかがわからず、どこまで任せていいのか迷うことがあります。検定という大げさなものでなく、スキルチェックに近い標準的なものを作ってくれると助かります。 |
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― SolidWorksへ、今後の期待があればお願いします。
トンボ鉛筆は、まもなく創業100周年を迎えます。今後も「文具ひとつでワクワクさせたい」をテーマに、ユーザーが使いやすく、かつ美しい製品づくりを目指します。SolidWorks、そして大塚商会には、よい設計ツールの提供とサポートを通じてその下支えをしていだくことを望みます。今後ともどうぞよろしくお願いします。
お忙しい中、ありがとうございました。
※ トンボ鉛筆のWebサイト
※ 取材日時 2008年7月
※ 事例制作 カスタマワイズ