クラウドサービス

「BIM on VDI」はクラウド環境での利用も可能に。
クラウドの柔軟性が導入ハードルを下げ働き方改革も可能にする。

IT投資の選択肢を大きく広げてきたクラウドサービスの用途がBIM on VDIにも広がります。「どこからでも」「必要な時に必要なだけ」使えるクラウド環境でBIM on VDIを利用することで得られるメリットと注意点は何でしょうか。BIM on VDIクラウドサービスを提供予定の大塚商会PLMソリューション営業部のスペシャリストに話を聞きました。

働き方を自由にするクラウドサービス

どこからでも使えるクラウドサービスだから
働き方改革・人材獲得の武器になる。

大塚商会では現在、BIM on VDIがもたらす生産性向上を建設業界がより広く享受できるよう、クラウドで利用できるサービスを準備中ですが、その背景にある建設業界の業務課題とはどのようなものなのでしょうか。

長井尚史現在、建設業界ではさまざまな要因により建設工事が急増しています。そのような状況にもかかわらず、業界自体は深刻な人手不足の状況にあるということです。多くの工事物件はあるが、対応する人員が足りず、結果物件受注自体を抑制しているケースもあると聞きます。また、世の中では長時間労働が問題となっていることもあり、企業では限られた人員・適正な労働時間で今まで以上の仕事量をこなす必要性に迫られています。いわゆる「働き方改革」で働き方そのものを見直し、限りあるリソースでいかに生産性を上げるかが、喫緊の課題となっています。BIM on VDIクラウドは、そのような背景にある建設業界でのBIM利用シーンを大きく変革し、課題を解決することができるサービスと言えます。

株式会社大塚商会 PLMソリューション営業部
課長 長井尚史

BIM on VDIクラウドは具体的にどのように、それらの課題解決に貢献できるのでしょうか。

長井尚史VDIのクラウド化には、必要な時に必要な分だけ、どこからでも使え、使った分だけコスト発生という大きなメリットがあります。どこからでも使えるようになればテレワークが可能となります。フルタイムで出勤することが難しい人、例えば、小さな子供がいるなど事情はさまざまありますが、そんな事情がある方にも仕事をしてもらえます。出勤を前提としては雇えなかった人でも雇えるわけですから「人が足りない」の解決に役立ちます。もちろんテレワークを進めようとするとセキュリティの問題が出てきますが、クラウドなら利用者側にデータは残りませんし、本社の社内LANとは切り離されていますので、VPNを引いて社内LAN上のBIMサーバーを使わせるよりも、クラウドの方が導入しやすい面があります。

大福浩之他社と連携をする場合にも同じことが言えます。クラウドなら現場事務所で協力会社さんに使ってもらうハードルも低くなりますので、現場で関係者が同じ図面を見て打ち合わせをし、現場の仕事をリアルタイムにBIMのモデルに反映させていくのも楽になるわけです。

長井尚史仕事をするのに場所を選ばない点もポイントです。高機能なモバイルワークステーションを持ち歩く必要がなくなり、薄型ノートPCやタブレットPCで、インターネット接続さえできれば、クラウド上にあるデータに対し外出先からアクセスできますので、いちいち会社に戻って社内LANに接続するというような手間や情報共有のためだけに外部アクセス可能がシステムを導入する必要もなくなります。移動中や出張先など、いつでもどこからでも社内にいるのと同じ環境で仕事ができますので、限りある時間を有効に使うことで長時間労働抑制に効果があります。BIM on VDIクラウドは社外の人も含めて働き方を変えていく、そんな活用ができるソリューションだと言えます。

財務効率を高めるクラウドサービス

「必要な時に必要なだけ」使えるクラウドだから
導入ハードルの引き下げ、財務効率向上を実現。

株式会社大塚商会 PLMソリューション営業部
アプリケーションスペシャリスト 大福浩之

ここまでの課題はいずれも広い意味で「人の働き方」に関わる問題でしたが、やや性格は異なる財務面ではいかがでしょうか。

長井尚史クラウドサービスは必要な時に必要な分だけ使えます。財務面に対して大きな意味を持っています。BIM on VDIをオンプレミスで導入する場合、どうしてもサーバー機器やソフトウェア購入に初期投資が発生しますので、一人二人といった少人数や1カ月だけといった短期間の使用には向きません。このようなニーズに対してはクラウドサービスが登場する以前であれば短期レンタル等で対応していたところですが、物理サーバーを導入するとなると、検討・選定・調達・設置・設定など大きな工数が発生し、サービス利用までリードタイムもかかります。クラウドならそれらの大半が不要ですので、例えば極端な話、一人で明日1日だけ使いたいといった場合でもフレキシブルに利用でき、利用した分だけのコスト負担で済みます。

初期導入ハードルが下がれば少人数の会社でも大きな投資負担なく活用できます。大組織で利用する場合でも実際の利用者数は変動しがちですので、例えば年に2カ月だけ50人で使うけれど残り10カ月は20人しか使わないというような場合、ピークに合わせてオンプレミスのサーバーを調達すると10カ月間は稼働率が4割を切ってしまうわけですね。クラウドならば使った分だけ料金を払えばいいので、繁閑の変動を吸収して財務効率を上げられます。

クラウド利用にともなって生じる新たな課題とは?

技術課題は解消されつつある。
運用ルールの利用者への浸透を図る必要あり。

導入にあたって気を付けておくべき、クラウド特有の課題はありますか?

菅直樹クラウドですから通信回線越しに利用しますので、通信の安定性は問題になります。日本国内の有線回線で使う場合にはほぼ問題ないの状況ですが、ダム工事の現場事務所など、通信環境が弱いと考えられる場合は事前の検証をお勧めします。
また、用途によって仮想マシンに最適なスペックが違います。クラウドではCPU、メモリー、GPUなどのスペックを自由に調達できて、それによって料金も変わってきますので、安いコストで快適に使うためには用途に応じて最適化する必要があります。

大福浩之ソフトウェアの動作保証とライセンスの問題があります。ソフトウェアのベンダーがクラウド環境での動作を保証していない場合や、そもそもパブリッククラウドへのインストールをライセンスで禁止している場合もあります。例えばBIMもそうですがCAD関連ソフトウェアの動作保証環境は基本的にMicrosoft WindowsのクライアントOS版です。

株式会社大塚商会 技術本部 TCソリューション部門
テクニカルスペシャリスト 菅直樹

一方、パブリッククラウドで提供される仮想マシンの多くはWindows サーバーOS版のため、動作保証がないという問題です。そのあたりの運用含め、建設業界で使われる主要なツールについては当社が動作検証を行い、可能な範囲でサポート可能です。また、近々にクライアントOSであるWindows 10を利用できるようになるとの発表もありますので、BIMアプリケーションの動作問題の障壁もなくなりつつあります。

利用者側の教育や運用ルール上での配慮が必要な問題はありますか?

長井尚史オンプレミス環境と違ってクラウドは従量課金ですので注意が必要ですね。使った分だけお金を払えばいい、というのがメリットですが、使い終わった時に利用者が仮想PC自体のシャットダウン操作を忘れると、本人は終了させたつもりでも課金が続いて思わぬ高額請求を招きかねません。これは運用ルールとして利用者教育が必要な部分です。ただ、人的ミスをゼロにすることは非常に難しく、末端利用者個人の運用に頼るべきではありません。しかしシステム管理者がVDI仮想端末全数をコンソールでリアルタイムにチェックし管理するのは、現実的に不可能です。

そこで、実際の日常運用で使う機能を集約したツールを開発しました。一つは利用者が仮想ワークステーションをストレスなく使うための「利用者用ランチャー」、もう一つは、管理者のための「管理コンソール」です。利用者ランチャーは、シングルサインオンの実装や画面転送プロトコルとの連携、シャットダウン忘れ防止機能を搭載、何よりも使い勝手を考慮した画面をご提供します。管理コンソールは、日ごと、個人ごと、トータルの利用時間の集計がワンタッチで可能ですし、シャットダウン忘れに対するアラートや強制的なシャットダウンもできますので、クラウド標準の管理ポータルよりも日常運用が画期的に楽になります。

クラウドサービスの提供形態と今後の展望

GRID搭載の仮想PCをパブリッククラウド型IaaSとして提供
自由度の高い専用クラウド型での提供も予定

BIM on VDIクラウドの具体的な提供形態にはどのようなバリエーションがありますか?

長井尚史パブリッククラウド型と専用クラウド型の2種類を提供予定です。いずれにしてもOSまでの層を提供するIaaSという位置づけで、当社がクラウド基盤上にGRID搭載の仮想ワークステーションインスタンスを用意し、BIMをはじめとする必要なツールはお客様にてライセンス取得していただき利用していただく形です。もちろん、それらの環境構築や運用サポートも大塚商会がワンストップサポートをご提供します。

パブリック型と専用型の違いは何でしょうか?

長井尚史お客様の利用用途によって、パブリッククラウドを利用した仮想ワークステーション、クラウド上にお客様専用のサーバーを構築する仮想ワークステーション、があります。パブリッククラウド型はMicrosoft AzureのGPUインスタンスを利用し、従量課金でのサービスをご提供します。専用型はクラウド上のサーバー占有サービスでご提供します。

パブリッククラウド型は、従量課金でフレキシブルな利用環境を提供でき、専用型は他社と共用しないお客様専用のVDIサーバーを構築しますので、クラウド利用におけるソフトウェアの使用許諾も問題ありません。

大福浩之一般論としてパブリッククラウドはもともとサーバー用途向けに発展してきたサービスですので、仮想マシンのOSもサーバー版が基本でした。しかし、今後はクライアント用途も増えていくと考えられます。BIM on VDIはクラウドでのクライアント利用が生きるモデルケースの一つと言えます。新しい利用形態にはそれに特有の問題がいろいろと起こるものですが、お客様と一緒になって問題を解決していくのが当社のポリシーですので、なんなりとご相談ください。

BIM on VDIの円滑な導入を支援する
「検証センター」(秋葉原UDX内)を設置!

品質の高いクラウド基盤として実績のある「System x」サーバー製品や
クライアント製品を常設、最新のハードウェア環境と
お客様データでVDIソリューションの検証が可能

大塚商会は、VDIソリューション分野におけるパートナーとしてレノボ・エンタープライズ・ソリューションズとパートナーシップを結んでいます。レノボ・エンタープライズ・ソリューションズが運営する「レノボ・エンタープライズ・センター」(東京・秋葉原UDX内)では、最新機種を用いた各種の検証作業を行うことができます。

電話でのお問い合わせ

03-3514-7823

株式会社大塚商会 CADプロモーション部戦略推進課

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