1939年に設立された株式会社寺田電機製作所は、通信機器と電設資材の両分野で企画から設計、製造、販売までを一気通貫で手がける老舗企業。その特長は各部署がコスト意識を高めグループ全体の体力が上がるよう、早い時期から製造部門などを分社化したネットワーク型経営を取り入れていることだ。主に開発・設計・営業を担当する同社を中心に合計6社による分業体制を確立している。
同社の事業の柱の一つである通信機器では、NTTが旧日本電信電話公社の時代から取引実績がある。常に安定した電力供給が求められる電源設備、光ネットワークの信頼性向上に貢献する回線切替装置、長距離伝送を実現する光アンプ、光インフラに欠かせない光ファイバ収容製品などを取りそろえ、NTTをはじめKDDIやソフトバンクなどの通信メガキャリアに供給している。
「通信キャリア様向けの通信機器における当社の強みは、長年にわたって信頼性の高い製品を開発してきた豊富な実績があることです。例えば通信センターや基地局内にて電気の供給が止まってしまうと通信環境が深刻な事態に陥るので、安かろう、悪かろうの製品では話になりません。その点、当社は常に営業が情報収集しながら、時代の変化に即応した高品質の製品開発に努めています。」と経営企画部総務部門長(兼)経理部門 副部長の安達英明氏は語る。
もう一つの柱である電設資材ではフロアコンセントに特化した事業を展開しオフィスや学校、病院、ショッピングモールなどに電設問屋を通じて納入している。顧客の要望に柔軟に対応する小回りの良さが同社の強みであり、全国に拠点を増やしながら地域密着型のビジネスを展開している。2011年3月の東日本大震災以降は停電対策や省エネ対策を念頭に置いた商品開発に積極的に取り組んでいる。例えば、停電時に点灯するライトを内蔵したフロアコンセントなどを展示会に出展し、「非常灯代わりになるので便利だ」と高評価を得ている。また通信局内の消費電力の見える化を実現した直流電力量計などを開発し、計量器製造を第3の柱にするべく布石を打っている。
「電気は無尽蔵にあるわけではないので、『見える化』をはじめとする節電対策は今後の製品開発の大きなポイントです。スマートフォンやタブレット端末などの浸透によってデータ通信量が急増し、各通信事業者様は設備を増強していく方向にあるので、当社の技術力がますます求められています。」と安達氏は述べる。