Ansys社がSpaceClaim社を買収

2014年 5月 7日

2014年5月1日 アメリカ ペンシルバニア州 ピッツバーグ ――エンジニアリングシミュレーションソフトウェアの開発でその名を知られるAnsys社は1日、ダイレクトモデリングソフトウェア開発メーカーのSpaceClaim社を8500万ドルで買収し、買収に関する諸手続きを4月30日に完了したことを発表した。

マサチューセッツ州コンコードを本拠とするSpaceClaim社は、市場シェアこそ高くはないものの、強力かつ使いやすい製品設計業務用の3Dモデリングツールを開発してきており、Ansys社は同社との協力関係の下で「Ansys SpaceClaim Dilect Modeler」を顧客へ提供してきた経緯がある。

Ansys社の長期戦略は『Simulation Driven Product Development』(シミュレーションが主体となる製品開発)であり、これは設計サイクルの早い段階から、製品の性能や挙動を予測するためにコンピューターシミュレーションを利用することで顧客の利益は最大となる、という思想である。今回のSpaceClaim社の買収により、Ansys社は新しいコンセプトを導入するために必要な強力な3Dダイレクトモデリングツールをユーザーへ提供できるようになるだけでなく、革新的な製品設計の原動力となりうるシミュレーションのもたらす効果をより大きなものとすることができる。元のデータがどんなCADソフトウェアで作成されたかを問わずに幾何形状を修正できるSpaceClaim社の技術は、このような目的に非常によく適合する。

今回の買収についてAnsys社CEOのJim Cashman氏は、「この度のSpaceClaim社の買収は、わが社の長期戦略にとって必要不可欠なものです。SpaceClaim社の持つ技術は、ユーザーのイノベーションを推進し、成長を牽引していくわが社の技術的な製品ロードマップを推し進めることでしょう。『SpaceClaim』は、構想設計から製造現場、さらには3Dプリントにいたるまで、あらゆるステージにおけるニーズを満たすものであり、潜在的なユーザーは500万を超えると考えています。」と述べている。イノベーションのけん引役に加えて、Ansys社のシミュレーション製品の市場を拡大する上でも『SpaceClaim』は重要な役割を果たしてくれることでしょう」と述べている。

SpaceClaim社R&D部門シニアバイスプレジデントのDaniel Dean氏は、「いわゆるリーディングカンパニーと呼ばれる企業というものは、真にイノベーティブな製品を開発するためには、自分たちが使用するエンジニアリングソフトウェアおよびプラットフォームはより先進的でなければならないことを痛感しています。このような状況下において、実績あるAnsys社のシミュレーションソフトウェアと我々SpaceClaimの3Dツールを組み合わせることは、目まぐるしく変化する今日のビジネス環境において最適な選択であり、製品開発プロセス全般にわたって期間を短縮するための原動力となるでしょう」と述べた。

買収に伴う影響

Ansys社の製品ロードマップとSimulation Driven Product Development戦略の更なる推進

「SpaceClaim」は、従来は困難だったシミュレーション用幾何形状の準備に要する時間を大幅に削減することでAnsys社のシミュレーション製品市場を拡大するとともに、SpaceClaim社のノウハウを導入することで長期的な3Dモデリングソフトウェア開発能力を得る。

一貫した製品の提供による顧客利益

シミュレーションソフトウェアとCADニュートラルなジオメトリ修正用3DモデラをAnsys社が一貫して提供することにより、斬新な新製品開発に不可欠な反復設計を強力に推進し、ユーザーの製品開発を効率化する。

顧客数の増加に伴うAnsys社製品の販路拡大

SpaceClaim社の技術を広範にアピールすることで、同時にAnsys社のシミュレーションツールをさまざまな業種のさまざまなエンジニアへ訴えることができる。Ansys社のユーザーベースは解析者や専門家だけでなく、500万の設計者やシステムエンジニアを含むまでに至るだろう。