Siemens PLM Software社が「NX 10」を発表

2014年10月14日

2014年10月6日 アメリカ テキサス州 プラノ ―― Siemens PLM Software社は6日、同社のハイエンド3D CADソフトウェア「NX」シリーズ最新版となる、「NX 10」を発表した。「NX 10」は、製品開発の柔軟性を高め、生産性を最大3倍向上させることが可能な数々の新機能が搭載されている。特に強力な新機能としては、設計の初期段階で設計効率を大幅に向上させる2D構想設計ソリューションや、完全に統合された自由形状設計環境の「NX Realize Shape」、NXの全設計機能で利用できるタッチインターフェイスオプション、「Siemens Active Workspace」環境によるPLMソフトウェアとの連携機能のさらなる緊密化などが挙げられる。また、「NX 10」ではCAD、CAM、およびCAEにまたがって多数の新機能を導入している。

「NX 10」の発表に際して、Siemens PLM Software社プロダクトエンジニアリングソフトウェア事業部シニアバイスプレジデントJim Rusk氏は、「『NX10』は、複雑さを増し続ける今日の製品設計業務を遂行するうえで必要となる確かな性能と機能の使いやすさをこれまでにも増して改善し、強化しています。製品開発において最も重要といえる早期の構想設計において、新たに導入した2D構想設計機能を利用することで大きく生産性を改善できるでしょう。また、新しいタッチインターフェイスや「Active Workspace」との連携強化によって、比類ない多用途性を実現するとともに、いつでもどこでも製品データにアクセスが可能となるでしょう。このような特徴により、『NX10』は導入ユーザーの意思決定プロセスを効果的にサポートし、結果的により優れた製品の開発へとつなげることができるでしょう」と述べている。

製品の複雑さの増大に伴い、3Dモデリングは以前にも増して製品設計における地位を確たるものとしているが、一方で機械設計や複雑な電気機器を初めとするいくつかの産業では、設計の初期段階では今なお2Dスケッチを用いて設計レイアウトを決定するほうが効率的である。「NX 10」では、新たに2D構想設計用ソリューションを導入し、このような初期の2次元構想設計に要する時間を1/3にまで短縮する。いったん設計をファイナライズしたのちは即座に3D設計へ移行し、完全な製品モデルを作成することが可能である。

一方、新規のタッチインターフェイスは、Microsoft社製Windows OSを搭載したタブレット端末上でNXを利用できるように開発されており、デスクトップワークステーションにアクセスできない状況でもNXを利用することが可能となるため、コラボレーションと生産性の双方を強化する。また、「Active Workspace」環境を介しての「Teamcenter」との連携性をさらに強化しており、ユーザーがその時必要なデータを、外部データベースも含めて検索し、即座に利用できるよう改良されている。この強力な「Active Workspace」はインターネットを介して世界中のどこからでもアクセスができる。

「NX 10」では。CAD/CAM/CAEの各機能においても膨大な数の機能強化を行っており、「NX CAE」では最先端の複雑な解析処理を効率化するために複数のソルバーを組み合わせることが可能となる「NX CAE連成解析環境」が新たに導入される。この「NX CAE連成解析環境」により、共通の要素やプロパティ、境界条件およびソルバー制御設定を用いて同一のメッシュに対して連成解析をセットアップし実行が可能となる。

一方「NX CAM」においては、鋳型の切削時に自動的にパーツ形状に合わせて工具を調整する動的調整切削ストラテジを導入し、従来よりも高速かつ高品質に作成できるようになっている。また、「NX CMM」においては、検査用スキャニングパスをPMIから生成する自動検査プログラミング機能が追加され、従来の点接触法と比較して大幅な高速化を実現する。

さらに、自動車組み立て産業向けの新機能として製造ライン設計機能を追加しており、NX上で工場の製造ラインの設計と可視化を行い、さらに「Teamcenter」および「Tecnomatix」を用いて設計した製造ラインの検証と製造プロセスの最適化まで実行することができる。