MSC Software社が「MSC Nastran 2014」および「MSC Patran 2014」をリリース

2014年12月 8日

2014年12月3日 アメリカ カリフォルニア州 ニューポートビーチ ―― 解析ソフトウェアやサービスによって製造業関連企業のエンジニアリング手法の革新を支援するMSC Software社は3日、同社を代表する解析ソルバ「MSC Nastran」およびプリポストプロセッサー「MSC Patran」シリーズの最新版となる、「MSC Nastran 2014」および「MSC Patran 2014」をリリースした。「MSC Nastran 2014」は、統合疲労解析機能の強化に加えてパフォーマンスと使い勝手が改善されている。一方「MSC Patran 2014」では、新たに疲労解析に対応するとともに非線形解析への対応を強化している。

「MSC Nastran 2014」の概要

線形解析

「MSC Nastran」の外部スーパーエレメント機能がさらに強化され、オリジナルのスーパーエレメントを回転や移動、鏡映したモデルを用いての実行が可能となった。このため、例えば主翼に取り付けられたエンジンや胴体に取り付けられたランディングギアのようなアセンブリを複製して用いるようなフルビークル解析時のモデリングに要する時間を削減することができる。

統合疲労解析

ソルバに組み込まれた疲労解析機能では、効率性と使い勝手の改善のために以下の改良が行われている。

  • 反復的な負荷に晒される自動車やその他構造物において問題の原因となる溶接部の検証を容易にするシーム溶接およびスポット溶接の疲労解析に対応
  • 標準的な引張または圧縮応力寿命に関する疲労解析結果の正確性の検証に役立つ、多軸アセスメント機能の導入
  • 計測されたデータに基づく負荷履歴の駆動の支援を可能とする、業界標準のリモートパラメーターコントロールファイルへの対応
  • 精度を犠牲としないパフォーマンス改善

先進的非線形解析

「MSC Nastran 2014」では、アセンブリモデリング用の安定性の高い接触機能をユーザーへ提供し、不連続メッシュや摩擦、熱移動のような一般的な接触に用いることができる。接触する2体のどちらがマスターかを区別する必要はなくなり、さらにメッシュサイズへの依存を削減することでセットアップタイムを単純化する。風力タービンのようなあらかじめ応力のかかったボディにおける固有値展開のような複雑な問題へのソリューションにもなっている。

陽解法非線形解析

「MSC Nastran」では、複雑な流体構造における相互作用問題の解決のために、計算資源を大量に必要とする陽解法非線形解析機能がしばしば用いられる。「MSC Nastran 2014」では流体と流体に接する表面間のカップリングサーフェスの定義が改善されたことにより、マルチコア構成におけるパフォーマンスが2倍に改善されている。

数値法とハイパフォーマンスコンピューティング

「MSC Nastran」における非線形ソリューションは、最新のマルチコアハードウェアを活用してより高いスループットを実現でき、総所要時間は半分まで削減される。非対称型システム用周波数計算において、モデル周波数応答解析が3倍高速化されている。これはタイヤの転がりモデルを取り込むと非対称モデルとなる自動車産業で特に重要となる。外部音響問題は並列クリロフ法ソルバを用いることで短時間のうちに計算することができる。周波数応答解析では特に効果的で、同ソルバを利用することで95%の処理時間削減が可能となっている。

「MSC Patran 2014」の概要

最新バージョンの「Patran」は、「MSC Nastran」および「MSC Fatigue」の最新機能に対応する。CADインポート&エクスポート機能は最新のCADシステムに対応するよう改良されるとともに、25%高速化している。また、GUIによって新しい「MSC Nastran Embedded Fatigue」機能を利用することができる。モデルの忠実度を高めるためにモデルサイズを拡大するにつれて、より高速な描画を行う。