Delcam社が「ArtCAM Pro 2015 R2」をリリース

2015年10月26日

2015年10月23日 イギリス バーミンガム ―― Delcam社は2015年10月23日、同社のアート系CAD/CAMソフトウェアの最新版となる、「ArtCAM Pro 2015 R2」をリリースした。

ArtCAM 2015 R2では、3Dプリント用のサポート材構造の作成機能やベクトルを用いた簡易設計、リアルタイム更新、そして高速な切削シミュレーションを実現する設計オプションの追加などを含む、機能強化が行われている。

ArtCAM Proは技術者向けというよりは、熟練した職人を対象としている。工学的な素養やコンピューターに関する知識をあまり必要としないため、特に看板作成や木工、刻印業界で成功を収めてきた。ArtCAM Proはこの種の領域やその他の芸術的な用途において、ユーザーの生産性と品質を改善し、新しい設計を迅速に提供できる。この効果は、ユーザーの製作技術と創造性に対して、CAMシステムと精度と威力を結びつけることによって得られるものである。

ArtCAM Proの最新バージョンにおける主要な機能拡張は、3Dプリント用のサポート材構造を作成できるようになったことである。インテリジェントなサポート材構造を手動または自動で生成できるだけでなく、複数の製作物の3Dプリント出力をバッチ処理できる。この機能拡張に伴い、ArtCAMユーザーは複雑なモデルの製造の際に切削加工の代替として3Dプリントを選択可能となる。

ArtCAMにおけるベクトル設計に効果的な二つの新規オプションが追加される。一つは、ベクトル中のスナップポイントの位置を見つけにくい場合にスナップヒントが表示されるようになった。二つ目は、2Dおよび3Dの両表示においてベクトルの太さ変更が可能となり、設計の可視化がより容易になっている。

3Dビューにルーラーが追加されており、精密な図版の作成や小さな要素の位置決めなどの精度改善に効果がある。レリーフの交差と重複機能はさらに改良されており、インタラクティブなレリーフの混合が可能となっている。これにより、他の3D設計と組み合わせるために、レリーフクリップアートをZ軸方向に変更できるようになった。

モデリングツールについては、リアルタイム操作性が強化され、滑らかなドーム状の形状や中心線付の半球を作成可能となっている。また、複雑な織目を作成するオプションも導入されている。リアルタイム操作によって、求められる効果をより正確に作成可能となり、設計時間の短縮に貢献する。

アセンブリモデリングツールについても、アセンブリ要素をあるべき位置へドラッグ、回転する際の操作がより簡単、すばやく行えるようになっている。加えて、全ての変更操作についてアンドゥ操作が単純化されている。

レリーフレイヤーを互いにグループ化することで、複雑な設計を行う場合についても簡易化されている。例えば、ミニチュアや彫像の前面および背面の結合作業が従来よりも容易に行える。加えて、レリーフのスライスデータをDXF形式で出力できるようになり、背の高い対象物のレーザー切断加工についても容易に行える。

切削加工における機能強化は、新規アルゴリズムによるマシニングシミュレーションの大幅な高速化である。この新しいアルゴリズムは、現代的なグラフィックスカードに搭載されている専用のプロセッサーを用い、同時並行的に複数の操作を計算する。この効果は一般的なマルチスレッド処理でもたらされる効果よりも大きい。

その他の機能改善点としては、コーナー加工時にフィレットを追加可能なベクトルをサポートすることで、精度の高いスロット加工を実現する。関連する機能強化として、ナイフ切断によるコーナー作成時にループを追加可能となっている。

最後に、3Dオフセットストラテジーに二つのオプションが追加されている。一つは、外側から内部へ、または中心から外側に向けての渦巻き状ストラテジーをサポートした。これにより、工具の摩耗を軽減すると共に優れた表面仕上げを実現する。二つ目に、オンサーフェスリンクが使用可能となった。これにより、不要な突入動作やリトラクト動作を防ぎ、加工時間を節減できる。