Siemens PLM Software社が「Solid Edge ST9」を発表

2016年 5月23日

2016年5月17日 アメリカ フロリダ州 オーランド ―― Siemens PLM Software社は2016年5月17日、同社のメインストリームCADソフトウェアの最新版となる、「Solid Edge ST9」を発表した。Solid Edge ST9では、Solid Edgeの全機能を利用可能なクラウドライセンスが導入されると共に、ユーザー設定やコラボレーションツールについてもクラウドを介した柔軟で容易なアクセスを提供する。加えて、新規導入のビルトインデータ管理機能により、IT支援を必要とせずにユーザーがCADモデルを容易に管理できる。また、新規マイグレーションツールにより、おおよそ全てのCADシステムで作成された既存のデータを高速で変換できる。より包括的なデータ管理を実現するために、Solid Edge ST9では、世界で最も広く利用されているデジタルライフサイクルマネジメントソフトウェアであるTeamcenterポートフォリオへの手軽なアップグレードパスを用意している。また、重要なデータの管理タスクの単純化を支援するために、Solid Edge ST9ではTeamcenterとの連携機能が大幅に強化されている。

新たに導入されたクラウドオプションは、より迅速かつ柔軟な導入を可能とすることで、遠隔地間の設計チーム全体でのユーザーアクセスとコラボレーションを改善する。ライセンスとユーザー設定はクラウド上に保存され、いつでも、どこでもユーザー固有の作業環境へアクセスできる。加えて、Solid Edge ST9ではクラウドを介してデータの保存が可能なため、DropboxやOneDrive、あるいはGoogle Driveなどのオンラインストレージサービスを用いて、適切に管理しながら設計データを保存し、外部のサプライヤーや顧客と共有できる。上記の通り、オンラインでの効率的な作業を可能とする一方で、オフラインでの作業も従来通り行うことができる。

Hall Designs社オーナーのCraig Hall氏は、「業務上の理由から、自分がどこにいても、自分の設計プロジェクトへ迅速にアクセスできる柔軟性を私は必要としていました。Solid Edgeのライセンスとユーザー設定の両方に対してクラウドベースのアクセスが可能となることにより、ワークステーションに縛られることなくタブレットで作業を行うことで、多くの時間を節約できることでしょう」と語っている。

Siemens PLM Software社メインストリーム・エンジニアリング・ソフトウェア部門シニアバイスプレジデントのJohn Miller氏は、「Solid Edgeを実行することはかつてないほど迅速に、そして容易なものとなりました。Solid Edge ST9では、業界トップクラスの柔軟なライセンスオプションを提供します。新規のクラウド対応オプションと組み合わせることで、どのように購入し、導入し、そしてコラボレーションするかについての選択肢を備えた、容易に展開可能なソフトウェアを顧客へ提供できるでしょう」と述べている。

新たに導入されるビルトインデータ管理機能では、これまでに増大したCADデータを、ファイルとプロパティに対するインスタントサーチや影響分析によって管理できる。この機能を利用するうえで、データベースソフトウェアのインストールやデータベーステーブルの保守は必要とされない。設計管理ユーティリティは、高速かつ単純なリビジョンおよびリリースマネジメント機能や著しく改善されたデータ構成と一貫性を提供すると共に、日々のデータ管理作業を迅速に終えることを可能とする。

Solid Edge ST9では、Teamcenterとの連携機能強化のために、データ管理タスクへの統一的なアクセスを提供する新規リボンバー、およびActive Workspace用の統合ウィンドウが新たに導入されている。新規リボンバーにより、どこで使用されているかの検索やワークフローの開始、プロパティ情報を容易な表示や編集、データがどのように同期されるかの確認が可能となる。このため、新規ユーザーの学習曲線の高速化や、既存ユーザーがより早く、より一貫した形で作業を終えるうえで役立つだろう。また、情報へ迅速にアクセスするための、直感的かつ高度に視覚的な個人用環境であるActive Workspaceにより、設計者が必要とするデータをシンプルなテキストベースのフィルター式検索の実行が可能となり、そのようにして見つけたパーツをドラッグすることでSolid Edgeを用いた編集やアセンブリへの配置が行える。

新規マイグレーションツールは既存のCADデータインポート用ツールセットを拡張したものとなる。例えば、SOLIDWORKSのソフトウェアモデルと図面との間の参照関係を、Solid Edgeへ移行することが新たに可能となる。加えて、Solid Edge 2DからAutoCADへの強力なエクスポートツールは、Solid Edgeの図面要素をAutoCADへシームレスにマッピングする。Solid Edge ST9ではまた、Siemens PLM Software社が新たに発表したCatchbookソフトウェアによって作成された2D設計データへ容易にアクセスし、スケッチから高度な技術図面や3次元モデルをすばやく作成することが可能となっている。