Leicaレーザースキャナーのスキャンスピードを比較してみた
リリースされたLeica RTC360はどのくらい高速スキャン可能なのか?
Leicaよりリリースされた「Leica RTC360」は高速スキャン、そして高品質なカラー3次元点群データとHDR画像の生成に定評のある3Dレーザースキャナーです。スキャンスピードに定評があるRTC 360ですが、実際のスキャンにはどのくらい時間がかかるのでしょうか?
これまでLeicaがリリースしてきた小型レーザースキャナーBLK360や上級モデルScanStation Pシリーズを用いて、スキャンスピードを比較しました。
比較検証に使用したLeica レーザースキャナー
今回の比較検証には、BLK360、RTC360、ScanStation P40の3製品を用いました。
小型・軽量なBLK360
中型・軽量なRTC360
上級モデルScanStation P40
BLK360 | RTC360 | Pシリーズ | |
---|---|---|---|
最大測定レンジ | 60m | 130m | 120m・270m・1km |
スキャンスピード | 360,000点/秒 | 最大2,000,000点/秒 | 最大1,000,000点/秒 |
距離精度 | 4mm@10m | 1mm+10ppm | 1.2mm+10ppm |
最小スキャン密度 | 5mm@10m | 3mm@10m | 0.8mm@10m |
詳細スキャン | × | × | ○ |
ターゲットスキャン | × | × | ○ |
傾斜補正装置 | × | × | ○ |
GPS・IMU・コンパス | ×・○・× | ○・○・○ | ×・×・× |
動作温度範囲 | +5~+40℃ | -5~+40℃ | -20~+50℃ |
重量 | 1kg | 5.35kg | 12.25kg |
スキャンスピード比較
それぞれ約6mm@10mに設定し、同じ場所にてスキャン開始しました。今回はスキャニングと写真撮影の合計を計測時間とします。
RTC360は1分51秒、次いでBLK360が6分35秒、ScanStation P40が10分15秒かかる結果となりました。
RTC360そのほかの条件での測量スピード
スキャン条件を変更した場合でも、表のように高速でスキャニングできることが分かります。
スキャン密度 | スキャンレート | 最大測定距離 | スキャン時間 | スキャン+写真撮影時間 |
---|---|---|---|---|
3mm@10m | 2MHz | 65m | 1分51秒 | 3分弱 |
6mm@10m | 1MHz | 130m | 51秒 | 1分51秒 |
12mm@10m | 0.5MHz | 130m | 26秒 | 1分26秒 |
なぜRTC360はスピーディーなのか?
RTC360は1秒間に最大200万点をスキャンできるハイパフォーマンス3Dレーザースキャナーだからです。
土木・建設分野においては測量時間の短縮に大いに役立つでしょう。すぐに焦点のずれなどを確認できるので、必要に応じて撮り直しも繰り返せるため、撮影計画に基づいた要求精度を満たす3次元測量データの取得につながります。
合成に役立つ機能を搭載
そのほか、ユーザーの設定なしに自動的に合成処理を行うVisual Inertial System(VIS:ビジュアル慣性システム)や現場からオフィスにデータをシームレスに転送したりと、現場の作業時間短縮に役立つ機能を搭載しています。
建物などの大きな対象物や広域を計測する場合、さまざまな方向から撮影し最終的に一つデータに合成するという流れが一般的です。RTC360はGPSを内蔵しているため、自身がどの位置に移動したのかをメモリーでき、合成の際にずれが生じにくいという利点があります。
また、RTC360は1度のスキャンに付き2回転し、両回転でスキャンできた物だけを静止物と認識します。1回転にだけスキャンした対象は動きのある人や動物、乗り物と認識し、合成の際に自動で取り除けます。