SOLIDWORKS WORLD Japan 2017探訪記
SOLIDWORKS VisualizeとQuadro P4000が作り出す次世代の設計ワークフローとは?
3Dモデルをフォトリアリスティックなイメージへと変換するSOLIDWORKS Visualizeが待望のGPU対応を果たし、飛躍的な高速化を達成。いよいよ実現する次世代の設計ワークフローをSOLIDWORKS WORLD Japan 2017で取材しました。
GPU対応で飛躍的な高速化を果たしたSOLIDWORKS Visualize
3Dモデルにフォトリアリスティックな質感を与える
ビジュアライゼーションを日常的な設計ワークフローの一部にする
ミッドレンジ3D CADの代表的な製品として機械・家電等の製品設計に広く使われているSOLIDWORKS、そのビジュアライゼーション製品であるSOLIDWORKS VisualizeがGPU対応により飛躍的な高速化を果たしたという。そのパフォーマンスは設計ワークフローにどのようなインパクトを与えるのだろうか? 実際にSOLIDWORKS Visualizeを利用したレンダリングのサンプルの前でお話を伺った。
「SOLIDWORKS Visualizeを使うと、3Dモデルをあたかも実際の製品であるかのようにリアルなイメージ画像へと変換できますので、エンドユーザー側とのコミュニケーションがしやすくなります。つまり、営業やマーケティングの担当者の意見を早いうちに取り入れて設計を進めることができますので、何度も手直しをせずに短時間で設計を終えられます。
ただ、そこで鍵を握るのがリアリスティック性と高速性です。レンダリングをしてもそれがチープなものではお客様の期待感を損なってしまいますので、フォトリアリスティックに、つまり実物を写真に撮ったかのような高品質なイメージを作る必要があります。それには計算量が膨大になるため、時間がかかる点が問題でしたが、今回のGPU対応によって飛躍的な高速化が実現しました。
例えば、この作例の一つの香水ボトルのように反射光・透過屈折光が多重に複合するガラス素材のレンダリングは、CPU演算では50時間ほどかかっていたものがQuadro P4000のGPU演算では10分の1、ものによっては20分の1以下の時間で完成します。ここまで高速化すればビジュアライゼーションを設計ワークフローの中に日常的に取り入れられるようになります」(ソリッドワークス・ジャパン株式会社 久行氏)
P4000搭載・HP Zシリーズワークステーション
SOLIDWORKSの開発にも使われるワークステーションだから高速・安定の業務環境が手に入る
次は株式会社日本HPのブースを訪問して、実際にP4000を搭載したワークステーションでのリアルタイム・フォトリアリスティック・レンダリングの実働シーンを見せていただいた。
「こちらの自動車の画像は3Dモデルをレンダリングして作ったイメージですので、色や質感を変えて仕上がりを見るようなシミュレーションが手軽にできます。秒単位で変わりますのでどうぞご覧ください」(株式会社日本HP 清水康輔氏)
そう説明しながら清水氏が実際にカラーパレットから緑色や銀色を指定すると、ほんの少しの間ざらつきが見えたが、わずか1~2秒のうちに新しい指定色によるレンダリングが完了し、なめらかな画像が現れた。ハイエンドモデルのQuadro GP100ではさらに速く瞬間的に完了するが、そこまでの高速性を必要としない場合はP4000がコストパフォーマンスの高い選択となるだろう。
「当社とSOLIDWORKSは長年協調関係にあり、実際にSOLIDWORKSソフトウェアの開発やテストには長年HPのワークステーションが使用されています。CADプロフェッショナルが業務で使うマシンには高速性と同時に高い安定性が求められます。それを提供できるのが当社のZシリーズワークステーションなのです」(清水氏)
CADプロフェッショナル向けワークステーションに加えて、もう一つ目を引いたのがZVRバックパックで、これは平たく言えばケーブルレスでのVR体験を可能にする背負って歩けるVRマシンである。
「VRヘッドセットを装着して没入型のVR環境に入ると、歩き回りたくなりますよね。ところが、歩き回ろうとするとヘッドセットにつながるケーブルが邪魔になります。そこでワークステーションをバッテリーごと背負ってしまおう、というコンセプトで開発したのがこの製品です。P4000よりも強力なP5200を搭載しバッテリー駆動するため、ケーブルを気にせず自由に歩き回れるVR環境を構築できます」
実際にVRバックパックを背負ってヘッドセットを装着し、振り返るとそこに実際には存在しないはずの高級車が見えた。何もないと分かってはいても足を進めるのをためらうほどで、首を振れば振った方向に、身体を沈めればその高さで、歩き回ればその位置から、まるで実際の車を前にしているかのように体感と映像がシンクロするのは不思議な経験だった。このような先端的環境をソリューションとして提供できるのもHP社ならではだろう。
CADに関わるご相談をワンストップで解決
CAD環境構築・運用の細かな仕事を一手に引き受ける、大塚商会のSOLIDWORKSソリューション・サービス
SOLIDWORKS Visualizeの飛躍的高速化など、パワーアップしたSOLIDWORKSを実際に使おうとしたときに気になるのがサポートだろう。CAD業務を知りつくした充実のサポート提供が強みのSOLIDWORKS販売パートナーとして知られるのが大塚商会だ。
「ユーザーはCADを使って仕事がしたいわけですが、実際には『CADを使える環境を整える』ためにもいろいろと細かな知見が必要で手間暇もかかります。例えば、各社の事情に合った適切なワークステーションの選択とチューニング、操作教育とヘルプデスクにトラブルシューティングなど、いずれもユーザー企業はあまり知見を持たない部分ですし、ソフトウェア、ハードウェアベンダーも自社の製品に直接関わる範囲以外はサポートしきれません。そこで、お客様が本業に集中できるよう、そのような面倒な仕事を一手に引き受けるのが当社の役割です。SOLIDWORKS購入ご検討の際はワークステーションの選定から導入後の教育・運用サポートまでワンストップでご相談いただける当社にご用命ください」(大塚商会 佐々木氏)
3Dプリンターの発展普及と共に、3D設計ソリューションへのニーズも今後ますます強まることが予想される中で、こうしたサポート体制もまたその役割を高めていくだろう。