大容量のBIMデータもサクサク動かすAutodesk Revitに必要な動作環境は?
2018年 6月28日
建設業
BIMのためのソフトウェア、Autodesk Revit(以下、Revit)では、大規模なBIMデータを扱う機会もあります。「Revitが遅い」と感じていませんか?
Revitの動作環境は既に公開されていますが、実際の操作において、どこに負荷がかかっているのかを知ることで、メモリーを増設するのか、グラフィックボードを交換するのかなど対策が立てやすくなります。実際にRevitを操作した動作検証レポートをお送りします。
Revitの起動
起動時はディスクのI/Oに対しての負荷が高くなります。CPUはシングルスレッドでしか動かず、メモリーも大幅に上昇する傾向ではありません。
また、SATA HDDに比べM.2.SSDにすると起動時間が4分の1ほどに縮まっており、M.2.SSDが効果的であることが分かります。
Revitのモデルを開く
モデルを開いた直後にディスクI/Oの負荷が一気に高くなり、CPUも全コアではありませんがマルチスレッドで処理をしているようです。メモリーもモデルデータを読み込むにつれて使用率が増えてきています。グラフィックスはモデルの読み込みが完了したときに一瞬負荷が高くなっています。
また、先ほどのRevitの起動に比べるとM.2.SSDの効果はそれほど得られないようです。
ビューイング1 平面図1stStoreyでズーム・画面移動
2次元図面表示につき軽めの処理となりますので、グラフィックスリソースはそれほど使用されません。使用しているメモリーサイズも一定、CPUもマルチスレッドで動いているようですが、フルでは使用されていません。
この処理自体はグラフィックスがメインですが、Intel HD Graphicsが2D表示が一番滑らかで、Quadroシリーズはハイエンドからローエンドまで同じようなフレームレートでした。
ビューイング2 3D画面でズーム・画面移動・画面回転
今度は3D画面の表示となりますが、これでも2Dの傾向に近く、それほどグラフィックスリソースは使用されていないようです。CPUもある程度使用されています。
2D表示に比べると、QuadroとIntel HD Graphicsが逆転し、Quadroの中でもスペックが高くなるほどフレームレートがわずかですが、高くなる傾向にあります。
ビューイング3 3D画面で断面ボックス表示
この処理はグラフィックスリソースはほとんど使われず、CPU処理がメインのようです。ただし、CPUも全コアを使われるわけではないようです。Intel HD GraphicsでCPUリソースが消費されている構成では少し性能が劣り、M4000は一番処理が速く完了しています。
断面図ビューで「隠線処理」の画面切り替え
この処理はCPUを大幅に使うタイミングでグラフィックスも大きくはありませんが、同じように使用されています。Intel HD Graphics以外のQuadroモデルはほとんど性能差がありません。
リアリスティック切り替え ~3D画面で「リアリスティック表示」~
この処理はCPUが大幅に使われ、処理の開始時からディスクI/Oも少し発生し、半ばくらいになるとグラフィックスが使われるようになっています。
Intel HD GraphicsモデルとQuadroモデルでの性能差が顕著になっています。Quadroモデルの中では一番高いクロックを持つM4000が一番処理が高速です。
レンダリング
この処理はCPUがフルに使われ、GPUでもレンダリングのアシストをしているためグラフィックスも使われています。Intel HD Graphicsモデルが一番遅い結果となり、Quadoモデルの中でもM4000モデルが最も速い処理ができています。
まとめ
CPU
レンダリングがメインでなければ、4コアでよりクロックの高いモデルがよい。
メモリー
扱うBIMデータの規模にもよりますが、16~32GBほどあれば充分といえる。
グラフィックス
ハイエンドモデルを選択してもそれほど大きな恩恵はなさそう。ミッドレンジクラスのQuadroまでで充分といえる。
ディスク
起動、処理などディスクI/Oに負荷がかかることからSSDを搭載すると全体的にパフォーマンスが向上する。