【レポート】Autodesk University Japan 2018

2018年11月 9日

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2018年8月31日にグランドニッコー東京台場で開催された「Autodesk University Japan 2018」では、「創造の未来」をテーマとし、新しい手法の事例紹介や展示がされていました。講演の端々に「自動化」「ロボット」という言葉が含まれており、トレンドを感じ取れました。

働き方改革に貢献するために

最初にオートデスク株式会社 代表取締役社長 織田浩義氏があいさつされた。

労働人口が大幅に減少している今、少ないリソースで生産性を高めるには仕事のやり方を変える必要があり、それを実現するのが3Dモデルのフル活用であると語った。これにより、日本政府が推進している「働き方改革」に貢献できると締めくくった。

ロボットを用いた自動化

続いて、米国オートデスク社 上級副社長 スティーブ・ブラム氏が登壇し、オートデスクが目指す姿を語った。

世界中の都市において人口過密が進んでいる。人口過密が進行するにつれ、より多くのモノ(食品・水、住居、製品、インフラ、エネルギーなど)の需要が高まる一方で、減少していくモノ(資源、熟練労働者など)もある。限られたリソースの中で生産性を高めるには、これまでの仕事のやり方を変える必要がある。その鍵となるのが「ロボットを用いた自動化」だ。

建設業における例

オランダの住宅メーカーでは、ジェネレーティブデザインツールとロボットを用いてカーボンニュートラルな家を造った。ジェネレーティブデザインツールで間取り、配置、収支の検証を行いながら3Dモデルを作り込み、工業でロボットが部材をアセンブリし、現場では組み立てるだけといったモジュール型の建設手法だ。この手法により、従来よりも少ない人数そして廃棄物を押さえながら短期間で家が完成した(現場ではわずか3日間で家が完成)。

さらに、建設作業員にセンサーを取り付け、気温、湿度、粉じんや毒、粒子などの環境を検知しながら安全性と効率化を図る「コネクテッドBIM(クラウドとBIM)」の例も紹介した。

製造業における例

とある自動車メーカーでは、ジェネレーティブデザインツールを用いて、約40%の軽量化、20%のも強化されたシートブラケットの設計に成功した。従来、ブラケットは八つのパーツから構成されていたが、ジェネレーティブデザインツールで強度解析を繰り返し、一つのパーツから成り立つブラケットを完成させた。しかも、3Dプリンティングに対応しているため、単一の素材から構成されるエコなブラケットに仕上がった。

このテクノロジーを全ての車両やサプライチェーンに適用できれば、大きな可能性が期待できるとしている。

オートデスクは自動化により仕事が奪われると悲観するのではなく、自動化を生かして、より優れた物を作り、改善し、価値のあるモノの創出を目指している。人が生み出すイノベーションと自動化を融合することで、私たちを取り巻く世界を大きく変えることができると語った。