3D CADを導入する場合、パソコンのスペックに気をつける必要があります。
3D CADのデータは2D CADデータよりも重く、特にアセンブリの作業中にスペックが低いノートパソコンを使用すると、形状を正しく表示できなかったり表示に時間がかかったりと、作業効率にかなりの影響が出ることがあります。3D CADをノートパソコンで利用する場合は、スペックの高いものが必要となります。
3D CADにはハイスペックのノートパソコンが必要
3D CADには操作時にストレスを感じないよう、ワークステーションと呼ばれる高いスペックのノートパソコンが必要です。
一般的なノートパソコンと比べるとかなり高価なものですが、ノートパソコンで3D CADを動かすためには導入する必要があるでしょう。
ノートパソコンを選ぶ際には、次の三つのポイントを考慮しておきましょう。
ポイント1.メモリー(RAM)は「32GB以上」を強く推奨
3D CADにおいて、メモリは作業データを一時的に保持する非常に重要な役割を担います。
| 最低限のライン:16GB | 小規模なパーツ設計や、簡単なアセンブリ、または2D CADが主体の場合は対応可能ですが、複数のアプリケーションを同時に開くとすぐに容量不足に陥る可能性があります。 |
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| 推奨ライン:32GB以上 | 中~大規模なアセンブリ、点群データ、レンダリング、シミュレーションなど、負荷の高い作業をストレスなく行うには、32GBが現在の標準的な推奨スペックです。 |
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| 大規模・ハイエンド向け:64GB以上 | 非常に巨大なデータセットや、高度な解析、BIM/CIMでの大規模プロジェクトを扱う場合は、64GB以上のメモリが推奨されます。 |
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ポイント2.グラフィックボード(GPU)は「NVIDIA RTX シリーズ」一択
3D CADで最も重要な要素の一つがグラフィックボードです。スムーズな画面操作や、正確な3D表示のために、CADと相性のよいプロフェッショナル向けGPUの選択が不可欠です。かつては「NVIDIA Quadro」シリーズが主流でしたが、現在は製品ラインアップが刷新され、高性能なNVIDIA RTXシリーズ(旧Quadroに相当するプロフェッショナル向け)が推奨されます。
| グラフィックボード名 | ソフト | 相性 | 特徴 |
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| NVIDIA RTX Aシリーズ / NVIDIA RTX (Ada Generation) | CAD | ◎ | 非常に高い互換性と信頼性。多くのCADメーカーが推奨するプロ向けGPU。 |
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| AMD Radeon PRO | CAD | ○ | ワークステーション向けですが、採用実績やメーカー推奨リストではNVIDIA RTXが優勢。 |
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| NVIDIA GeForce | ゲーム | △ | 基本的にゲーム用ですが、DirectXベースのCADソフトとの相性がよく、コストパフォーマンスに優れている。選ぶならミドルレンジ以上のモデル(RTX 4060など)がおすすめ。 |
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| AMD Radeon RX | ゲーム | × | 基本的にゲーム用で非推奨のケースが多く、相性が悪い。 |
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ポイント3.ディスプレイサイズと携帯性
3D CADの作業効率を最大化するには、作業領域の確保が不可欠です。
| メインの推奨サイズ:16インチ以上 | 広い作業スペースを確保し、多数のツールパレットや大規模なモデルを表示するため、16インチ以上のディスプレイを推奨。 |
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| 携帯性重視の場合:14インチ | 持ち運びが多い場合は、携帯性と視認性のバランスが取れた14インチのモバイルワークステーションが現実的な選択肢となります。 |
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複数ファイルを同時に開いたり、形状比較、参照データ確認などを行う場合は、本体のディスプレイに加え、外付けモニターを活用して作業領域を拡張することを強くお勧めします。外付けモニターの解像度は、1,920×1,080px(Full HD)以上、可能であれば高精細な4K(3,840×2,160px)ディスプレイを活用すると、より快適に作業できます。
3D CAD向けお薦めのノートパソコン
3D CAD用としてのスペックを満たしているお薦めのノート型ワークステーションをご紹介します。
全て製造業向け3D CADマシンとしてはもちろんですが、BIM / CIMに対応できるモデルについては建築系・土木系の3D CADマシンとしてもご活用いただけます。
HP ZBook X G1i 16インチ Mobile Workstation パフォーマンスモデル
| OS | Windows 11 Pro(日本語) |
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| プロセッサー | Intel Core Ultra 7 プロセッサー 255H (最大周波数5.1GHz、コア数16個) |
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| メモリー | 32GB(16GBx2)DDR5-5600 |
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| グラフィックス | Intel Arc 140T GPU(プロセッサー内蔵)およびNVIDIA RTX PRO 2000 Blackwell Generation Laptop GPU(8GB)(ISV認証あり) |
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| サイズ | W 359×D 251×H 23mm(最薄部) |
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| 重量 | 約2.04kg |
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| 価格 | 512,000円(税別) |
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重たいタスクの効率を大幅に向上し、長時間のCAD作業でも安定したパフォーマンスを発揮。
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HP ZBook Ultra G1a 14インチ Mobile Workstation
| OS | Windows 11 Pro(日本語) |
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| プロセッサー | AMD Ryzen AI MAX PRO 390プロセッサー (最大周波数5.0GHz、コア数12個、スレッド数24、キャッシュ76MB) |
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| メモリー | 64GB LPDDR5x 8000MT / sメモリー(オンボード) |
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| グラフィックス | AMD Radeon 8050Sグラフィックス(SoC内蔵/グラフィックス コア数 32個)(ISV認証あり) |
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| サイズ | W 312×D 215mm×H 9.2mm(最薄部) |
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| 重量 | 約1.57kg |
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| 価格 | 527,000円(税別) |
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革新的なAI性能と携帯性を兼ね備えたモバイルワークステーション。場所を問わず、確かなパフォーマンスを発揮。
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まとめ:3D CADノートパソコン選定のチェックリスト
3D CAD用のノートパソコン(モバイルワークステーション)を導入する際は、以下のスペックを満たすモデルを選びましょう。
- メモリー:32GB以上
- グラフィックボード:NVIDIA RTX シリーズ
- CPU:Core Ultra7 / Ryzen 7 クラス以上
- ストレージ:NVMe SSD 512GB以上
- ディスプレイ:16インチ以上(持ち運びがメインであれば14インチ)
これらのスペックを満たすことで、3D CADの操作におけるストレスを最小限に抑え、作業効率を最大限に高めることができます。ご自身の利用予定のCAD製品の公式推奨環境と見比べながら、最適な一台をご検討ください。