3D CAD向けお薦めノートパソコンは? スペックから見る重要性

2025年11月 7日

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3D CADを導入する場合、パソコンのスペックに気をつける必要があります。

3D CADのデータは2D CADデータよりも重く、特にアセンブリの作業中にスペックが低いノートパソコンを使用すると、形状を正しく表示できなかったり表示に時間がかかったりと、作業効率にかなりの影響が出ることがあります。3D CADをノートパソコンで利用する場合は、スペックの高いものが必要となります。

3D CADにはハイスペックのノートパソコンが必要

3D CADには操作時にストレスを感じないよう、ワークステーションと呼ばれる高いスペックのノートパソコンが必要です。

一般的なノートパソコンと比べるとかなり高価なものですが、ノートパソコンで3D CADを動かすためには導入する必要があるでしょう。

ノートパソコンを選ぶ際には、次の三つのポイントを考慮しておきましょう。

ポイント1.メモリー(RAM)は「32GB以上」を強く推奨

3D CADにおいて、メモリは作業データを一時的に保持する非常に重要な役割を担います。

最低限のライン:16GB小規模なパーツ設計や、簡単なアセンブリ、または2D CADが主体の場合は対応可能ですが、複数のアプリケーションを同時に開くとすぐに容量不足に陥る可能性があります。
推奨ライン:32GB以上中~大規模なアセンブリ、点群データ、レンダリング、シミュレーションなど、負荷の高い作業をストレスなく行うには、32GBが現在の標準的な推奨スペックです。
大規模・ハイエンド向け:64GB以上非常に巨大なデータセットや、高度な解析、BIM/CIMでの大規模プロジェクトを扱う場合は、64GB以上のメモリが推奨されます。

ポイント2.グラフィックボード(GPU)は「NVIDIA RTX シリーズ」一択

3D CADで最も重要な要素の一つがグラフィックボードです。スムーズな画面操作や、正確な3D表示のために、CADと相性のよいプロフェッショナル向けGPUの選択が不可欠です。かつては「NVIDIA Quadro」シリーズが主流でしたが、現在は製品ラインアップが刷新され、高性能なNVIDIA RTXシリーズ(旧Quadroに相当するプロフェッショナル向け)が推奨されます。

グラフィックボード名ソフト相性特徴
NVIDIA RTX Aシリーズ / NVIDIA RTX (Ada Generation)CAD非常に高い互換性と信頼性。多くのCADメーカーが推奨するプロ向けGPU。
AMD Radeon PROCADワークステーション向けですが、採用実績やメーカー推奨リストではNVIDIA RTXが優勢。
NVIDIA GeForceゲーム基本的にゲーム用ですが、DirectXベースのCADソフトとの相性がよく、コストパフォーマンスに優れている。選ぶならミドルレンジ以上のモデル(RTX 4060など)がおすすめ。
AMD Radeon RXゲーム×基本的にゲーム用で非推奨のケースが多く、相性が悪い。

ポイント3.ディスプレイサイズと携帯性

3D CADの作業効率を最大化するには、作業領域の確保が不可欠です。

メインの推奨サイズ:16インチ以上広い作業スペースを確保し、多数のツールパレットや大規模なモデルを表示するため、16インチ以上のディスプレイを推奨。
携帯性重視の場合:14インチ持ち運びが多い場合は、携帯性と視認性のバランスが取れた14インチのモバイルワークステーションが現実的な選択肢となります。

複数ファイルを同時に開いたり、形状比較、参照データ確認などを行う場合は、本体のディスプレイに加え、外付けモニターを活用して作業領域を拡張することを強くお勧めします。外付けモニターの解像度は、1,920×1,080px(Full HD)以上、可能であれば高精細な4K(3,840×2,160px)ディスプレイを活用すると、より快適に作業できます。

3D CAD向けお薦めのノートパソコン

3D CAD用としてのスペックを満たしているお薦めのノート型ワークステーションをご紹介します。

全て製造業向け3D CADマシンとしてはもちろんですが、BIM / CIMに対応できるモデルについては建築系・土木系の3D CADマシンとしてもご活用いただけます。

HP ZBook X G1i 16インチ Mobile Workstation パフォーマンスモデル

OSWindows 11 Pro(日本語)
プロセッサーIntel Core Ultra 7 プロセッサー 255H
(最大周波数5.1GHz、コア数16個)
メモリー32GB(16GBx2)DDR5-5600
グラフィックスIntel Arc 140T GPU(プロセッサー内蔵)およびNVIDIA RTX PRO 2000 Blackwell Generation Laptop GPU(8GB)(ISV認証あり)​
サイズW 359×D 251×H 23mm(最薄部)
重量約2.04kg
価格512,000円(税別)

重たいタスクの効率を大幅に向上し、長時間のCAD作業でも安定したパフォーマンスを発揮。

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HP ZBook Ultra G1a 14インチ Mobile Workstation

OSWindows 11 Pro(日本語)
プロセッサーAMD Ryzen AI MAX PRO 390プロセッサー
(最大周波数5.0GHz、コア数12個、スレッド数24、キャッシュ76MB)
メモリー64GB LPDDR5x 8000MT / sメモリー(オンボード)
グラフィックスAMD Radeon 8050Sグラフィックス(SoC内蔵/グラフィックス コア数 32個)(ISV認証あり)
サイズW 312×D 215mm×H 9.2mm(最薄部)
重量約1.57kg
価格527,000円(税別)

革新的なAI性能と携帯性を兼ね備えたモバイルワークステーション。場所を問わず、確かなパフォーマンスを発揮。

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まとめ:3D CADノートパソコン選定のチェックリスト

3D CAD用のノートパソコン(モバイルワークステーション)を導入する際は、以下のスペックを満たすモデルを選びましょう。

  • メモリー:32GB以上
  • グラフィックボード:NVIDIA RTX シリーズ
  • CPU:Core Ultra7 / Ryzen 7 クラス以上
  • ストレージ:NVMe SSD 512GB以上
  • ディスプレイ:16インチ以上(持ち運びがメインであれば14インチ)

これらのスペックを満たすことで、3D CADの操作におけるストレスを最小限に抑え、作業効率を最大限に高めることができます。ご自身の利用予定のCAD製品の公式推奨環境と見比べながら、最適な一台をご検討ください。

さらに詳しく知りたい方へ

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