大型産業機械のメーカーに未来をもたらす5つの技術革新

2019年 7月 4日

製造業

大型産業機械の分野で競争力を維持するべく、世界各地の製造企業が自動化や3Dプリントなどのデジタルトランスフォーメーションを推し進め、成功を収め始めている。メーカー各社はこの伝統的な業界に対し新しい取り組みを行うことで、不要なコストを削減し収益を拡大しつつある。

例えば、高リスクの作業環境に訓練可能な協働ロボットを配備することで人々を危険な作業から除外し、より満足感の高い仕事へと解放している。この技術革新について「Redshift 日本版」から紹介する。

イノベーションの活用例

こうしたイノベーション(技術革新)をメーカーがビジネスの強化や自動化、近代化に活用している5つの例を挙げる。

  1. ジェネレーティブデザイン
  2. 金属3Dプリンター
  3. 自動化
  4. 自動化とその他の先進的な製造テクノロジーを組み合わせ
  5. ロボティクスシステム

1.重機メーカーがジェネレーティブデザインを現実のものに

創業113年を迎えるClaudius Peters(ドイツ)は、セメントや鉄鋼、石膏、アルミ産業向けのバルク材処理装置を提供している。デザイン目標と制約を取り込み、無数の組み合わせの選択肢を生成するジェネレーティブデザインソフトウェアの実演デモを目にした同社は、それを同社のセメント業界向けの主力製品になってきた大型機械の最適化に活用。

この新生期のソフトウェアが、実に30~40%も軽量なパーツの生成に役立った。Claudius Petersは新生のテクノロジーを導入することで、材料とエネルギーコスト、リードタイムの削減へ突き進んでいる。

Claudius Petersがジェネレーティブデザインでプロセスした最初の成果である「エイリアンのパーツ(右)」は、オリジナルのパーツ(左)や従来の最適化を行ったパーツ(中央)とは全く異なるものになった[提供: Claudius Peters]

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2.Desktop Metalが巨大で高速な金属3Dプリンターの大量生産へ

米ニューハンプシャー州を拠点とするテック企業Desktop Metalが製造する巨大な金属3Dプリンターは、ステンレスやアルミなどの合金製部品を組立ラインに匹敵するスピードと量で製造できる。

4台の機械全体は長さ4.9m、高さ1.8m、重量はSUV1台分ほどで、航空宇宙業界で使われている既存のハイエンドシステムの100倍のスピード、20分の1のコストで3Dプリントが可能。従来の製造プロセスに必要だった機械加工も不要だ。

3. SABICが積層板大規模製造の自動化を推進

SABICは石油化学製品、産業用高分子材料、化学肥料、金属を製造するサウジアラビアの企業。先日発表を行ったデジタル複合材料製造ラインは、カスタムメイドの熱可塑性複合材料積層板の大規模生産向けに設計されている。

このラインはロボット工学を含むデジタル技術を活用して、平積層板のカスタマイゼーションと同時にサイクル時間とコストの削減を実現。このシステムは毎分4枚、年間150万枚の積層板を生産可能とされている。

このほかのイノベーション

ご紹介した以外のイノベーションとして、以下の二つがある。

4. アウディが製造業界のイノベーションをドライブ

5. Strata Manufacturingが航空機部品の製造にロボティクス システムを導入

本記事は「創造の未来」をテーマとするオートデスクのサイト「Redshift 日本版」の記事の一部を、許可を得て転載したものです。

この記事の提供者

Rosa Trieu

ローザ・チュウはテクニカル ライター/ジャーナリストで、より多くの情報へアクセス可能となるように取り組んでいます。サンフランシスコ在住。

【Redshift 日本版】大型産業機械のメーカーに未来をもたらす5つのイノベーション