Autodesk Forge運用のちょっとした勘違い

2021年 9月30日

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Autodesk ForgeによるDesign Automation APIは、クラウド上でユーザーインターフェイスのない軽量なコアエンジン(AutoCADなど)を実行させ、機能拡張を展開することによりファイルなどの成果物を得るといったソフトウェアの機能を共有できる仕組み(API)です。

Design Automation API for AutoCADの運用に焦点を絞って、Autodesk Forge運用のちょっとした勘違いについてご説明します。

AutoCADアドインをクラウド化してワークフローを強化 ~Autodesk Forge~

Design Automation APIの正しい理解

Design Automation API for AutoCADを理解するには、成果物のデータをダウンロードし、紙に印刷して社外とコミュニケーションするといった従来通りのものではなく、デジタルで配信・コラボレーションするような発展的思想の転換が必要です。

DX=クラウド採用ではない

例えば、Web・クラウド時代の生産性向上や自動化を目指すにあたり、社内サーバーのAutoCAD利用からクラウドで稼働するDesign Automation API利用に切り替えただけでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の利点は感じられないはずです。

デジタルトランスフォーメーションは、デジタル技術を利用したワークフローの見直しを目的とすべきと考えます。

Design Automation API よくある勘違い

Design Automation API環境は、ほかのForge APIと同じくオートデスクがクラウド上に構築している開発プラットフォームです。そのため、Autodesk Forgeを利用するアプリケーション(Forgeアプリ)は、通常、WebサーバーでWebアプリとして動作することになります。

Forgeアプリを利用する場合は、ユーザーが利用するデバイス(パソコンなどの電子機器)からWebブラウザーを利用してさまざまな処理作業を送信し、Forgeアプリからの応答状況を確認しながら、処理結果を取得することになります。

  • 対話的な表示/編集機能はありません(AutoCAD Webのようなものではない)。
  • ビューアー機能はありません。必要に応じてForge Viewerの利用を検討できます(注1)。
  • CAD利用者向けのサービスではなく、開発者向けのサービスです。
  • サーバーモジュールではありません。また、オンプレミスサーバー版ではありません。

オンプレミス環境で実現していたパフォーマンス対比は意味がない

Autodesk Forgeからの応答には、伝送路としてインターネットを利用するため、使用する時間帯や他社クラウドサービスの使用状況など利用時のインターネット環境(使用状況)によって、応答までに時間がかかってしまう可能性も考えられます(昨日より早い、昨日より遅いなど)。

例えば、非常に短い間に数多くのリクエストが集中した場合(スパイクアクセス)、必要数の仮想マシン展開に時間がかかり、処理完了までに「通常」よりも多くの時間を要してしまう場合です。

アドインの処理内容や扱う図面(データ)サイズによっても処理時間は変わるため、定型的に予測することは難しい面もありますが、伝送路にインターネットを使用することもあり、少なくともオンプレミス環境で実現していたパフォーマンスとの比較はあまり意味を持ちませんのでご注意ください。

オートデスクでは、このような遅延を低減するための投資を続けていくようです。

ワークフローの見直しから生まれる新しい価値の創出・発見

デジタルトランスフォーメーション成功のカギは、ワークフローの見直しから生まれる新しい価値の創出・発見にあるはずです。そんな観点でAutodesk Forgeの導入・運用を検討していただければと思います。

従来のローカル環境でのアドインアプリの運用は、設計部を主体としたものになっていたことに気が付きます。逆に、クラウド環境を使ったDesign Automation APIの運用は、設計業務を超えた他部署や関係企業、エンドユーザーを含めた連携と自動化が可能になります。

具体的には、次のような内容を容易に実現できるようになるはずです。

  • 営業担当者がお客様の要望に応じて製品の仕様(サイズ、タイプ、数量など)をWebページに入力、Design Automation API for AutoCADを起動、アドインをロード・実行して、入力値に沿った見積図面を生成して返す。
  • 外出先(在宅)で引き合いのあるお客様から取り扱い製品のPDF図面提出を依頼された。
  • 多数の製品図面からブロック(ブロック属性)を集計して月に一回コストを算出したい。
  • 異なるオフィスに分散している設計部間で、外部へ図面を持ち出すための出図承認管理のワークフローを確立したい。
  • 自社が販売する製品の図面を外部企業の設計用にDWGやDXFでダウンロード提供したいが、希望する形式やバージョン分を事前に用意しておくには数量が多く現実的ではない。提供前にファイル形式や対応バージョンを入力させて、機動的に適切な形式・バージョンの図面を提供したい。
  • 3DモデルからWebコンフィギュレーター(製品の見積りのための選定を行うツール)を用いて、選択された仕様に基づいた取扱説明書を自動生成させたい。

もし、既にAutoCADアドインアプリお持ちであれば、Design Automation API for AutoCADで可能になるワークフローを想像してみることをお勧めします。

Autodesk Forgeを活用した具体的なワークフローは次のページをご覧ください。

AutoCADアドインをクラウド化してワークフローを強化 ~Autodesk Forge~