点群処理に必要なパソコンのスペックは?

快適に点群処理するワークステーションを比べてみた

国土交通省は、インフラ分野でのDXとして、2023年度までに小規模を除く全ての公共工事においてBIM/CIM原則適用に向けた取り組みを推進しています。そのため、3次元データの活用が急速に拡大し、大容量の点群データ運用や、計測機器の多様化、オープンデータの活用など、高度な点群データを活用するケースが増加しています。

令和3年のリクワイヤメントはBIM/CIM活用ガイドラインにヒントあり!

土木工事の現場や大規模災害の現場において、デジタル化に不可欠な点群データですが、大規模な現場では、その撮影範囲は広範囲に及びます。そのため、必然的に点群データは数GB~数十GBにもなる非常に大きいデータになります。一般的なパソコンでは、動作させることが難しいため、現場で利用する際などには、画像や動画といったデータに変換して利用しているというケースも多くあります。

しかし、現場にワークステーションを持ち込むことができれば、大きいデータの点群データもその場で確認することができるようになります。携行を可能にするモバイルワークステーションですが、実際タワーとの性能の違いはどの程度あるのでしょうか。実際に点群データ処理ソフトの「ReCap」と「TREND-POINT」を使って、モバイルとタワーの性能を比較してみました。

この記事を詳しく解説した資料があります

モバイルとタワーのスペック

今回、比較する機種のスペックは下記のとおりになります。

 HP ZBook Fury
16inch G9

マシンA

HP Z2 Tower G9

マシンB

HP Z2 SFF G9

マシンC

CPUインテル Core i7-12850HXインテル Core i7-12700
(2.1GHz / 12コア / 25MB / 4800MHz)
インテル Core i9-12900
(2.4GHz / 16コア / 30MB / 4800MHz)
メモリー64GB32GB64GB
グラフィックボードNVIDIA RTX A3000
(12GB)
NVIDIA T1000
(8GB)
NVIDIA RTX A2000
(12GB)
ストレージ2TB M.2 SSD1TB HDD×1
1TB HP Z Turboドライブ G2
1TB HDD×1
1TB HP Z Turboドライブ G2
  • HP ZBook Fury 16inch G9 Mobile Workstation

  • HP Z2 Tower G9 Workstation

  • HP Z2 SFF G9 Workstation

スムーズな高速処理を実現する「TREND-POINT」

TREND-POINTは国土交通省が推し進めるi-Constructionにより、急速に普及が進む点群データの処理・活用を支援。膨大な点群データを快適に取り扱えるだけでなく、豊富なフィルター(ごみ取り)による点群データの加工や断面作成、メッシュ土量計算などを行える3D点群処理システムです。

検証項目サイズ(GB)全点HP ZBook Fury
16inch G9

マシンA

HP Z2 Tower G9

マシンB

HP Z2 SFF G9

マシンC

起動初回:6.2秒
2回目:4.2秒
初回:1.9秒
2回目:1.2秒
初回:3.2秒
2回目:2.1秒
開く
(画像復元点群
.ply形式)
261,793,483,3479分41.3秒7分05.2秒6分38.4秒
10696,113,3251分58.6秒1分34.9秒
3179,348,33437.5秒33.8秒
開く
(LiDAR点群
.ply形式)
3223,857,0431分07秒55.6秒50.4秒
開く
(画像復元点群
.E57形式)
261,793,483,3479分41.3秒5分46.8秒5分01.7秒
10696,113,3252分04.8秒1分32.2秒
3179,348,33426.0秒22.8秒
開く
(LiDAR点群
.E57形式)
3223,857,04337.9秒30.9秒
ビューイング1
ズーム・画面移動
ビューイング2
3D回転

まずは起動について、マシンAのモバイルワークステーションでは、初回6.2秒、2回目4.2秒でした。マシンBのデスクトップは、初回1.9秒、2回目1.2秒、マシンCのデスクトップは、初回3.2秒、2回目2.1秒でした。初回、2回目共にBが早い結果となりましたが、そのマシンでも、それほど気にある遅さは感じられませんでした。

デジタルアーカイブ化された「かしいかえん」(西日本鉄道様提供)のデータを用いて、比較してみました。サイズ26.2GB、全点1,793,483,347のデータにおいて、画像復元点群.ply形式で開いた場合、マシンAのモバイルワークステーションでは9分41.3秒でした。マシンBのデスクトップは7分5.2秒、マシンCのデスクトップは6分38.4秒でした。マシンCがかなり早いという結果になりました。サイズ3.2GB、全点223,857,043のデータにおいて、LiDAR点群.ply形式で開いた場合、マシンAが1分7秒、マシンBが55.6秒、マシンCが50.4秒という結果になりました。

マシンCが最も早いという結果になりましたが、モバイルワークステーションでも、それほどストレスを感じるほどの遅さではないかと思います。

データ提供:デジタルアーカイブ化された「かしいかえん」(西日本鉄道様)

かしいかえん3次元計測 復元点群(youtube)

AECコレクションにも含まれる「Autodesk ReCap」

AECコレクションにも含まれるReCapには、点群を扱うReCap Proと、写真から3Dモデルを作成するReCap Photoがあります。ReCap Proは、点群データを編集・可視化するデスクトップアプリケーションで、他のオートデスク製品で点群データを取り扱うための前処理が行えます。また、Faro、Leica、Z+F、Topcon、Rieglなどのレーザースキャンファイルを読み込んで、3D点群データやパノラマビューの視覚化が行えるほか、点群データに対して、表示領域の設定、不要点の削除、距離や角度の計測、注釈の記入などが行えます。

検証項目サイズ(GB)全点HP ZBook Fury
16inch G9

マシンA

HP Z2 Tower G9

マシンB

HP Z2 SFF G9

マシンC

起動初回:10.3秒
2回目:7.1秒
初回:8.2秒
2回目:6.5秒
初回:8.1秒
2回目:7.6秒
開く
(画像復元点群
.ply形式)
26.31,793,483,3471時間27分39.3秒1時間29分07.6秒1時間00分20.9秒
10.2696,113,32517分20.3秒15分02.2秒
2.6179,348,3344分56.5秒5分00.3秒3分34.6秒
開く
(LiDAR点群
.E57形式)
3.2223,857,04317分56.3秒10分06.3秒7分27.5秒
ビューイング1
ズーム・画面移動
ビューイング2
3D回転

まずは起動について、マシンAのモバイルワークステーションでは、初回10.3秒、2回目7.1秒でした。マシンBのデスクトップは、初回8.2秒、2回目6.5秒、マシンCのデスクトップは、初回8.1秒、2回目7.6秒でした。初回はマシンBとマシンCがやや早く、2回目はさほど違いがないという結果となりました。

Autodesk ReCapにおいても、デジタルアーカイブ化された「かしいかえん」(西日本鉄道様提供)のデータを用いて、比較してみました。サイズ26.3GB、全点1,793,483,347のデータにおいて、画像復元点群.E57形式で開いた場合、マシンAのモバイルワークステーションでは1時間27分39.3秒、マシンBのデスクトップは1時間29分7.6秒で、この2台ではほとんど差がありませんでした。マシンCのデスクトップは1時間20.9秒で、マシンCが最も早かったのですが、それでも1時間以上かかるという結果になりました。

サイズ3.2GB、全点223,857,043のデータにおいて、LiDAR点群.E57形式で開いた場合、マシンAが17分56.3秒、マシンBが10分6.3秒、マシンCが7分27.5秒という結果になりました。マシンCが最も早いという結果になりましたが、Autodesk ReCapにおいては、どのマシンでもそれなりの時間がかかることが分かりました。

考察

マシンCのデスクトップワークステーションが総合的に最も早く動作したという結果になりました。

ただ、TREND-POINTを活用するのであれば、モバイルワークステーションでも十分に業務に対応できるといえるのではないでしょうか。モバイルワークステーションであれば、現場業務や出張先などにも携行できる柔軟性があります。オフィス以外でもオフィスにいるのと同じ業務が可能となるモバイルワークステーションの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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