HP ワークステーションに採用された第12世代インテル Core プロセッサーの真実

インテル×HP×大塚商会が語る!

これまでワークステーションといえば、基本的にインテル Xeon プロセッサーが採用されることがほとんどだった。それが今回、クライアントPC向けと思われていたインテル Core プロセッサーがデフォルトで採用されるというアナウンスが聞こえてきた。プロセッサーベンダーのインテル、PCベンダーのHPにはそれぞれどんな狙いがあるのか、その事実を赤裸々に語っていただいた。

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第12世代インテル Core プロセッサーのポジショニングは?

藤田:HPのワークステーションも続々と新製品が誕生しています。今回は第12世代インテル Core プロセッサーが採用されているのが大きな特徴かと思いますが、これまでワークステーションで主流だったインテル Xeon プロセッサーとの違いやポジショニングについて教えてください。

呉:インテルでは、ワークステーションのプラットフォームを三つのセグメントに分けて考えています。Mobile&エントリーですが、ここがインテル Core プロセッサーが採用されることになった部分です。メインストリームはこれまで通り、インテル Xeon Wシリーズが採用されます。エキスパートではサーバーで使われているインテル Xeon スケーラブルプロセッサーが搭載可能となっており、デュアルソケットにも対応します。

大塚商会 マーケティング本部 CADプロモーション部 CAD戦略推進課
藤田昌弘

以前は、タワー型ワークステーションは全てインテル Xeon プロセッサーでしたが、第12世代インテル Core プロセッサーもコア数最大16コアまでありますし、パフォーマンスも従来以上の性能を担保しているので今回からこのポジショニングになりました。もちろん、ECCメモリーもサポートしているのでワークステーションの安全な運用も可能です。ブランドが下がったというイメージがあるかもしませんが、インテルの中ではこれまでのインテル Xeon プロセッサーと同等のクオリティチェックをしていますので、心してご利用いただけます。

藤田:ありがとうございます。消費電力はどうなっていますか?

呉:第11世代インテル Core プロセッサーとほぼ同じですが、ターボブーストの性能が上がっているので効率はさらに良くなっています。環境にもよりますが、一般論でいえばターボブーストされている時間が長ければ消費電力はもちろん増えます。そのかわり演算効率は向上するのでパフォーマンスは上がっているはずです。

藤田:よりメリハリがきいた形で制御できるというわけですね。社会的な期待として、XRテクノロジーやメタバースなどがありますが、インテルとしてこれらを含めた未来像はどのように捉えていますか?

呉:XRのワークロードにとって高性能なCPUは欠かせないといえます。AR、VRのコンテンツを作成する際にGPUのパワーやパフォーマンスが重要ですが、全ての作業をGPUに頼ることはありません。作成ツールの実行、物理演算、レンダリング、いろいろな作業にとってCPUはとても重要です。

XRのコンテンツやアプリを利用する際にもCPUのパフォーマンスが不足していれば高品質な体験も得られません。ですから、XRやメタバースなどを実際に活用していくにはCPUはクリティカルな存在になると考えます。インテルとしては引き続きCPUの性能を進化させることでAR、VRの普及に貢献し、新しい技術の向上に寄与していきたいと考えています。

各方面から評価が高まっている機能・パフォーマンス

藤田:今回発表された第12世代インテル Core プロセッサーでは、これまでにないテクノロジーが使われていると聞いています。実際に雑誌やWeb媒体を見ていると注目度も高いと思います。特に大きく進化したポイントを教えてください。

呉:今回の第12世代インテル Core プロセッサーには幾つか特長があり、一つはモバイルの省電力プラットフォームから、エントリーワークステーションまで、全て同じアーキテクチャで作られている点が挙げられます。

このアーキテクチャの中でも一番特長的なのはハイブリッド・アーキテクチャですね。同じCPUの中にPerformance-Core(P-Core)とEfficient-Core(E-Core)が搭載されていて、ワークロードの中でそれぞれの特性に合わせてこれを管理するインテル スレッド・ディレクターが実装されています。これによってスレッドを効率よく運用することが可能となっています。

インテル株式会社 セールス&マーケティンググループ クライアントコンピューティンググループセールス セールススペシャリスト
呉孝展氏

そのほか、DDR5メモリーやPCIe Gen5、Thunderbolt 4テクノロジー、Wi-Fi 6E、GNA3.0、IPUなどの最新テクノロジーにも対応しているところも特長です。

藤田:特に皆さん興味があるのは最新のハイブリッド・アーキテクチャだと思いますが、その点をもう少し詳しく教えてください。

呉:分かりました。シングルタスクを早く処理するように最適化されているP-Coreと、マルチスレッドにおいて高度なスケーリングで処理をするE-Coreがあります。これらを使い分けることによって以前のコアと同じ消費電力でも高いパフォーマンスが発揮できます。

インテル スレッド・ディレクターは全てのコアが今どんなタスクをやっているか、スレッドはどれぐらいあるかをハードウェアでモニタリングして、定期的にOSと連携して常に最新のスレッド情報を把握し、効率のよい演算処理をサポートします。これらの技術によって重要なタスクを正しいコアで処理できるようになるというわけです。

今までのプロセッサーよるスレッド処理イメージ

第12世代インテル Core プロセッサーよるスレッド処理のイメージ

インテル スレッド・ディレクターの役割イメージ

藤田:このテクノロジーはWindows 11に最適化されていると伺っていますが、Windows 10では使えないのでしょうか?

呉:Windows 11はインテル スレッド・ディレクターをフルサポートしています。Windows 10でも一部の機能は搭載できませんが、インテル スレッド・ディレクターは利用できます。今後、皆さんの環境もWindows 11に変わっていくと思いますので、その辺の心配はあまりないと思います。

HPワークステーションの第12世代インテル Core プロセッサー採用モデルはどうなる?

藤田:HPの最新モデルHP Z2 G9シリーズにも第12世代インテル Core プロセッサーの搭載が決定していると思います。このプロセッサーはCADなどにおいて優位性があると考えていますが、どのような製品となっているのでしょう?

石川:インテルさんからご紹介があった、第12世代インテル Core プロセッサーは我々も非常に期待を持っています。やはり、ハイブリッド・アーキテクチャによる演算の効率化については、今までにないプロセッサーだと思っています。このプロセッサーを当社のラインアップでは、エントリーモデルにあたるHP Z2 G9シリーズに採用しています。

株式会社 日本HP パーソナルシステムズ事業本部 ワークステーションビジネス本部 ワークステーション営業部
石川秀典氏

HP Z2 G9は超小型のMini、省スペースデザインのSFF、拡張性に優れたTowerがラインアップしていて、これは以前から続いている流れです。ユーザーの方々が、このワークステーションを利用するにあたり、目指す環境に合わせて好みで選べるようになっています。このモデルについてはCAD系で利用される方に人気のモデルで、大塚商会さんでもかなりの数を拡販いただいています。

第12世代インテル Core プロセッサーはパフォーマンスに優れているのでCADでの活用はもちろん、これまでHP Z4、Z6、Z8といったメインストリームからハイエンドモデルを選んでいただいていました。例えば、設計やCAEなどで利用の方々も、HP Z2 G9シリーズでも十分対応できるだけのポテンシャルを秘めていると思っています。

HP Z2 mini G9 Workstation

HP Z2 SFF G9 Workstation

HP Z2 Tower G9 Workstation

藤田:3D CADでも一連の作業はシングルコアをメインに使っています。ですので、実はたくさんのコアが並んでいるよりも、P-Coreで一気に演算処理をしてしまうという方が理にかなっていますよね。

石川:おっしゃる通りです。その考え方のもとターボブーストで一気に処理をしてしまう。そんな理想的なスレッド運用ができるようになっているので、かなり高効率になると考えます。

藤田:一方でCADの場合はレンダリングや設計者が解析をするようなケースではマルチコアを使うので、実際に私たちもベンチマークは採取しますが、その辺でもうまく効率化してくれると思うので大いに期待しているところです。先ほどMini、SFF、Towerがあるとおっしゃいましたが、選び方のポイントをお教えいただけますか?

石川:筐体の大きさはもちろんですが、選択できるプロセッサーは全て共通で、インテル vPro プラットフォームにも対応しています。違いはPCIeスロットの拡張性であったり、搭載できるGPUの種類が違ったりします。HP Z2 G9シリーズの場合、MiniとSFFがNVIDIA RTX A2000まで、TowerはNVIDIA RTX A5000までとなります。後はメモリーの搭載量も同じです。

そういった仕様によって選択することはもちろん、せっかくのデザインバリエーションを生かして設置場所で決めるのもよいと思いますが、まずはSFFを中心に検討いただき、より省スペースをということであればMini、逆にもっと拡張性が欲しいというときにはTowerをお選びいただくといったスタイルだと最適なモデルが見つけやすいと思います。

藤田:モバイルワークステーションにも第12世代インテル Core プロセッサーは搭載されるのでしょうか?

石川:はい。先日発表したばかりのHP ZBook G9シリーズに搭載されます。プロセッサーはモバイル版になりますが、こちらも優れたパフォーマンスを発揮しますのでご期待いただければと思います。

価格・販売スケジュール

 HP Directplusモデル
製品名最小構成価格
(税込)
製品発表販売開始日
HP ZBook Firefly 14 inch G9290,400円~6月14日
(プレス向け
事前説明会
6月9日)
7月7日
HP ZBook Firefly 16 inch G9310,200円~7月7日
HP ZBook Power 15.6 inch G9376,200円~7月時期未定
CCW 7/14予定
HP ZBook Studio 16 inch G9459,800円~7月時期未定
CCW 7/14予定
HP ZBook Fury 16 inch G9459,800円~8月下旬
  • * 本資料に記載されている内容は予告なく変更になる可能性があります。

藤田:先ほどお話に出たインテル vPro プラットフォームの特長について教えてください。

呉:インテル vPro プラットフォームというと、リモート管理に注目されますが、実はPCのセキュリティにも貢献できるテクノロジーも搭載しています。インテル ハードウェア・シールドというものになりますが、ファームウェアへの攻撃を最小限に抑え、管理領域への侵害を防止するほか、システムメモリーへの制御フローハイジャック攻撃にも対応します。また、AIとハードウェアベースで脅威を検出し、ランサムウェアや暗号マイニング攻撃を検出できるだけでなく、GPUを利用しているAIを持つセキュリティ対策ソフトの処理能力を向上させることも可能です。PCをあらゆる脅威から守れるテクノロジーですので、ぜひご活用ください。

藤田:ありがとうございます。最後にこの記事をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

呉:第12世代インテル Core プロセッサー搭載したワークステーションはインテルの最新技術を盛り込んだ製品です。ぜひ皆さんにハイブリッド・アーキテクチャの魅力と、インテル vPro プラットフォームが提供する安全性を体験していただきたいと思います。

石川:今回も大塚商会様にオリジナルモデルとしてHP Z2 G9シリーズを採用していただいています。その中からお客様の目的に合わせたモデルをご提案いただけると思いますので、CADやCAE、あるいはレンダリング全般でお困りのお客様はぜひ大塚商会様へお問い合わせいただきたいと思います。私たちも精いっぱいサポートさせていただきますのでよろしくお願いします。

藤田:さまざまなメディアを見ていても第12世代インテル Core プロセッサーの実力は高く評価されています。最新のHP Z2 G9シリーズおよびHP ZBook G9シリーズにご期待いただければと思います。本日はありがとうございました。

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第12世代インテル Core プロセッサー概要

主な内容

  • 飛躍的な性能向上
  • 次世代エントリーデスクトップワークステーション
  • 世代比較

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