勘・経験・度胸に依存しない新たな働き方を実現
ホログラム映像を投影するヘッドセットと高度な機能を持つコンピューターが一体となった「Microsoft HoloLens」。さまざまな可能性を引き出すMR(複合現実:Mixed Reality)ツールとして熱い注目を集めているこの新次元の機器が、2018年7月より大塚商会からもご提供できるようになりました。
まだまだ分からないことが多いMRの世界やMicrosoft HoloLensの魅力について、日本マイクロソフト株式会社(以下、日本マイクロソフト社)HoloLensグローバルセールスチームの村中徹氏に詳しく伺いました。

可能性は無限大。Microsoft HoloLensによって広がる世界
VRでもARでもないMR(複合現実:Mixed Reality)とは?
-まず、Microsoft HoloLensが実現するMRとは一体どのようなものなのでしょうか。最近よく耳にするVRやARとの違いについて教えてください。
村中氏「ご存じのように、VRは全てデジタルで構成された仮想現実のことです。一方、ARは人間が認識する『物理的現実』にデジタルの情報を付加したもの。この両者の良い部分を合わせたのがMRです。例えば、航空機の機体に気流を可視化した3D映像を投影してより精度の高い流体解析を行うなど、実験・開発に用いることができます。
現実とデジタルを合わせるという意味ではARと近いのですが、MRはデジタルコンテンツをジェスチャーや音声コマンドなどを通じて操作することができる。これこそがMRの大きな特長と捉えています」。

日本マイクロソフト株式会社
HoloLensグローバルセールスチーム
村中徹氏
Microsoft HoloLensとは一体どんなもの?
-そんなMRを可能にするMicrosoft HoloLensは、どうやら既に世に出ているスマートグラスやほかのMR用ヘッドセットとは実用性や機能面において一線を画しているようですが…
村中氏「多くのスマートグラスが2Dの画面で情報を出すのに対し、Microsoft HoloLensは3Dのホログラムで情報を提示することができます。しかもMicrosoft HoloLensは、高精度の空間認識機能を備えているので、ホログラムを正確に現実世界へ投影することができます。
例えば、テーブルがある部屋でホログラムを投影した場合、Microsoft HoloLensはテーブルがあることを認識するので、天板を突き抜けてホログラムが表示されることはまずありません。一方、ほかのMR用ヘッドセットとの顕著な違いは、Microsoft HoloLensが単体で成り立つ『自己完結型ホログラフィックコンピューター』であるという点です。コンピューティング機能を内蔵しているので、ほかのヘッドセットのようにPCやスマートフォンと接続する必要がなく、より自由に動き回ることができます。
さらに、使用しているOSがWindows 10ですので、セキュリティ機能が高く、対応するソリューションが多いのも大きな特長といえるでしょう」。
職人に頼らなくても作業を完遂
-モビリティーに優れているMicrosoft HoloLensは、ハンズフリーという特性も相まって幅広い分野の作業に適用できますね。医療や不動産、製造、教育などさまざまな分野への導入が進む中、建築現場でもその威力を存分に発揮しています。
村中氏「従来の建築現場では、2Dで描かれた図面を現実世界に落とし込む際にかなりの部分を職人の感覚に頼っていました。
ところが、Microsoft HoloLensでは、3Dの図面を直接現場に投影できるので、作業工程を組み立てる、ズレなく物を設置する、といった職人的作業を職人の能力に依存せずに進められます。また、Microsoft HoloLensを通して複数の人間が同じ情報を共有できるため、認識の行き違いが生じにくく、合意形成をスピーディーに行えるようになります」。
労働人口が減少する未来を見据えて
-ホログラム映像を活用することで、作業のクオリティーアップが想定されますね。
さて、日本マイクロソフト社がMRやMicrosoft HoloLens をプッシュする背景には、労働人口が変動する未来も見据えているのでしょうか?
村中氏「少子高齢化が進む日本では、一部の業種・業態では10年後に現在の33%の労働者が引退すると想定され、多くの職人技が断絶する可能性が高いといわれています。
ですから、ITの利活用を通じた労働人口の補完、そしてこれまで蓄積された知見の伝承が大きな課題となってきています。その課題解決につながるのがMicrosoft HoloLensで、あらかじめ録画しておいたベテラン職人の仕事ぶりを見ながら作業するなど、経験の浅い作業者を底上げする活用法はいくらでもあります。
弊社の企業ミッションは『地球上の全ての個人と全ての組織が、より多くのことを達成できるようにする』です。Microsoft HoloLensは、あらゆる人に活躍の機会をご提供できると考えています」。
【動画】Microsoft HoloLens: Development Overview(YouTube)
Microsoft HoloLensを実際に使ってみた
実際にMicrosoft HoloLensを装着してMRの世界を体感してみました。具体的にどのようなことができるのかレポートします。
眼鏡をかけたままでも装着可能
装着の際は、最初にアームを調整して自分の頭にフィットさせます。横から締め付ける形になりますが、思ったほど圧迫感はありません。目とレンズとの間のスペースに余裕があるので、眼鏡をかけたまま装着しても窮屈な感じはしませんでした。
重量は579gとのことですが、バランス設計が秀逸なのかそれほどの重みを感じることはないため、幅広いユーザー層にご使用いただけるでしょう。
視線で選択し、指でクリック
次に、レンズを通して見える現実世界に3Dのホログラム映像が投影されるMixed Realityの世界を体験しました。
今回は、あるプロダクトのメンテナンスのトレーニングアプリケーションを起動してみました。画面を遷移したいときは、中央に見える点で示されたカーソルを、頭の位置を動かし選択したい項目に合わせ、PCで言うクリックに当たるエアタップをします。エアタップの実際の操作は、親指と人差し指を摘まむような動作をします。その動作を繰り返し、アプリケーションを起動してホログラム映像を投影することができました。
目だけでなく耳でも立体感を体感
Microsoft HoloLensには空間認識機能があるため、ホログラム映像は空中にふわふわと浮かず、原寸大でしっかり壁や天井、床に沿って表示されます。体の向きを変えたり移動したりすると動きに合わせてホログラムも角度が変わるので、シミュレーターとしての機能は申し分なさそうです。
ここまでは想定内でしたが、驚いたのは音の再現性で、ホログラム映像から発せられる機械音が、ホログラムに近づくほど大きくなるなど距離に合わせて変化しました。Microsoft HoloLensは空間音響を表現できるスピーカーを搭載しているので、かなり高い臨場感を味わえます。

原寸大のホログラムが床に表示される(中央のモニターはMicrosoft HoloLensで見えている画面と同一)
目に見える情報を遠隔地のスタッフと共有・指示が可能
ネットワークに接続すれば、Microsoft HoloLensで見ている画面をビデオ通話を使って遠隔地のPCと共有できます。
さらに、HoloLens側とPC側の双方から、ペンツールを使って文字や矢印を書き込めます。両者の音声コミュニケーションに加えて視覚的に情報共有することで、認識の行き違いを回避でき作業の効率化につながります。
このように、Microsoft HoloLensはホログラム投影以外でも作業現場において大いに活躍します。

指での書き込みも

キーボードも出現させられる
Microsoft HoloLensを購入する
Microsoft HoloLensは2種類の仕様が用意されています。購入の際は用途に合わせて選びましょう。
製品 | 価格(税別) | 特長 |
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Commercial Suite | 514,629円 | 組織での本格活用に最適。企業ネットワークへの接続機能、MDMでの管理機能、使用できるアプリを制限する「キオスクモード」といった拡張機能を搭載。さらに、1年の製品保証が付いています |
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Development Edition | 309,075円 | 個人の開発者向け。拡張機能や保証などを省いた機体の基本機能だけを使用できます |
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法人向けのご購入は大塚商会にお任せください
日本マイクロソフト社と25年にわたってパートナーシップを築いてきた大塚商会では、Microsoft HoloLensをより効果的にご使用いただけるよう、Microsoft Teamsを中心としたMicrosoft 365やMicrosoft Azureなどのクラウド製品およびSurfaceシリーズをはじめとするMicrosoftのエッジデバイスとの組み合わせをご提案させていただきます。
さらに、お客様のご要望を吟味し、数多くあるアプリケーションの中から最適なものをお選びします。今後はリモートアシスタンスやレイアウトなどのマイクロソフト純正アプリを中心に、構築支援メニューをご提供していく予定ですので当社からの購入をご検討いただければ幸いです。(大塚商会 マーケティング本部 武沢徹)
お薦めのMicrosoft HoloLens用アプリケーション
GyroEye Holo
現実世界にリアルスケールの2D / 3D図面を投影できるシステム「GyroEye Holo」は、建築現場で大いに威力を発揮します。墨出し、出来形確認、設備干渉の確認、メンテナンス作業の支援などにご使用いただけます。
GyroEye Holo 製品情報