オートデスクもさまざまなクラウドサービスをご提供しています。今回はAutodesk ReCap 360(以下、ReCap 360)をピックアップします。ReCap 360は、点群データや写真を利用して、現実に存在しているものを3D化するテクノロジーです。どのように活用できるのか、そして実際の使用感を交えてご紹介します。
Autodesk ReCap 360をどう使いこなす?
使わないともったいない! あらゆるものを3D化するReCap 360
設計図がなくても3DスキャナーとRecap 360で再現
「工場内に設置する機械装置を取り替えたい、しかし設計図がない・・・」こんな場合、実際に現地に行き、工場内のスペースの広さや柱の位置などを実測するしかありませんでした。しかし、3Dスキャナーを使用して立体的に撮影し、Recap 360で点群データを読み込んで高さや幅などを計測し、断面表示にして内側の様子を見たりすることができます。ReCap 360はCADが受け取れるファイル形式で保存できるため、3Dスキャンした工場データの中に設計した機械装置の3Dデータを合わせて、機械が問題なく設置できるか確認する場合にも活用できます。
肝心の使用感
工場1棟分の点群データを表示しています。表示したデータを直接クリックして長さや角度を計測できます。その際、画面表示は点群状態の表示、写真品質の表示を切り替えられます。3Dスキャナーでの撮影品質にもよりますが、詳細に撮影すれば、非常にリアルに表示でき、快適に動かせます。
ウォークスルー動画で工場内を確認しよう
動画 | 概要 |
---|---|
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Autodesk ReCap 360で工場内部を再現したウォークスルー動画 Autodesk ReCap 360を使った工場内のウォークスルー動画です。マウスとキーボードの操作だけで、自由に見て回っているように表示できます。工場内の配置を確認しながら、人が作業した場合の作業性の確認などにも役立つでしょう。(20秒) |
このデータは工場の建屋と内部の全てを撮影した非常に大規模なデータですが、ReCap 360の中ではストレスなく快適に動かせます。
写真から3Dデータ化し、フィギュアも作れる
その他の活用方法として、人物を360°(度)全方位から撮影し、写真を組み合わせて立体にすることも可能です。この場合、人物は静止している必要があります。動いてしまうと撮影した写真をソフトウェア内で組み合わせる際にずれてしまうからです。そこで、最近ではフォトブースを作られている企業や個人の方もいらっしゃいます。フォトブース内の全方位にカメラを複数設置し、同時にシャッターを押すと、撮影対象への負荷をなくすと同時に確実に静止した状態で撮影できます。オートデスクでは、iPod Touchを全方位に並べ、リモート操作で同時にシャッターを押せるような仕組みのフォトブースを作ってイベントなどで公開しています。
オートデスクのフォトブース
フォトブースで撮影した写真を組み合わせて、3Dプリントした筆者の全身
ちなみに、フォトブースで撮影した写真データを3D化して3Dプリントした筆者の全身フィギュアを掲載します。撮影した写真の精度によっては、靴のロゴマークまで再現できる詳細なデータを作れます。
このように、ReCapを通して現実世界のものを3D化し、産業用途から趣味の世界まであらゆるシーンでご利用いただけます。
ReCap 360には無料版と有料版、二つのラインアップをご用意
ReCap 360レーザースキャン機能比較(2016年3月時点)
機能 | ReCap 360 | ReCap 360 Pro |
---|---|---|
価格 | 無料 | 有償※1 |
各種レーザースキャンファイルを読み込み | ○ | ○ |
自動レジストレーション | × | ○ |
品質レポート、測量点情報を追加 | × | ○ |
ターゲットベースのレジストレーション機能、自動再レジストレーション | × | ○ |
レーザースキャンからの点群と写真ベースの点群の位置合わせ | ○ | ○ |
点群データの表示、編集、削除 | ○ | ○ |
Real View(パノラマ表示) | ○ | ○ |
Real View上でマークアップとタグ追加 | × | ○ |
ビューの状態を保存 | ○ | ○ |
ビデオを書き出しツール | × | ○ |
基本計測ツール(注記、距離、角度) | ○ | ○ |
拡張計測ツール(パイプスナップ、寸法に詳細を追加) | × | ○ |
検索 | ○ | ○ |
クリーンアップサービスへのアクセス | × | ○ |
オブジェクトメッシュサービスへのアクセス | × | ○ |
スキャンファイルからバッチでプロジェクト作成(DeCap) | × | ○ |
各種形式(RCP / RCS、E57、PTS、PCG)で書き出し | ○ | ○ |
スキャンデータをA360にパブリッシュ | ○ | ○ |
ReCap 360ダッシュボード | ○ | ○ |
※1 サブスクリプションにて購入。期間は3カ月、1年、2年、3年から選択。
ReCap 360は公式サイトからダウンロードできます
ReCap 360は、オートデスクの公式サイトよりダウンロード・インストールし、ご利用いただけます※。
※ インストール後、起動してからの30日間はReCap 360 Proとして利用可。30日後に購入手続きをしなかった場合は、ReCap 360として使い続けられる。30日間経過後は、購入するにしても無償のまま使い続けるにしても、再インストールの必要はない。
ブラウザー上で行えるサービスも付随
ReCap 360には、ブラウザー上で行えるサービスも付随しています。主に複数の写真をインポートして3Dデータにする作業を行えます。
ReCap 360レーザースキャン機能比較(2016年3月時点)
機能 | ReCap 360 | ReCap 360 Pro | |
---|---|---|---|
価格 | 無料 | 有償※1 | |
ストレージ(A360 Drive) | × | 100GB | |
クラウドクレジット付与 | × | 50クラウドクレジット/年 | |
Fly※1 | 写真から3D作成 | × | ○ |
スマート切り取り | × | ○ | |
スマートテクスチャ | × | ○ | |
天底イメージ | × | ○ | |
レジストレーション機能 | × | ○ | |
Exif内のGPS情報を使い、尺度調整と位置情報を付加 | × | ○ | |
測量点の入力(XYZ、ECEF、LLA) | × | ○ | |
最大写真枚数 | × | 250 | |
品質:preview | × | ○ | |
品質:ultra | × | ○(実行時に5クラウドクレジット必要) | |
エクスポート形式(3Dメッシュ) | × | ○(rcm、obj、fbx) | |
エクスポート形式(点群) | × | ○(rcs) | |
エクスポート形式(2D画像) | × | ○(tif) | |
Real View※2 | スキャンデータの表示 | ○ | ○ |
注記記入 | × | ○ | |
注記:イメージ追加 | × | ○ | |
距離計測、マークアップツール | × | ○ | |
検索 | ○ | ○ | |
ビューの状態を保存 | × | ○ | |
Real Viewの共有とコラボレーション | ○ | ○ |
※1 Fly:複数の写真から3Dモデルをクラウドで作成するサービス。
※2 Real View:ブラウザーでパノラマ写真のスキャンデータの表示を行うサービス
Webサービスへは、ReCap 360デスクトップアプリケーションの「photo project」からアクセスいただけます。なお、直接Webサービス版ReCap 360を実行したい場合は、次よりAutodesk Accountにサインインしてからご利用ください(Google Chromeを推奨)。
このようにReCap 360は、現実世界に既に実在しているものの形をコンピューター内において3Dで再現し、新しい設計に役立てられるツールです。まずは、無償で手軽に使い始められますので、試してみてはいかがでしょうか?
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