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AutoCAD Plant 3Dで設計の3D化~ 圧倒的な設計スピードと社内外の円滑なコミュニケーションを実現 ~
2024年 3月29日
製造業
株式会社日豊エンジニアリング
横浜市に本社を置く日豊エンジニアリングは、高度なエンジニアリング技術を核に各種のプラント設計を行うプラント・エンジニアリング会社である。プラント・エンジニアリングと言えば、計画、設計から調達や工事、運転まで幅広いフィールドを指すが、同社は特に基本設計と詳細設計に特化したプラント設計のプロ集団だ。
中でもエネルギー関連プラントの配管設計に関わる技術力と実績には定評があり、現在では国内外のLNG / LPGプラントから東南アジア各地の火力発電プラント、石油/石油化学プラントなど、その規模の大小を問わずさまざまなプラント設計を手掛けている。
事業内容 | プラントエンジニアリング業務(火力発電プラント、石油/石油化学プラント、空港給油施設・搬送設備、環境関連プラント、LNG / LPG関連プラント、その他) 配管・構造物の技術計算(配管熱応力解析、構造解析、耐震応力解析、輸送解析) |
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従業員数 | 59名 |
サイト | https://www.np-e.co.jp/ |
3D設計へのステップアップの切り札として
「プラント設計に特化した設計会社は幾つかありますが、当社のように計画・設計から3Dの組み立てまで行い、さらに配管の解析や構造計算まで幅広く展開している企業はそう多くありません。けっして大きな会社ではありませんが、プラント・エンジニアリングの配管設計分野の市場では、3Dを核に特に幅広い業務を展開できています」。そう語るのはエンジニアリング本部配管設計1グループの主任 竹林明音氏である。
竹林氏によれば、こうした強みを打ち出せるようになったのは「早くから設計業務に3Dを取り入れ、さらにAutoCAD Plant 3D(以下 Plant 3D)を導入して、これをメインツールとして配管設計部全体に普及させることに成功したから」なのだと言う。実際、同社はPlant 3Dの導入を機に設計スタイルを大きく変え、新たな成長を開始したのである。
「当社が3D設計の導入に着手したのは30年前と聞いています。業界としては最も早く取り組んだ一社と言えるでしょう」。そう語るのは配管設計3グループの主任 山本正剛氏である。山本氏は言葉を続ける。「当時は3D製品の種類は少なく高価で操作も難しいため、使えるスタッフの数は限られていました」。そのため、ほとんどの技術者はAutoCADなどの2D CADを中心に使い、3Dソフトは3D化が必要な時だけ専任オペレータが依頼されて使っていた。つまり、設計者が2D CADで計画したものをオペレータが3D化し、システム担当がビューアモデルに変換する──という役割分担のもと3ステップに渡る作業に分割されていた。
「しかし、そこには問題がありました。設計現場では、最後まで進めてできあがった3Dを確認した設計者がイメージが違うと差し戻し、設計段階からやり直すという手戻りが間々発生していたのです」(竹林氏)。もしそこに低価格で誰もが使える操作性を備えた3Dソフトがあれば、設計者自身が設計とモデル入力を同時に行うことができる。そうすれば前述した3ステップを全部一度に行うことが可能になるのではないだろうか?
「つまり、設計者が設計しながら都度モデル化し自分で直接確認するんです。それさえできれば、最後になってここが違うとミスを見つけて戻って直し、また取り込んで確認し直し……という無駄な繰り返しは全て省略できる。そう考えて導入したのがPlant 3Dだったのです」(山本氏)。
全社で目指した3D設計環境の確立
Plant 3Dは、AutoCADの業種別ツールセットの一つとして、AutoCAD including specializedtoolsetsのサブスクリプションに含まれる製品である。AutoCADベースの配管に特化したコマンドにより、フロー図・系統図を簡単に作成できる。3D配管設計についても業界標準のカタログを使用し、プラントレイアウトをスピーディーに作成できるのである。そして、その最大の特徴は、高価なハイエンド製品が多数を占めるプラント専用3Dソフトとは一線を画した、低価格で極めて操作しやすいソフトであることだ。
「Plant 3Dを選んだのは、まずはやはり価格の点が大きかったですね。配管設計に使える他社の3Dソフトはどれも高価で、約40人もいる当社の配管設計の技術者全員に使わせようというのは現実的ではありません。しかし、Plant 3Dならそれが可能でした」と山本氏は語る。そして、もう一つの理由は操作習得の容易さだと山本氏は言葉を続ける。
「ハイエンドの他社製3Dソフトは操作も独特で、皆に覚えてもらうにはやはり時間がかかります。ところがPlant 3Dの場合、2D CAD操作の延長線上でできることが多いんです。2D CADなら入社研修で全員に習得させますから、Plant 3Dへもスムーズに展開できるわけです」。こうした経緯を経て、日豊エンジニアリングは2013年にPlant 3Dを導入した。前述の通り、その背景には2D設計から3D設計への進化を目指す同社の狙いがあった。
同社では新3D設計体制のメインツールとして、当初からPlant 3Dを設計部門全体への普及を目指していたのである。とはいえもちろん、Plant 3Dの普及と3D設計体制の構築には一定の時間が必要だった、と山本氏は言う。「設計しながら設計者自身が使い形状確認を行うやり方は、比較的すぐ実現できました。しかし、システム的な問題や機能不足、また我々の経験不足もあり数年はいろいろ試行錯誤していました」。しかし、そうした状況はここ5年で大きく変わった──と竹林氏が続ける。
「Plant 3Dのバージョンがどんどん上がり機能や使い勝手が洗練され、我々のノウハウも蓄積されました。結果、あまりPlant 3Dに触ってなかった技術者もきちんとモデルを作れるようになり、出力後そのまま使える絵も描けるようになりました」。まさに全社で目指した3D設計環境がここに実現したのである。
「いまは当社の設計者はほぼ全員がPlant 3Dを使っています。設計部門の標準ツールと言えるしょうね。ハイエンドの他社製品については、最終的なお客様からこのソフトのデータでくれと言われた時に使う程度でしょうか」(竹林氏)。これもケース・バイ・ケースだが、Plant 3Dである程度モデルを入力してから、それを基に他社ソフトに取り込んだり、アイソメだけを抽出してそれを元に他社ソフトへ入力し直すこともある。だが、いずれにせよそうした案件はさほど多くない。むしろ、同社の設計者が実務で多用しているのは、Plant 3Dと同じくオートデスクの2製品なのだ。
「Plant 3D以外では図面作成のためのAutoCAD、レビューソフトのAutodesk Navisworksですね。Plant 3Dにこの二つを加えた3製品が、当社の設計者の基本ツールと言えるでしょう」(山本氏)。つまり、Plant 3Dで3D設計を行いNavisworksでビジュアル化してプレゼンテーションや打ち合わせを行い、AutoCADで2D図面に仕上げて納品──という流れが、同社設計部門の基本的な3D設計スタイルとなる。
「特にNavisworksはPlant 3Dの導入以前から使っており、お客様もお持ちの方が多いので、情報共有し確認してもらう上で非常に便利に使っています。実際、Navisworksのデータを渡せば、あちらでモデルを確認してやりとりできる。無料のNavisworks Freedomもあるし、使っている方は多いですよ」(山本氏)。Plant 3DとNavisworks、AutoCADを併用する3D設計スタイルを確立したことにより、一連の設計業務は大きく効率化が進み生産性が向上した。「プロジェクトの規模にもよりますが、明らかに技術者1人分くらいは節減できています」(山本氏)。
近年、新設のプラント建設は、コスト面も含めてコンパクト化が進み、同時に建設スケジュールも圧縮されている。設計者にとってさらなる効率化と設計品質の向上は終わりのないテーマとなっている。その意味でオートデスクへの期待は大きいと両主任は声を合わせる。「私見ですが、3Dで収まる範囲の作業ついては、Plant 3Dは他のハイエンド製品に遜色ないソフトになりつつあると感じます。後は、例えば出来上がりの図面に仕上げる箇所の改善でしょうか。積極的に要望を出すので、どこまでも進化していってほしいですね」(竹林氏)。
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