【Autodesk Inventor】iPartの使い方。部品のバリエーション作りが手軽に

2024年 7月31日

製造業

Autodesk Inventorの機能、「iPart」の使い方を説明します。似た形状のバリエーションを一つの部品内で指示できるので、作図の手間を減らすことができます。

  • * この記事の環境は、Inventor Professional 2025 / Windows 10です。

完成図

サンプル課題として、下図のような3種類の板部品を作ります。作る、というよりは「生成する」と言った方がよいかもしれません。基本の形状をモデリングしてから、長さなどの変数を変化させています。

1.パーツ環境に入る

始めに基本となる形状を一つ、モデリングしていきます。パーツ環境に入って、作業を始めましょう。

2.可変寸法に名前をつける

まずは変化させたい寸法を変数として、名前をつけておきます(変数は、以後パラメーターと呼びます)。管理タブ→「パラメーター」を開き、左下の「数値を追加」をクリックします。

すると「ユーザーパラメーター」の項目に新しい行ができるので、そこに入力していきます。

例えば、幅ならwidthとつけて、計算式の列には代表値を入力します。サンプル課題用に以下のパラメーターを登録しておきます。

  • width
  • height
  • dia
  • thickness

右下の「完了」を押して、パラメーターの設定を終了します。

3.形状をモデリング

1種類目の準備

モデリングを開始します。モデリング時に指定する寸法には、先ほど作ったパラメーターを指定します。

寸法記入欄の数値を削除して、欄内で右クリック。「パラメーターを一覧表示」をクリックすると、先ほど作ったパラメーターの一覧が出てきます。そこから該当するパラメーターを選び、確定します。

スケッチだけではなく、フィーチャーの寸法にもパラメーターを指示できます。板の押し出し時には、距離にthicknessを指定しておきましょう。

次に、四隅の穴位置のスケッチを作成します。穴ピッチは、計算式を入れておきます。例えば、width-10としておけば、外形寸法が変わっても追従します。

四隅の穴は、3Dモデルタブ→「修正」パレット→穴で作成します。先ほど作成したスケッチ上の点をクリックし、指定します。

これで、1種類目の四隅に穴が開いたプレートが完成です。

2種類目の準備

次は、2種類目の「四隅の穴+中央にネジ穴」の板を準備します。先ほどと同じく、穴フィーチャーを追加します。まず、中央位置に点を打ち、穴位置のスケッチを作成します。そして、穴フィーチャーでネジ穴を指定します。

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3種類目の準備

最後に、3種類目の「長方形で、六つの穴」の板を準備します。外形は長方形のままですが、気にせずに穴位置のスケッチを用意し、穴フィーチャーを作成します。不要な穴があると見辛いので、ブラウザーで「パーツの終端」をドラッグして、面取り1の下まで上げておきます。

そして、1、2種類目と同様に穴位置をスケッチします。下図では、四隅とY軸上に2点、点を作成しています。

穴フィーチャーでスケッチの点を6点指示します。外形は長方形のままですが、これでモデリングの準備はできました。

ブラウザーのパーツの終端を下端に戻しておきます。エラーが出たら、適宜フィーチャーの順番をドラッグで調整しておきます。

このままでは、全ての要素が有効になってしまっています。そこで、ipartsで調整してバリエーションを整えます。

4.「ipart」でバリエーション内容を調整開始

「管理タブ」→オーサリングパネルの「ipart」ボタンをクリックします。この画面で、生成するバリエーションを指定していきます。

画面下の表がバリエーションの一覧です。初回は1行しかありませんので、1行目で右クリックし、「行を挿入」を選択して3行分追加します。

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3行目のwidthの列に50と入力します。

入力後、いったん画面右下OKで閉じます。

すると、ブラウザーに「テーブル」という項目ができています。そのうちの「sample-03」をダブルクリックしてみてください。

すると、寸法が変わっているのが確認できます。

5.「ipart」で穴のバリエーションを調整

寸法は無事変わりましたが、穴の組み合わせが反映されていません。そこで、ipartsでの調整を続けます。ブラウザーでテーブルを右クリックし、「テーブルを編集」をクリックして、再びipartsの画面を立ち上げます。

省略タブを開き、穴1を選択し、「>>」をクリックして、右側に項目を追加します。穴2と穴3にも同じ操作をします。すると、下側のバリエーションのテーブルに穴1~穴3の列が追加されました。

デフォルトでは穴1~3は全てYESになっていますので、適宜YESかNOを入力し、穴の組み合わせを調整します。画面右下の「OK」で閉じます。

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そして、ブラウザーのテーブルからメンバ名を順次クリックして、切り替えてみてください。すると、想定どおりの板が生成されていることが分かります。

これで、完成です。アセンブリ時には、テーブルからバリエーションを指定して配置できます。

うまく使えば、似た形状の共通するモデリングの手間を省けるので、工数を削減できます。ぜひ、活用してみてください。