【Autodesk Inventor】カスタム材を作って、フレームジェネレーターで検討、集計まで行う方法

2025年 4月25日

製造業

この記事では、フレーム構造のモデリング機能である「フレームジェネレーター」の使い方をご紹介します。モデリング後は、部品表で部材の集計作業が可能ですので、検討から組み立て図作成までの工程で役立ちます。

動作環境

この記事の環境は、下記のとおりです。

  • Inventor Professional 2025
  • Windows 10

この記事で作るもの

下図のようなフレームをモデリングし、手配するフレームの集計までを行います。

今回のフレームは、カスタム材としてアルミフレームを作成して使います。

  • * 「フレームジェネレーター」には標準でチャンネルなどが登録されています。一般的な形鋼を使う場合は、カスタム材の作成は不要です。

カスタム材用のコンテンツライブラリを作成する

今回は、Inventorにデフォルトでは登録されていない部材でフレームを作ります。そのため、準備としてカスタムファイルを保存するための領域を作っておきます。

「ファイル」→「管理」→「プロジェクト」を選択します。

作業するプロジェクトを選択して、右下の「コンテンツライブラリの設定」ボタンをクリックします。

  • * 選択するプロジェクトは、確認用であれば「Default」でも構いません。

設定ウィンドウが開いたら、「ライブラリを作成」ボタンをクリックします。

適当な名前を描き、OKで閉じます。

最後に作ったライブラリ名の左横のチェックをオンにしておきます。

カスタム材の形状を定義する

カスタム材の形状を定義したファイルを作って、Inventorのコンテンツセンターにパブリッシュ(書き出し)していきます。具体的には、パーツ環境で、フレームの断面形状を描いた.iptファイルを作ります。

作成の際の注意点として、以下を意識してください。

  • 単純なスケッチを押し出すだけの、シンプルな工程でモデルを作成する。
  • 押し出し長さは、パラメーターで指示する。

例として、下図をご覧ください。

厚みは1mmで押し出していますが、数字ではなくパラメーターで指示しています。

  • * カスタムコンテンツとして、後ほど書き出す際に必要です。

パラメーターは、「管理タブ」→「パラメーター」から設定できます。

コンテンツセンターにカテゴリーを作る

「管理タブ」→「コンテンツセンター編集パネル」→「エディター」をクリックします。

ライブラリビューのプルダウンリストから、カスタムコンテンツ用のライブラリ(記事冒頭で作ったもの)を選択します。
そして、右の領域で右クリック、「カテゴリー作成」をクリックし、任意の名前を付けてください。

今回は、アルミフレームと付けておきます。

すると、ライブラリにフォルダーが作成されました。

コンテンツセンターに書き出す

コンテンツセンターへ、先ほど作った部材をパブリッシュ(書き出し)します。「管理タブ」→「オーサリングパネル」→「形鋼」をクリックします。

まず、レイアウトタブでカテゴリーを選びます。今回は、先ほど作った「アルミフレーム」を選択してください。

パラメーターマッピングタブで、基準長さの行に先ほど作ったパラメーター「length」を指定してください。

パブリッシュ先を指定し、「次へ」をクリックします。

パブリッシュ先のフォルダーを選択し、「次へ」をクリックします。

部材名を適宜入力し、「次へ」をクリックします。

最後にパブリッシュをクリックします。

これで、カスタム材の登録作業は完了です。

骨組みをスケッチする

ここからは、カスタム材を使ったフレームのモデリング作業に入ります。まずは、パーツファイル(.ipt)を作ります。

サーフェスや3Dスケッチを使って、フレームに必要な形状を作成します。押し出しや穴あけなど細かなモデリング作業は必要ありません。フレームに必要な寸法だけを検討し、スケッチに起こしてください。ここで作った線は、後ほどフレームジェネレーターで使います。

このファイルは、適当な名前で保存しておいてください。

アセンブリ環境に入る

次にアセンブリ環境で作業します。先ほど作ったパーツファイルを配置します。拘束して動かないようにしておいてください。

フレームを作成していく

  • デザイン→「フレームを挿入」をクリックします。
  • プロパティパネルで、先ほど作ったアルミフレームフォルダーを選択します。
  • フレームを配置したいスケッチの辺をクリックします。

クリックすると、挿入時の部材がプレビューされます。現在はフレームの中心がスケッチの線と一致していますが、外側の角を合わせたいので、左下の白丸をクリックします。

フレームの位置が決まったら、プロパティパネル左下のOKボタンをクリックします。「フレームメンバーを命名」ウィンドウも、OKで閉じます。

後は、同様に他の辺についてもフレームを配置していきます。

不要な部分をカットする

フレームの配置は終わりましたが、角が重なっています。これでは部材長さの集計ができないので、不要な部分を適宜カットしていきましょう。

「デザイン」→「コーナージョイント」をクリックします。残したい部材、カットしたい部材の順にクリックし、OKします。

後は、他のコーナーに対しても同様に行います。これでフレームがひとまず完成しました。さらにフレーム以外の部品(コーナーのブラケットやカバーなど)が必要な場合は、通常のモデリング作業手順で、描く部材を配置してアセンブリの作成を続けてください。

部品表で集計する

では、ここからは部材の集計を行います。どの長さのフレームが何本必要なのか数えていきましょう。

「管理」→「部品表」をクリックします。
構成タブ上で右クリックし、「部品表ビューを有効」をクリックします。

表示されましたが、長さや本数といった知りたい情報が出ていません。部品表の調整をしていきます。

部品表の2行目、部品番号の列(下図ではPart4-01と表示)を選択したうえで、部品表画面左上の「式を作成」ボタンをクリックします。

メニューからG_Lを選び、右の「プロパティ挿入」ボタンをクリックします。元から入っていた文言は、削除しても構いません。OKで閉じます。

すると、長さの内訳が出てきました。後は、本数を出していきます。

左上の列の選択ボタンをクリックします。すると、追加できる列項目の一覧が出てくるので、「項目数量」をドラッグ&ドロップします。

すると、長さごとの数量が表示されました。

集計が終了したので、右下の完了ボタンで閉じます。

図面に部品表を貼り付ける

では、先ほど集計した部品表を図面に貼付してみましょう。図面環境で、先ほど作ったフレームのアセンブリファイルを配置します。そして、「注釈」→「パーツ一覧」をクリックし、OKで閉じます。

配置されました。表示項目などを整えていきます。

図面に貼付したパーツ一覧をダブルクリックします。出てきた画面の1行目は不要ですので、右クリックのうえ、表示をクリックし、チェックを外します。すると、図面上の部品表に表示されなくなります。

次に左上の列選択ボタンをクリックします。部品表に表示したい項目を左から選択し、「追加」ボタンをクリックします。逆に不要な項目は、右側で選択し、「除外」をクリックします。調整が済んだら、OKで閉じます。

項目番号を1から始まるように付け替えます。「項目番号付け替え」ボタンをクリックします。

全て済んだら、OKで閉じます。図面上の部品表が更新されました。

「注釈」→「バルーン」から、部品表に対応した風船を挙げることも可能です。

最後に

フレームジェネレーターを使うと、骨組みをスケッチしておけば、後はクリックするだけで鋼材を配置できます。モデリングの手間を省けるので、検討がはかどります。

また、モデリングだけではなく部品表との連携で図面作成や手配時にも役立ちます。標準の形鋼も豊富ですので、ぜひ活用してみてください。