AutoCADで集計結果を表にする方法(データ書き出し1)

2025年 4月21日

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AutoCADで集計するVol.3

AutoCADをご使用の皆さま、またこれからAutoCADを使いたいと思っている皆さま、前回の記事では「カウント(COUNTLIST)」というツールを使用して、ブロックを名前別に集計し、結果を表にして挿入する方法をご紹介しました。ブロックの増減が表にリンクしとても便利なツールだとご理解いただけたと思います。

AutoCADで集計結果を表にする方法(COUNTLIST)

しかし、扱いが簡単なツールではあるものの、目標とする集計結果を得られないという感想をお持ちになった方もいらしたのではないでしょうか。例えば「表の細かな指定ができない」、「ダイナミックブロックの可視性以外のパラメーターは集計ができない」、「ブロック以外のオブジェクトタイプには使用できない」などです。今回の記事ではこれらを解決する集計方法をご案内します。

今回ご紹介するツールに限らず、何かを集計する作業がプロジェクトのどこかで発生する場合は、どんなキーワードで集計するのかを最初に検討しておく必要があります。ブロックの属性値、ダイナミックブロックのパラメーターなど難しく考えがちですが、単純に文字の内容や付随するプロパティも集計のキーワードになります。集計のキーワード変更の可能性なども踏まえて検討するのがよいでしょう。今回ご紹介するツールは、あらゆるオブジェクトタイプが集計対象となります。

データ書き出し(DATAEXTRACTION)

「データ書き出し(DATAEXTRACTION)」はかなり以前のバージョンで導入されたツールです。画期的なツールではありますが、コマンドをクリックしただけで「難しそうだ!」という第一印象のまま一度も使用することなく今日に至るユーザーがほとんどだと思います。

データ書き出し(DATAEXTRACTION)を実行する前に

今回は三つの集計事例をご紹介します。事前に集計するキーワードを付与したデータを次のように準備しています。

1.一つ目は水道の給水管の口径を「文字(TEXT)」で配置しています。設置箇所は画層で区別しています。集計のキーワードは「画層」と「文字の内容」です。

2.二つ目は工場のレイアウトにコンセントを配置しています。種別ごとにブロックを作成し、タイプは属性で区別しています。集計のキーワードは「ブロック名」と「属性値」です。

3.三つ目は工場レイアウトにダイナミックブロックを使用し、コンベヤーを配置した例です。集計のキーワードは「ブロック名」とパラメーターの「可視性」・「長さ」です。

データ書き出し(DATAEXTRACTION)を新規に実行する

今回の記事では一つ目の事例を使用して、「データ書き出し(DATAEXTRACTION)」コマンドの一連の流れをご説明します。

1.注釈タブ/表/「データ書き出し」を実行します。二つ目と三つ目の事例については、次回の記事でご案内します。

2.「データ書き出しを新規に行う」にチェックを入れ、「次へ」ボタンを押します。

3.「データ書き出し設定に名前を付けて保存」ダイアログが開きます。保存場所を指定し、ファイル名を指示します。集計元のDWGファイルと設定ファイルはリンクされます。よってDWGファイルと同じフォルダーに保存することをお勧めします。今回は一つ目の事例「水道の給水管の口径」をまずは集計しますので、ファイル名を「給水口径集計」とします。ファイルを保存します。

4.「データ書き出し-データソースを定義」の2ページが開きます。ここではどのDWGファイルの集計をするかを指定します。ファイル内の一部の範囲を指示することもできます。また、複数のファイルを追加、またはフォルダー以下のファイルを指示することもできます。

  • * 下図のようにチェックをすると現在開いているファイルが集計対象になります。

5.「設定」でブロックや外部参照の扱い、書き出し元の設定ができます。下図は既定値です。

6.「次へ」のボタンを押すと、「データ書き出し-オブジェクトを選択」の3ページが開きます。ここでは集計するオブジェクトタイプ、またはブロック名を選択します。

  • * 下部の「表示オプション」を使用するとリストを制御できます。

7.「表示オプション」を使用し、ブロック以外のリスト表示にします。文字のみにチェックをします。

  • * Shift・Ctrlキーを使用して複数行選択することができます。

8.「次へ」のボタンを押すと、「データ書き出し-プロパティを選択」の4ページが開きます。ここでは、選択したオブジェクトのどんな情報を集計するかを指示します。右側の「分類フィルター」で「一般」と「テキスト」のみにチェックを入れ表示項目を減らします。

9.ここで集計のキーワードが重要になります。一つ目の事例の集計のキーワードは「画層」と「文字の内容」でした。下図のように「画層」と「値」のみにチェックをします。

10.「次へ」のボタンを押すと、「データ書き出し-データを調整」の5ページが開きます。今回はフィルターオプションを使用し、集計する画層を限定します。フィルターは「画層」の項目で右クリックのメニューより実行できます。下図のように「給水口径1工区」と「給水口径2工区」のみにチェックを入れます。

さらに「名前列を表示」のチェックを外し、「数量」の列をドラッグして右側に移動します。

必要に応じて「列の並べ替えオプション」で体裁を整え、「完全プレビュー」ボタンで表の状態を確認します。

11.「次へ」のボタンを押すと、「データ書き出し-出力を選択」の6ページが開きます。今回はCADのファイル内に集計表を配置しますので「データ書き出し表を図面に挿入する」にチェックします。

12.「次へ」のボタンを押すと、「データ書き出し-表スタイル」の7ページが開きます。あらかじめ表スタイルを作成しておけば、指定することができます。表のタイトルをここで入力することができます。

13.「次へ」のボタンを押すと、「データ書き出し-完了」の8ページが開きます。完了ボタンを押し、集計表を配置します。

14.集計結果が表として配置されました。

いかがですか? 皆さま、「データ書き出し」の機能を活用すればブロック以外のオブジェクトでも集計作業ができ、結果を表として挿入できます。他の二つの事例、設定の編集方法などは次回の記事となります。

次回は「AutoCADで集計結果を表にする方法(データ書き出し2)」をご案内します。