【Autodesk Inventor】時短のヒント。作業は手数を減らして一気に片付けてしまおう
2025年 5月19日
製造業
Inventorで作業時間を短縮するためのヒントをご紹介します。個々の作業は簡単に思えても手作業で繰り返すと時間だけではなく、思考のリソースまで消費してしまいがちです。そこで、Inventorの機能を使って、少しでも繰り返し作業を減らしていきましょう。
動作環境
この記事の環境は、下記のとおりです。
- Autodesk Inventor Professional 2025
- Windows 10
今回ご紹介する作業
今回は以下の作業を行います。いずれもInventorのインストール時に同梱(どうこん)されている標準ツールや機能を使います。
- 一括DWG変換
- アセンブリを構成しているファイル名の変更
- マルチボディの名前を置換し変更
1.2.は、Inventorと一緒にインストールされる標準ツールで実現可能です。3.は、Inventorのカスタマイズ機能であるiLogicを使います。
1.一括DWG変換
まず一つ目は、「タスクスケジューラ」というツールで作業します。タスクスケジューラは、Inventorと一緒にインストールされていて、Inventorでのファイルに対して各種のバッチ処理を行うプログラムです。
今回は、Inventorで描いた図面をDWG形式へ一括変換しましょう。
Windowsのスタートメニューから、「Inventor 2025」→「タスクスケジューラ 2025」という項目をクリックして立ち上げます。
メニューバーの「タスク作成」→「ファイルをエクスポート」を選びます。
「ファイルをエクスポート」画面が開いたら、画面上側の「ファイルを追加」ボタンをクリックし、追加したい図面ファイルを指定します。
ファイルの種類メニューから「Autodesk Inventor図面(*.dwg、*.idw)」を選びます。表示された図面ファイルをまとめて指定し、「開く」をクリックします。
画面下の「即時」にチェックを入れたら、OKをクリックします。
完了したら、元ファイルと同じ場所にzipファイルとして出力されています。
dwgファイルはzipファイルの中にあります。使用時は解凍すれば使えます。
後は通常どおり、AutoCADでdwgファイルを開いてください。図形はAutoCADのモデル空間に配置されているので、AutoCADのデータとして自由に編集、バッチ印刷などを行えます。
2.アセンブリを構成しているファイル名の変更
アセンブリの構成部品であるファイルの名前を変更する場合、Windowsエクスプローラーで直接ファイル名を変えるとエラーが発生します(アセンブリファイル内でのリンク情報が失われてしまうためです)。エラー発生時に手作業で新しいファイルを指定し直すと大変な手間がかかります。
そこで、「Design Assintant」という付属ツールを使います。例として以下のような構造のサンプルファイル(sample.iam)を用意しました。このうち、円柱状の部品である「part2.ipt」を「shaft.ipt」に変更してみます。
Windowsのエクスプローラー上で、トップアセンブリのファイルを右クリックし、「Design Assistant 2025」をクリックします。
- * 注意:名前の編集前に、変更対象のファイルは閉じてください。
すると、Design Assistantが立ち上がりました。ファイルの階層構造も表示されています。
今回はParts2のファイル名を変えたいので、Parts2の行のアクションの列を左クリックします。すると、変更内容のメニューが出てくるので、「名前変更」を選びます。
「名前」の列で右クリックし、「名前を変更」を選びます。
保存場所(デフォルトでは元のファイルの場所)に新しい名称を入力し、「開く」をクリックします。
すると、表示名が変わりました。1回の入力で、同じファイルは全て変更されています。
左上の保存ボタンをクリックして変更を確定します。
完了時には、更新終了のメッセージが出ます。
では、これから結果を確認します。
まず、エクスプローラーでファイルを確認すると名前が変わっています。
Inventorで開くと、エラーはなく正常に立ち上がります。
当初「parts2」だった箇所は、全て「shaft」に変更されています。
3.マルチボディの名前を置換し一括変更
パーツ環境では、マルチボディの名前は「ソリッド+連番」で命名されます。これらの名前を変える際、標準環境では一つずつ手作業で変更作業が必要です。そこで、ボディの名前の「ソリッド」を一括で別の語句に変更する方法をご紹介します。マルチボディのパーツをコンポーネントとして保存する際などに役立ちます。
Inventorのカスタマイズ機能であるiLogicを使います。例として三つのボディで構成されるパーツを用意しました。
現在は、ソリッド1~3という名前になっています。
これらの「ソリッド」を「abc-」に一括置換してみましょう。例えば、「ソリッド1」なら「abc-1」になります。
「管理タブ」→「iLogicパネル」→「ルールを追加」をクリックします。カスタマイズのためのコードのかたまりを「ルール」と呼びます。
ルール名を適宜入力します。
すると、カスタマイズのためのコードを書く画面が立ち上がります。
右下の黒い部分に、コードを書き込みます。今回は、以下のようなコードを書き込みます。
-------------------------------------------
'Inventorのパーツファイル上のマルチボディの名前を置換するコード
'対象となるパーツファイル(ipt)を開いた状態で実行して下さい
Dim newName As String
Dim oldName As String
oldName = InputBox("置換対象の文字を入力してください。", "置換設定")
If String.IsNullOrEmpty(oldName) Then
Exit Sub ' キャンセルされた場合終了する
End If
newName = InputBox("置換後の文字を入力してください。", "置換設定")
If String.IsNullOrEmpty(newName) Then
Exit Sub ' キャンセルされた場合終了する
End If
'newName は手入力ではなく、iPropertiesからファイル名を取得することも可能
'newName = iProperties.Value("Project", "Part Number")+"-"
'アクティブなドキュメントへの参照を設定
aDoc = ThisApplication.ActiveDocument
Dim solid As SurfaceBody
'ソリッドボディの名前を、順次置換する。
For Each solid In aDoc.ComponentDefinition.SurfaceBodies
If solid.Name.Contains(oldName) Then
solid.Name = solid.Name.Replace(oldName, newName)
End If
Next
-------------------------------------------
保存ボタンを押し、閉じます。これでルールの登録が完了しました。
動作を確認してみます。左側のブラウザーのilogicタブに作ったルールが表示されているので、右クリックして「ルールを実行」をクリックします。
変えたい語句を入力します。
次に、新しい語句を入力します。
すると、下図のように変更されました。
3-1.外部ルールに登録する
基本的に作ったルールは開いているドキュメントにのみ存在します。ほかのファイルでも同じルールを実行したい場合は、「外部ルール」として登録しておくとルールが1クリックで実行できるようになり、オリジナルコマンドのように使えます。
まず、適当な場所にilogicのコードを保存する場所を作ってください。例えば、Eドライブの直下にilogicという名前のフォルダーを作っておきます。そしてツールタブの「オプションパネル」→「ilogic環境設定」をクリックします。
iLogic詳細設定画面が立ち上がったら、プラスボタンを押して先ほど作ったフォルダー(e:\ilogic)を指定してください。
指定したらOKで閉じます。すると、左側のiLogicブラウザーの「外部ルール」の中で、標準フォルダーに先ほどのフォルダーが追加されています。
この新しいフォルダーの上で右クリックし、「新しい外部ルールを作成」をクリックします。
ファイル名を入力し、保存ボタンをクリックします。例として「change-body-name」と入力しています。
すると、ルールを入力する編集画面が立ち上がるので、コードを記入していきます。
入力したら保存をクリックし、閉じるボタンで閉じます。
すると、ilogicのブラウザーの外部ルールの中に作ったルールが追加されました。これで、別のファイルでも共通してこのルールを使えるようになります。
試しに新しいパーツファイルを作ってみました。
ブラウザーで確認すると、ルールが表示されています。
右クリックし、ルールを実行すると動作しました。
4.最後に
InventorはAutoCADなど2D CADに比べると、「自由にファイルを扱いづらい」といったイメージがあるかもしれません。しかし、この記事でご紹介したように用意されている付属ツールや、簡易的なマクロによって細かく業務の負担を減らせます。ぜひ活用してみてください。