AutoCADを全社導入する前に準備しておきたいこと・直面するありがちな課題
2025年 6月 4日
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「現場ごとにCADソフトがバラバラで業務の標準化ができていない」「従業員が異動した時に業務効率が落ちる」などの悩みを抱えていませんか?
昨今では、建設・設計業界に限らず、DX化が求められています。本記事では「AutoCADを全社導入する前に準備しておきたいこと・直面するありがちな課題」と題して、AutoCADによる業務の標準化が必要な理由やメリットについて解説します。
AutoCADを全社導入するべき理由とメリット
AutoCADを全社導入するべき理由は、単なる設計効率の向上にとどまらず、DXの本質である業務のデジタル化・標準化に貢献するためです。
- 業務のデジタル標準化による生産性向上
- 若手・中堅社員のITスキルの底上げと属人性からの脱却
- デジタル資産の蓄積と業務のナレッジ化
- 取引先・協力会社とのスムーズな連携
それぞれについて解説します。
業務のデジタル標準化による生産性向上
AutoCADを全社利用して標準テンプレート・ブロック・図面スタイルの整備などを行い、図面の一元管理を行えば、生産性が向上します。
また、各部署で異なるツールで図面を作成している場合には、品質や納期にばらつきが発生しやすくなります。AutoCADを全社利用すれば、そういったばらつきも抑えることができます。
若手・中堅社員のITスキルの底上げと属人化からの脱却
AutoCADは建築・土木・機械・電気といった複数職種で使われるツールです。そのため、全社導入することで若手・中堅社員のITスキルの底上げと属人化からの脱却を狙えます。
新人教育で利用する教材も統一できるので、教育コストの削減も期待できるでしょう。
デジタル資産の蓄積と業務のナレッジ化
AutoCADで作成された図面データはそのままデジタル資産となるため、設計ナレッジの可視化や再利用が可能になります。よく使うブロックや図形を「共有資産」として再利用すれば、新人でも一定の品質を保ちながら図面を作成可能です。
取引先・協力会社とのスムーズな連携
社外とデータのやり取りをする際にAutoCADファイル形式(DWG)があると便利です。サプライヤーや設計事務所などの外部パートナーもAutoCADを利用しているケースが多いため、社外とのスムーズなコラボを実現できます。
AutoCADを全社導入する前に準備しておきたいこと
ただやみくもにAutoCADを全社導入しても、期待した効果は得られません。ここからは、AutoCADを全社導入する前に準備しておくべきことについて解説します。
業務フローと使用用途の整理
導入しても「誰が何に使うか」が曖昧だと定着しません。
- 各部門での図面作成・閲覧・編集の実態調査
- 使用目的の言語化
- 既存ツールと使い分ける作業の洗い出し
また、社員には「ツールの置き換え」ではなく「業務効率化のため」だと導入意義を理解してもらい、社内からの反発が起きないように周知を行うことも大切です。
使用ルール・テンプレートの整備
せっかく全社導入しても、従業員それぞれがバラバラな使い方をしていたら意味がありません。
- レイヤー、文字スタイル、寸法スタイル、図枠などの社内標準テンプレートの整備
- 図面の命名規則・保存場所のルール策定
- ブロックの共通化と共有フォルダーの整備
- 社内でよく使うパーツのカスタムライブラリ作成
などを行いましょう。
ライセンス・デバイス・ネットワークの整備
ハードウェアやネット環境に不備があると、現場からの不満がたまってしまいます。AutoCADをストレスなく利用できるように、PCのスペックが不足しているようであれば新しく準備するなどの対応を行いましょう。
教育・トレーニング体制の構築
業務の標準化のために何かを全社導入する時に発生しがちな課題として、ベテラン社員からの拒絶があげられます。「習得に時間がかかるから今までどおりのツールを使いたい」「慣れているツールを使いたい」と考えている社員がストレスなくAutoCADを利用できるように、トレーニング体制を構築しましょう。
操作マニュアルやよくある質問集を事前に作成しておくと便利です。
業務移行スケジュールとサポート体制
上記の準備が終わったら「いつ・どこから・誰が」移行するかを明確に記載しましょう。部署単位で段階的に導入する場合には、そのスケジュールを全員に事前に共有することをお勧めします。
また、旧ツールとの併用期間がある場合には、その時期を明確に周知し、スケジュールどおりに完全移行ができるようにサポート体制を充実させておきましょう。
AutoCADを全社導入した際にありがちな課題
ここからは、AutoCADを全社導入した際にありがちな課題について解説します。
- 現場が使いこなせない
- 使い方がバラバラ
- どのフォルダーにどの図面があるか分からない
現場が使いこなせない
「操作が難しい」「今までのツールより時間がかかる」などの理由で、AutoCAD自体が定着しないことがあります。これは初期のトレーニング不足から発生する課題ですので、初心者向けトレーニングのほかに、業種や部署ごとにそれぞれの業務に特化したトレーニングを行うことで、ある程度この問題を解決できます。
また、現場に「チャンピオンユーザー(AutoCADの使い方に詳しく、全社導入に協力的な人)」を配置し、その人に聞けば大丈夫といった空気感を作るのもお勧めです。
使い方がバラバラ
事前に使い方を決めたものの、図面のレイヤー構成や寸法スタイル、フォントが人によってバラバラになってしまうことがあります。こうなるとデータの再利用や流用ができず、AutoCADを全社導入する前よりも混乱してしまう事態に陥りがちです。
このような事態を避けるために、図面作成ルールやテンプレートを整備しておきましょう。品質をチェックするためにレビュー担当者を決めておくと、現場が自己流で利用するのを防げます。
どのフォルダーにどの図面があるか分からない
保存場所や命名ルールを決めたものの社内に浸透せず、それぞれが好きなフォルダーを作って格納してしまい、どのフォルダーにどの図面があるか分からなくなってしまうことがあります。
このような事態を防ぐために、保存場所・命名ルール・バージョン管理ルールは明確に決定し、従業員それぞれの業務内容に合った権限を付与することが大切です。
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