【AI共創設計】ジェネレーティブデザインが拓く「軽量化」と「高性能化」の両立事例

2026年 1月28日

製造業

日本の製造業において、「軽量化」は永遠のテーマです。しかし、従来の設計手法において軽量化は常に「剛性の低下」や「強度の不安」というトレードオフとの戦いでした。

こうした背景を受けて、今注目を集めているのが「ジェネレーティブデザイン(Generative Design)」です。ジェネレーティブデザインは、設計者が形状を描くのではなく、達成したい「目標(強度、材料、製造コスト、重量)」をAIに提示し、AIが数千もの最適解を自ら生成する、いわば「AIとの共創設計」です。

本記事では、ジェネレーティブデザインの概要とメリットを解説するとともに、大塚商会が開催したイベント「OACD 2025」や「Autodesk 製造業向けセミナーアーカイブ」で公開された事例をご紹介します。

ジェネレーティブデザインとは?

ジェネレーティブデザインという言葉を耳にすることが増えましたが、その概念や考え方を正しく理解している人はまだ多くありません。まずは、この技術が従来の設計手法や「トポロジー最適化」と何が違うのかを解説します。

トポロジー最適化との違い

トポロジー最適化は、人間が作成した「既存の3Dモデル」をベースに、強度の計算に基づいて「不要な肉を削ぎ落とす」手法です。いわば、大きな石から像を彫り出す「彫刻」に近いアプローチです。一つの条件に対して導き出される解は、通常一つに限定されます。

一方で、ジェネレーティブデザインは、設計者が入力した内容をもとに設計上のさまざまな課題の解決策を探り、素早く最適な判断ができるようになるテクノロジーのことです。具体的には、具体的な形状がなくても、必要な光量、施工コストの上限、材料の制約といった「目標(パラメーター)」を定義するだけで、AIが何パターンもの設計案を生成してくれるというものになります。

設計者の役割を「描画」から「評価と判断」へ

ジェネレーティブデザインの導入により、設計者の役割は大きく変わります。

これまでのようにモデルを手作業で作成する代わりに、ソフトウェアを「設計オプションを生成・テスト・評価してくれるアシスタント」として活用できるようになります。

一方で、建物全体の使い勝手や印象、近隣との一体感、そしてプロジェクトにとって何が最も大切かを判断できるのは、あくまで人間だけです。人間が目標を定義し、AIが生成した「想像もつかないようなアイデア」の中から、優先事項に基づいて最適な判断を下す。これこそが、ジェネレーティブデザインの本質である「AI共創」の姿です。

ジェネレーティブデザインを導入するメリット

ジェネレーティブデザインを導入するメリットは大きく三つあります。

  • 設計の圧倒的な検証数
  • 生産性の向上とリソースの最適化
  • コストの削減と廃棄物の削減

それぞれについて解説します。

設計の圧倒的な検証数

人間が手動で行えば一つか二つの概算を出すのが精一杯な時間で、ソフトウェアは数千通りもの設計案を生成できます。また、アルゴリズムによる自動化により、人間には想像もつかないようなアイデアや「うれしいアクシデント」とも呼べる独自のソリューションも発見できます。

生産性の向上とリソースの最適化

ドアの向きのチェックや階段の幅の確認といった単調な作業を自動化することで、設計者は建物全体のコンセプトなど、より重要な内容に専念できます。ルーチンワークを自動化することで、同じ時間で、より多くのプロジェクトや戦略的な意思決定に注力できるようになるのは大きなメリットです。

コストの削減と廃棄物の削減

マテリアル使用量やエネルギー消費を最小限に抑えるよう設定することで、コスト削減と施工効率の向上を同時に実現することができます。また、太陽エネルギーの収集最大化やネットゼロエネルギー目標など、環境に配慮した最適解を導き出せます。

ジェネレーティブデザインの概要と活用事例のご紹介

ジェネレーティブデザインの概要と活用事例として、1,000名以上が参加されたオンラインセミナー「Otsuka & Autodesk Collaboration Day 2025(OACD 2025)」より「新たな設計アプローチ:ジェネレーティブデザイン」のセミナーを見逃し配信を公開しています。

  • ジェネレーティブデザインの概要
  • Autodeskのジェネレーティブデザインとは何か
  • ジェネレーティブデザインの活用事例

について解説した動画となっておりますので、ぜひご覧ください。

新たな設計アプローチ:ジェネレーティブデザイン

生産設備や治具の軽量化に焦点を当てたジェネレーティブデザイン事例のご紹介

2025年5月21日にオートデスク株式会社が開催したオンラインセミナー「ジェネレーティブデザインの実践と成功事例 ~軽量化新時代~」の見逃し配信を公開しています。

  • ジェネレーティブデザインとは
  • ジェネレーティブデザインの作業プロセス
  • ジェネレーティブデザインのユーザー事例
  • ジェネレーティブデザインの特徴まとめ
  • ジェネレーティブデザインを利用するには?
  • ジェネレーティブデザインを快適に使用するには?

について解説した動画となっておりますので、ぜひご覧ください。

ジェネレーティブデザインの実践と成功事例 ~軽量化新時代~

まとめ

ジェネレーティブデザインは、単なる「便利なCAD機能」ではなく、人間が目標を定義し、コンピューターが可能性を広げる「AI設計仲間」との共創プロセスです。

「まだ事例が少ないから」と傍観するのではなく、まずは先駆者たちがどのように壁を乗り越え、実務で成果を出しているのかを動画で確認するところからはじめてみてください。