【Autodesk Inventor】AIアシスタントが来た! 何ができる?
公開 2026年 7月22日
製造業

Inventor 2027から、自然言語で操作できるAIアシスタント機能「Autodesk Assistant」が搭載されました。現在はまだテクノロジープレビューの段階ですが、既にさまざまな機能を試せます。
「CADにAIが追加された」と聞いても、具体的にどれほど実務に役立つのかはイメージしづらい部分もあると思います。
そこで、今回は実際に使いながら、1ユーザーとしての視点でその実用性を確かめてみました。
どんな感じで動く?
まずは、画面をみれば動作する雰囲気が分かります。
アプリケーションバーのヘルプ メニューから[Autodesk Assistant]を選択すると、Assistantパネルが出てきます。

するとご覧のとおり、画面の右端にパネルが出てきます。

テクノロジープレビューを有効にしておく
この記事の機能を試すには、Autodesk Assistantパネルの設定アイコンをクリックし、テクノロジープレビューをオンにしてください。
最新の機能を試すことができます。

利用方法は、一般的な生成AIと同様で、画面下部にある入力ボックスに質問を入力して送信するだけです。

何ができる? ―今は分析やアドバイスが中心
「AI」と聞くと、面倒なモデリング作業をガンガン助けてくれるのでは? と思いますよね。しかし現時点では、開いているパーツのファイル名をリスト化するようなモデルの分析や、操作方法の助言がメインという印象でした。
AIとInventorを橋渡しする仕組みである「MCPサーバー」には、現段階ではコンポーネントへ直接アクセスする機能が組み込まれていないようです。MCPツールセットに関する詳細なドキュメントは現時点で公開されていないため、具体的な作業の実現可否は、実際に使いながら探っていく必要があります。
なお、コンポーネントの変更を行いたい場合は、従来とおりiLogic経由でAPIを利用すれば対応可能です。実際に、与えた指示と結果を以下に挙げます。まずは「できなかったこと」から見ていきます。
アセンブリ環境で、パーツを配置する …… ×(不可)
「パーツをアセンブリ環境に配置し、拘束する」という作業は、手数が多く面倒な作業です。それをチャットの指示でやってくれれば、という目論見がありました。しかし、残念ながらこちらは不可でした。
入力したプロンプト
今開いているsample-part.iptを配置して。
配置して、以下の条件で拘束してください。
- XZ平面、XY平面、YZ平面同士を合致

返ってきた返答
(前略)申し訳ありませんが、このご要望は現在のAIでは対応できません。
(中略)手動での手順をご案内できます
Inventor上で手動で行う方法をヘルプドキュメントから調べてご案内することは可能です。
対応は難しいとの返答でしたが、同時に代替案も提示されました。

物理プロパティの再計算 …… ×(不可)
アセンブリに含まれるパーツファイルの最新の質量を確認したい場面があります。これもチャットから実行できれば便利だったのですが、残念ながら現時点では対応していませんでした。
入力したプロンプト
アクティブなアセンブリに含まれている各パーツのipropertyを更新してください。体積や質量を確認したいです。
返ってきた返答
質量・体積がすべて「0」になっています。
これは、Inventorによる質量特性の再計算がまだ実行されていないためです。
残念ながら、AIには再計算をトリガーする手段がありません。正確な値を取得するには、各パーツのiPropertiesダイアログで手動で再計算を実行していただく必要があります。

ここまで内容を読むと「あれ? 本当に実務で役立つのか?」と、少し疑問に感じてしまうかもしれません。
では、一体どのようなことであれば効果的に活用できるのでしょうか?ここからは、便利だと感じた使い方をご紹介します。
Inventorと対話し、専属ヘルプとして使う …… ○(可能)
通常、Inventorの操作で不明な点が出てきた場合、ネット検索を利用したり、F1キーでヘルプドキュメントを参照したりすることが一般的です。しかし、いずれも自分で答えを探し出す手間がかかります。
その点、Autodesk Assistantを活用すれば、普段とおりの自然な言葉で問いかけるだけで、その場ですぐに回答を確認できます。特に、Inventorを学び始める初期の段階において、非常に心強い味方になってくれるはずです。
例えば「マルチボディで描いたパーツをアセンブリとして保存する方法は?」と聞いてみましょう。
返ってきた返答
マルチボディパーツをアセンブリとして保存する方法
「コンポーネントを作成」コマンドを使います。(後略)

簡潔に回答が返ってきました。ヘルプドキュメントよりも見やすくなっています。
iLogicのコード生成機として使う …… ○(可能)
Autodesk Assistantでは、コードの生成も可能です。この使い方が、現時点で一番重宝すると感じました。Autodesk Assistantでは現時点でできることが少なくても、iLogicからAPIにアクセスすれば、高度なカスタマイズが可能です。
iLogicの一番の障壁は「コードを書くこと」でしたが、Autodesk Assistantにコードを生成してもらえば、負担を大幅に軽減できます。
例えば、以下のプロンプトでコードを生成してみました。冒頭で試した、チャットでの直接指示では実行できなかった作業です。
入力したプロンプト
iLogicコードを書いてください。
動作は、以下のとおりです。
- 開いているパーツファイル(sample-part.ipt)を開いているアセンブリファイルに配置する。
- 配置したら、以下の条件で拘束します。
- XZ平面、XY平面、YZ平面同士を合致
返ってきた返答
iLogic コード:パーツをアセンブリに配置して原点面で拘束
以下のコードをアセンブリファイル(Assembly1.iam)側のiLogicルールとして貼り付けて実行してください。(後略)

使い方や注意点まで丁寧に書かれています。
早速実行してみると「メソッドの引数はかっこで囲む必要があります。」というエラーが発生しました。そこで、このエラー内容をそのまま伝えてみることにします。
すると、以下のようなコメントと共に修正されたコードがあらためて提示されました。

あらためて貼付して「保存して実行」を押します。

完了しました。sample-partが配置され、拘束が追加されました。

途中、何度かエラーに遭遇しましたが、追加のやりとりで問題なく動作するコードができました。従来のようにドキュメントを読みこみ、試行錯誤しながら一からコーディングしていた頃に比べると、大幅な省力化を実感しました。
ちなみに、一般的な生成AIを利用してもiLogicのコードを生成することは可能です。ただ、実際に使用してみた印象としては、実在しないAPIを呼び出すなどのハルシネーションが起こりやすい傾向が見られます。
当然ながら、Autodesk Assistantによるコード生成であってもユーザー側での検証は欠かせません。しかし、Autodesk Assistantを使うと、架空のパラメータ名が出力されるような事態は避けられると考えられます。
最後に
昨今のソフトウェア業界の急速な変化を耳にすると「CADでも言葉で指示を出すだけで、自動的にアセンブリを組み上げてほしい」といった期待を抱いてしまいます。
業務の性質上、そこまでの劇的な変化をすぐに実現するのは難しいですが、iLogicと組み合わせることで、それに近い自動化は手軽に実装可能です。
iLogicはInventorに標準で備わっている強力なカスタマイズ機能ですが、これまではコードを書ける人しか扱えないというハードルがありました。しかし、生成AIがコーディングを強力にサポートしてくれるようになったことで、この機能は誰もが使えるものへと民主化されました。これは極めて大きなメリットといえます。
さらに、Inventorの「Autodesk Assistant」についても、現在のバージョンが完成形というわけではないため、今後のさらなる進化が期待されています。