イエイリ・ラボが提唱するITを活用した建設業の成長戦略 2

2018.5.9

  • 建設業

東京オリンピックに向けて市場は活性化しているものの人は集まらず、建設業にとって先行きの見えない不透明な時代が続いている。国内外の建設業の動向を常に「一歩先の視点」から見つめ、最適解となる情報を発信し続ける建設ITジャーナリスト・家入龍太氏が、3次元CADとITテクノロジーを連携させた成長戦略を提言する。

家入龍太氏プロフィール

京都大学大学院(土木工学専攻)を修了し、日本鋼管(現・JFE)に入社。その後、日経BP社で日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長を歴任し、2010年にフリーの建設ITジャーナリストとして独立。株式会社イエイリ・ラボを設立し、公式サイト「建設ITワールド」を通してIT活用による建設業の成長戦略を追求する。

3次元CADはIoTツールとしての進化を加速する

ITテクノロジーの進化は著しく、IoTやAI、VR/AR、ロボティクスなど、画期的なデバイスやソリューションが続々と開発されています。これからの建設業は、BIM/CIMソフトと先進的なITテクノロジーを連携させて、人の手を借りずに建設ライフサイクル全般の生産性を高めていくことが必須の課題になると考えます。

例えば、IoTはインターネットを介してセンサーとコンピューター、デバイス間を相互に連絡し、リアルタイムなデータを生かして最適な制御を行う仕組みです。一方、建設サイクルの全ての情報を一つのデータベース上に集約するBIM/CIMモデルは、干渉チェックや環境性能のシミュレーションを画面上で行い、最適な施工手順を事前に検討できます。

この二つを組み合わせれば、リアルな構造物とデジタルのBIM/CIMモデルをつなぎ、コンピューターで得られたベストなプラクティスを施工・維持管理のプロセスにフィードバックし、最適にコントロールしていく仕組みが完結します。実際、BIM/CIMソフトはIoTの目指す方向に同期し、その機能を進化させているように思えます。

BIM/CIMモデルと現場をつなぐサイクルを構築する

製造業や物流業などでは、センサー、デバイスとコンピューター間でリアルタイムにデータをやり取りするIoTの仕組みを生かし、ビジネスのサイクルをより早く回して生産性を高めることに成功しました。

しかし、残念ながらこれまでの建設業は、せっかくドローンや3Dスキャナーで構造物の3次元データを収集しても、設計では点群データの上を一つ一つ手作業でなぞって3次元モデルを作成し、施工現場では鉄筋を組むこともコンクリートを流す作業も人の手作業で行われているのが実情です。

これまで3次元モデルは合意形成や施工関係者との認識共有、つまり人間にとっての分かりやすさばかりが評価されてきましたが、BIM/CIMソフトをより有効に活用していくためには、人の手作業を省力化するITデバイスや自動化を促すAI(人工知能)とのインターフェイスをより高めていくことが必要です。

AIを活用して建設サイクルの自動化・省力化を促す

せっかくBIM/CIMソフトを導入しても、実際の設計業務は建物の各部を構成するパーツを一つずつドラッグし、手作業で配置されている方が多いのではないでしょうか。

例えば、空調のダクトにしてもメインダクトから枝分かれする各部屋のダクト設計や梁に通す場合の最適な穴開けの位置決めは、設計者が一つ一つ時間をかけて行っています。こうした単純な構造設計やシミュレーションは、人より速く優れた結果を導くAIに任せられます。さらに進化すれば、設計者があらかじめ意匠別の3次元モデルを準備し、フロアごとに必要な部屋の数や用途を決めるだけで、ほぼ建設可能なレベルのBIM/CIMモデルを自動的に作成できるような時代へと向かうでしょう。

特に日本のインフラ構造物は1960年代に構築されたものが多く、今後は老朽化に対応する維持管理業務の増加が見込まれます。BIM/CIMソフトには構造物のデータベースが格納されていますから、ある程度まとまった単位で仕事を任せられるようになります。インフラ構造物の点検・維持管理業務はこれまでスキルの高い人間の技師により賄われていたのですが、AIにコンクリートのひび割れのパターンをディープラーニングさせて、ロボットや車載型3次元計測システムに代行させていくことも可能になります。

BIM/CIMモデルと連携する先進ITデバイスが続々登場

実際に、清水建設の関西の高層ビル建築現場では、AIを搭載した自律型のロボットが稼働を開始しています。鉄骨の柱や梁を所定の位置に吊り込む水平スライドクレーン「Exter」、溶接トーチを自在に操る柱溶接ロボット「Robo-Welder」、天井や床材を施工する双腕の多能工ロボット「Robo-Buddy」、自動搬送システム「Robo-Carrier」などのロボットが担当する工種において70%(パーセント)以上の省人化を目指すわけですが、正確な作業を担保するための制御データとしてBIM/CIMモデルが基本となっています。

産業用ロボット以外にも、施工現場の生産性を向上させる先進的なITデバイスが続々と登場しています。3Dプリンターは3次元CADからダイレクトに立体物を造形するデバイスとして製造業の産業構造を一変させましたが、建設業においてもオランダで3Dプリンターによる鋼橋架設プロジェクトが進行するなど、世界の各地からBIM/CIMモデルと連携して自動的に躯体を構築した事例が報告されています。

イタリアのWASP社は型枠なしでコンクリートを積み上げる高さ12m(メートル)の巨大な3Dプリンターを完成させ、フランスのSERRE NUMERIQUE社は折りたたみ式3Dプリンター車とモルタルプラント、コントローラー一式を1台のコンテナに収納したコンクリート建設セットを発表しました。

現場で施工する際に、バーチャルなBIM/CIMモデルやCAD図面を重ね合わせて見ることができるMR(複合現実)デバイスとして、「Microsoft HoloLens」が注目を集めています。これを使えば、ボルトの位置決めやU字溝を掘る際の墨出しにおいてダイレクトにポイントを抽出でき、スピーディーに施工を進捗させることができます。

このように先進的なITテクノロジーをセンサーやデバイスとして活用していけば、施工現場とBIM/CIMモデルがリアルタイムに連動し、AIが設計や施工計画を自律的に行い、ロボットが現場で作業を進められます。AIやロボットがいくら働いてもその労働時間はゼロです。彼らが生み出した価値の分だけ労働生産性は向上し、建設サイクルの効率化と省力化を果たせます。

異業種との連携が建設業のワークスタイルを変革する

建設業が取り組むビルや社会インフラの整備も、人や設備の状況をセンサーからリアルタイムに把握し、AIを活用して予測しながら、問題が起こる前に人やクルマの動きなどを制御し、安全で快適な環境を構築することを目指しています。現在、スマートビルやスマートシティの開発が日本の各地で進められています。

こうしたIoTの仕組みを追求していくと、通信やIT、電機、エネルギーなどの異業種との本格的なコラボレーションは欠かせないものになります。2017年末にはソフトバンクが大手建設コンサルタントの業務提携を発表しました。通信事業者が建設のプロセスを管理するプラットフォーム構築を請け負うケースも増えています。

建設業は着実に、異業種とBIM/CIMモデルを共有し、最適化社会を構築する方向へと向かっています。これまで建設業は建設工学や土木工学を学んだ人によって支えられてきましたが、業界の垣根がなくなることで、電子工学や情報工学、ドローンを飛ばす航空工学などほかの専門家たちにも門戸を開けます。さらに、BIM/CIMモデルをインターネット上で生活者や地域住民と共有することで、建物の間取りや子供の安全性、暮らしやすい環境をチェックできるようになり、建設業のワークスタイルは根本的に変革されていきます。

現在、建設業は「新3K(給料が高い・休暇が取れる・希望が持てる)」で汚名返上を図っていますが、これが実現すれば人手不足に悩まされる心配もなくなります。

3次元CADで建設業のイノベーションを推進する

少子高齢化が深刻化する日本ですが、地方の過疎化により都市部への移住が進み、都会での建設需要は一層拡大していきます。世界の人口にいたっては2050年までに98億人に到達することが予測され、建設プロセスの効率化・現場作業の自動化は世界共通の課題とされています。

もはや人間の手作業で設計を行い、現場で帳尻を合わせている時代ではありません。BIM/CIMモデルとITテクノロジーを連携させて建設ライフサイクル全般の生産性を高め、最適化社会の構築に向けて人間の想像力と創造力を駆使する時代へと着実に向かっています。皆様が3次元CADを有効に活用し、最適なワークフローを構築されることを願ってやみません。

建設業に求められるIoTの仕組み(出典:建設ITワールド)

イエイリ・ラボが提唱するITを活用した建設業の成長戦略 1

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