AutoCAD Civil 3Dの動作環境を実際に検証してみた
2018年 6月15日
建設業
既にAutoCAD Civil 3D(以下、Civil 3D)の操作に必要な動作環境が公開されていますが、加えて、どこに負荷がかかっているのかを知ることで、マシン動作を軽減する対策が打ちやすくなります。
CIMやi-Constructionが推進されるにつれ、大規模3次元データを扱う機会が増えると予想される今、実際にCivil 3Dの動作環境を検証してみました。
Civil 3Dの起動
起動時はディスクのI/Oに対しての負荷が高くなります。CPUはシングルスレッドでしか動かず、メモリーも大幅に上昇する傾向ではありません。
また、SATA HDDに比べ、M.2.SSDにすると起動時間が4分の1ほどに縮まっており、M.2.SSDが効果的であることが分かります。
Civil 3Dのモデルを開く
ファイルオープン時後半はディスクのI/Oに対しての負荷が高くなります。CPUはシングルスレッドでしか動かず、メモリーも大幅に上昇する傾向ではありません。SATA HDDに比べ、M.2.SSDやSATA SSDの効果が出ていますが、I/Oが後半に集中している分、それほど大きな差は出ていません。
サーフェススタイルの変更 境界のみ・TIN表示
この処理はCPUとグラフィックスを使用されており、メモリーの使用率は定常的でディスクI/Oはほとんど発生していません。また、CPUのよりもグラフィックス性能が処理時間に影響が大きいようです。
ビューイング1 作図領域(平面図)でのズーム、画面移動
この処理はグラフィックスの効果が大きく出る処理となります。グラフィックス性能が高いものが順当に性能が出ていますが、Intel HD Graphicsもかなり健闘しています。
ビューイング2 オブジェクトビューアーでの3D回転
この処理もCPUとグラフィックスがメインですが、両者とも大きくは使われません。グラフィックスカードによる性能差はあまり出ていません。Intel HD Graphicsで表示させた場合は毎回アプリケーションがクラッシュしてしまい計測不可でした。
ビューイング3 作図領域でのビュー変更:南西アイソメ
この処理は後半でCPUが少し使われ、最後の表示処理でグラフィックスが使われていますが、全体的にリソースが大きくは使われていません。グラフィックスによる大きい性能差は出ず全体的に誤差程度です。
ビューイング4 作図領域での表示スタイル変更:コンセプト
この処理もCPUとグラフィックスが主に使われていますが、それほど大きな負荷にはなっていません。グラフィックスによる大きい性能差は出ず全体的に誤差程度です。
コリドー再作成
この処理はCPUがメインです。最終処理の表示部分でグラフィックスが使われています。CPUのシングルスレッド処理がメインとなり、負荷もそれほど高くないため、グラフィックスによる性能差はあまり出ていません。
まとめ
CPU
マルチスレッドの処理がほとんど発生しないため、4コアでよりクロックの高いモデルがよい。
メモリー
扱うCIMデータの規模にもよりますが、16~32GBほどあれば充分といえる。
グラフィックス
ハイエンドモデルを選択してもそれほど大きな恩恵はなさそう。ミッドレンジクラスのQuadroまでで充分といえる。
ディスク
M.2.SSDを搭載するとCIMの起動、処理など全体的にパフォーマンスが向上した。