レースの現場から生まれた「ヨシムラ」伝説が
3次元設計の幅広い活用で新たな進化のステージへ

2019.11.5

  • 製造業

株式会社ヨシムラジャパン

YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING

神奈川県に本社を構える株式会社ヨシムラジャパン(以下、ヨシムラジャパン)は、「鈴鹿8時間耐久ロードレース」の優勝をレース分野における目標としている。目標を達成するため設計部が取り組むべき課題は、第一に「速さ」。そして耐久性を併せ持つこと。8時間全開で走ってトップを獲り、絶対に壊れないバイクが、ヨシムラジャパンの理想なのである。

一方で転倒時の復旧のためには「高度な整備性」も決して欠かすことはできない。それは現場ですぐに交換できる、修理できる設計といえるだろう。また車体の最低重量はルールで決められ不足分は重りを積むのだが、重心に近い最適な位置を選ぶことでマスの集中化も図ることができる。だから「各部品の軽量化」も重要な課題である。

つまり、どのような課題でもInventorを駆使して行う3次元設計や解析の活用が重要なカギとなるのである。

株式会社ヨシムラジャパン

オートバイレースを愛する人にとって、「ヨシムラ」の名は今もなお特別な響きを持っている。第2次大戦後間もない時期、バイク好きの米兵に慕われた伝説的なバイクチューニング技術者吉村秀雄(愛称POP吉村)が、バイクショップとして1954年に創立したヨシムラは、1971年に世界初の二輪用集合マフラーを開発。これが世界に知られる人気商品となった。

1970年代にはプライベーターとして耐久レースに参戦。第1回鈴鹿8時間耐久ロードレースで並み居る大手メーカーの強豪チームを破って優勝し、人気を不動のものとしたのである。創立65周年を迎えた現在も、レースにも出場しながら二輪・四輪車の部品・用品の研究開発と製造販売をトータルに展開。世界のオートバイファンの憧れを集め続けている。

業種 製造業
事業内容 二輪・四輪車用部品/用品の研究開発(レース参戦)、製造、販売
従業員数 80名
サイト http://www.yoshimura-jp.com/

導入の狙い 設計品質の向上
導入ソフト
導入効果
  • 設計ノウハウの構築
  • CAE活用
  • 他分野への事業展開

進化し続ける伝説の二輪用品メーカー

「そんな当社も近年事業体制を改め、会社として大きな変化の時を迎えつつあります。」そう語るのは、ヨシムラジャパンの取締役を務める吉村秀人氏である。部長として設計部/サービス ・車両適合部を率いる吉村氏は、自ら開発・設計にあたるエンジニアでもある。「従来の当社組織ではレース担当と商品開発がきっちり分けられていましたが、現在は両者が一つになりました。私たち設計部もレース関係の部品開発を行う一方、一般商品の設計も行っています。」その結果、レースのサポートを通じて先端的な開発ノウハウを蓄積できるのはもちろん、それを一般商品の開発にストレートに生かせるようになったと吉村氏は言う。これにより、取扱商品のフィールドも、従来の枠を超えて拡大しつつある。

設計部/サービス・車両適合部
取締役 部長
吉村秀人氏

「ヨシムラと言えば、二輪用マフラーのイメージが強く、実際に現在も当社の主力商品として専任の部隊が開発を行っています。しかし、それ以外の仕事も近年大きく拡大し、商品ラインアップがぐっと広がりました。」例えばヨシムラのもう一つの代名詞であるカムシャフトなどのエンジンパーツはもちろん、エンジンガードやステップキット、フェンダーレスキットなどのアクセサリーパーツ。さらには全くの異分野までフィールドは広がりつつある。そして、急ピッチで進むこのイノベーションの原動力の一つが、吉村氏らがメインツールとするAutodesk Inventor(以下Inventor)による3次元設計の普及である。吉村氏と共にInventorを運用する設計部係長の川口裕介氏は語る。

「当社の創業者であるPOP吉村は一本一本手削りした芸術品のようなカムシャフトで一世を風靡(ふうび)し、これを引き継いだ現社長はそのアナログデータを数値化し図面化して量産製品として確立しました。そして今、吉村部長と私たちはInventorで3次元設計に取り組み、解析など多様な機能を駆使して、一気にヨシムラの世界を拡大しつつあるのです」

設計部 係長
川口裕介氏

レース現場最前線の設計者たち

「1999年頃から、当社ではInventorの前身にあたる3次元CADのMDTを使っていました。3次元化への取り組みは同業の中では早い方でしたね」(川口氏)。当時、同社ではミニバイク用エンジンパーツの開発が始まり、これと共に設計案件が全体的に高度化し複雑化していた。そのため2Dでは対応が難しくなり、MDTが導入されたのである。

「それがInventorに切り替えられたのは、おそらく私の入社がきっかけですね。」と、今度は吉村氏が語りはじめた。「学生時代に別の3次元CADを使っていたせいか、私はMDTが使い難くて。既に後継のInventorが出ていたので使ってみたのです。するとこれが使いやすくて機能も豊富でしたので、すぐ部内へ普及していきました。」現在では5人の設計者全員がメインツールとしてInventorを使う。前述の通り、レース用パーツから一般商品、外部委託された設計案件まで、設計部の担当案件は多岐にわたり、開発案件も一般商品だけで年間20件を超えるが、いまやその全てがInventorで設計されているのである。

Inventorで設計したキャブレター

そんなヨシムラ設計部の中核をなすミッションと言えば、やはりレースのサポートだ。現在同社が参戦中なのは年間7戦の全日本ロードレース選手権と、最終的なゴールとなる鈴鹿8時間耐久ロードレースである。「目標はこの8耐の優勝ですから、全日本の7戦は、私たちにとって8耐で勝つ車両を作るための試験場でもあるのです」(吉村氏)。

つまり、吉村氏らは全日本ロードレース7戦の1戦ごとに車両の問題点を抽出して対策を練り、問題のパーツを改修し新造して次レースでこれを実戦評価する。こうしてアップデートを7度積み重ねた車両で、最終決戦たる鈴鹿8耐に挑んでいくのである。

「来シーズンの案件では、例えばスイングアームの開発があります。より高い性能の追求と、私たちのノウハウ蓄積のためにもこの開発に取り組んでいきたいです」(吉村氏)。

こうした新規開発であれ改修であれ、出発点はやはりレース現場の声、すなわちライダーやメカニックの意見だ。時に感覚的すぎる彼らの言葉を元に、吉村氏らはInventorを駆使し、試行錯誤しながらスタディモデルを仕上げ、自ら手を動かして試作品を作りテストしていく。時には、自ら市販バイクのハンドルを握ってテスト走行することもある。また、他方ではレース現場で発生する多様なトラブルへの対応も重要なミッションである。

「最近、ライダーが足を乗せるステップに、振動でクラックが入り割れてしまうトラブルがありました。用意してあったスペアも、振動が激しすぎてブーツの底が摩擦熱で熱い! と言われ大変でした」(吉村氏)。

原因は振動が激しいエンジンにあったが、レギュレーションにより変更できず、ステップ側で対応するしかなかったのだという。破損箇所を解析し応力が集中しないよう形状を変えたり、振動の固有値解析をして見直すなど、今回もInventorの機能をフル活用しているという。

「設計だけでなく、解析でも何でも自分たちでやる私たちにとって、やはりInventorは最適なツールです。やりたいことはだいたい何でもやれるし、ハイエンドCADより使いやすいですよね」(川口氏)。

レース部品(ステップ・シフトペダル)

レース、空とぶバイク、さらにその「先」へ

このように、フィールドを広げながらも二輪用品分野中心に展開してきたヨシムラだが、実は全く新しい分野への挑戦も進めている。UAV用駆動システムの受託設計がそれだ。「もともとは“空とぶバイクが作りたい”という依頼から始まったもので、レシプロエンジン版ドローンのエンジン回りの設計案件です。私たちにとって未知の世界であるのはもちろん、見本となるものが何もないので、まず2Dでレイアウトを書き、それを3Dに落とし込んでいきました。アセンブリでレイアウトを決める必要もあり、今回は特にInventorを有効に活用できました」(吉村氏)。

プロジェクトは、まだ実現可能性を探る基礎実験段階だが、だからこそ、自ら手を動かして組み立てやテストを行うヨシムラ設計部隊の強みが大いに発揮されるのである。「短期間のプロジェクトのため、全く新しいものでも壊れることが許されません。事前にシミュレーションし解析し、考え尽くして、“壊れない設計”にチャレンジできたのは大きな収穫でした。今後、新たな挑戦を進めるうえでもきっと役立つでしょう。」そんな吉村氏の言葉からも分かる通り、今後同社はさらにフィールドを広げていく方針だ。

設計部の作業風景

「商品ラインアップは増やしたいし、UAVだけではない新分野にも挑戦したい。もちろんレース活動も一層注力します。来季については未定ですが、規模を拡大していく雰囲気もあるし、期待しています。また、ものづくりに関しては、今後はより形状の最適化に力を入れたいですね。」吉村氏がそう言うと川口氏も大きくうなずいた。「その点ではジェネレーティブデザインに期待しています。私が思いつかないようなデザインスタディがどんどん作れるし、私たちにはそれをベースに何かを作り出す技術があるのですから、いずれ挑戦したいですね」

UAV駆動部品

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