3D CADでのモデリングの手順とは? 三つのステップとコツを解説
2020年 2月 3日
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IT技術の発展と共に2D CADから3D CADへ転換する企業も多くなりました。
データの時点で完成品を具現化できるという3D CADのメリットは、適切なモデリングが行われてこそ発揮されるといえるでしょう。今回は、3D CADモデリングの三つの手順をコツと共に解説します。
3D CADのモデリング練習を検討している方も、ぜひ活用してください。
平面スケッチで輪郭を形成
最初の手順として平面上、つまり2Dの状態でスケッチを描きます。スケッチするうえでは、3D CADでのモデリングの手順を意識しながら、輪郭を形成するのがコツです。
なお、2DCADにて作成した2D図面を3D CADに取り込んで、スケッチの輪郭として使うこともできます。
スケッチの押し出し、回転を行って立体へ
平面から3Dに押し出された形状は、「フィーチャー」と呼ばれています。フィーチャーには「押し出し」または「スイープ」「回転」「ブレンド」と、いろいろな形状があることを覚えておきましょう。
完成品によってフィーチャーを使い分けられるようになると、パターン別のモデル作成や作成後の修正が容易になります。
スケッチを真っすぐ押し出す「押し出し」
押し出しとは、平面スケッチを直線的に押し出して立体にする手順です。
例えば、平面の円を押し出して円柱にする、四角を押し出して立方体にするなどが該当します。押し出す長さは調節できるため、3D CADにおける押し出しは多く用いられます。
スケッチを押し出す形を変える「スイープ」
スイープは押し出す軌道を任意の形に指定して押し出し、立体にする手順です。
平面の円を直線的に押し出せば円柱になるのに対して、軌道をらせん状にして押し出すとコイル形状になります。円柱になるのが前述の押し出し、コイル形状になるのがスイープです。平面をより複雑な形状へ3D化できる手法といえるでしょう。
スケッチの一点を軸にして立体にする「回転」
回転はスケッチしたものの一部分を軸にして回転させ立体にする手順です。
例えば、長方形の一辺を軸にして回転させれば円柱に、円の中心を軸にして回転させれば球体になります。
なお、平面スケッチから少し離れた場所を軸にして回転させると、押し出しでは作れない立体も作成可能となります。円から少し距離を取ったところを軸にして、円を回転させるとドーナツ状の3D化が可能です。
スケッチの頂点同士を合わせて立体を作る「ブレンド」
3D CADにおけるモデリングでは、単体の平面スケッチ同士を複数つなぎ合わせ、一つの3D形状を作ることもできます。異なる形や大きさの平面スケッチ同士の頂点と頂点を直線でつなぎ、一つの立体を作るのがブレンドと呼ばれる手法です。
例えば、正方形と長方形の頂点を組み合わせてブレンドすると、3Dの台形を作れます。
角を取る、または丸めて完成品へ
押し出しや回転などで平面スケッチから3Dの立体を作った後は、細かい部分の形状を作成していきます。その際に立体の角を取る、または丸めるために行うのが「フィレット」や「面取り」です。
滑らかな角を作り出すフィレット
フィレットとは、立体の角を滑らかな角にする手法です。角のエッジ数値を設定してフィレットをすると、角がエッジ数値の角度に沿って滑らかな形になります。
角を取る面取り
面取りとは、角の部分を斜めにカットして角を取る手法です。調理において、具材に味が染み込みやすくやわらかくするために、大根などに包丁で細工を入れる「面取り」がありますが、まさに同じ形状であり作業といえます。
面取りはフィレットと同じく角のエッジ数値を設定して行います。
その他、汎用(はんよう)できるモデリングをご紹介
数々の機能を利用して作られたモデル同士を組み合わせて、目的の製品や建築物などの3Dモデルが完成します。基本的な3Dモデリングと共に覚えておきたい、応用的な3Dモデリングの手順をご紹介します。
違うバージョン作成に便利なコピー
パーツの一部の穴を大きくする、異なる形状のものを作ってほかの部品へ転用したいときなどがあります。
部分的に仕様の異なるものを作りたいときに活用できる手法が「コピー」です。スケッチまたはフィーチャーをコピーできるので、一部だけ仕様を変えたいときや転用したいときに使います。
同一形状のものをそのままコピーできる「パターンコピー」のほか、3Dモデリングの角を軸にして左右対称物としてコピーができる「ミラーコピー」があります。
形状は同じで大きさを変えるスケール変更
小さい部品を大きな部品に転用するなど、同一のものの大きさを変えられるのが「スケール変更」です。
3D CADのモデリングは、スケッチ、大まかな立体、細かい箇所の調整の手順を踏んで進めていくのがコツになります。
また、次の手順のことを意識しながら各作業を行うこと、実際に完成させるものに対していろいろな手法を使い分けるのも円滑に進めるポイントです。3D CADモデリングの基本を押さえて、モデリングをスムーズに行いましょう。