ベストプラクティス運用 ~熱流体解析ソフトの活用で品質向上と開発期間短縮を実現~

2020年 6月26日

製造業

「製品に対する要求が高まる昨今、電子機器の設計において製品の熱対策が不十分なことから生じる開発期間の長期化、設計品質の低下といった問題が出ている。」

このようなお困りごとを大塚商会が改善のお手伝いをさせていただいた一例をご紹介します。同様のご相談を多くいただきますので、支援例のご参考にしてください。

お困りごと

  • 小型化が要求され電子部品が許容温度を越えてしまう。
  • 放熱対策が過剰になっている(必要以上に大きなヒートシンク、過剰スペックのファンなど)。
  • 最適なファンの選定や開口位置の特定ができない。
  • 試作・評価・設変の繰り返しで開発期間が長期化している。

過去の経験から設計案を検討し試作・評価を行っているが、小型化や電子部品の高発熱化が進み、設計基準に収まる結果を得られるまでにかなりの工数がとられているという状況でした。

問題点

  • 過去の経験だけでは試作案が絞り込めず、製品の小型化・電子部品の高発熱化。若い技術者の経験不足。
  • 納期に追われ検証に時間がかけられず、短納期化が進み、試作・評価の時間が限られる。最低限の品質で設計を終えて出図せざるを得ない。

問題点による影響

試作・評価の繰り返し

  • 試作回数:1機種当たり平均3回(コスト1回約20万)
  • 試作工数:1回当たり平均7日~10日

納期遅延による機会損失・設計品質の低下

  • 競合製品に対する魅力低下
  • 最適な形状に至らない品質で設計終了
  • 市場のニーズにこたえられない

大塚商会が解決のお手伝いをさせていただきました

そこで熱流体解析を導入し、試作・評価の前にさまざまなバリエーションでの解析を実施し試作案を絞り込むことで試作回数が減少し、工数削減を図れました。

解決手段

  • 試作前の解析で傾向を確認(ポカミスによる試作のやり直しを回避、バーチャル検証で現象を見える化)
  • 短時間で複数案を解析(さまざまなケースを解析し最適化が実現、納期に遅れずに試作・評価を実施)

効果

  • 試作・評価回数が削減した。(例:1機種当たりの試作回数が3分の1<試作コスト40万、工数14~20日削減>
  • 年間5機種開発するため、年間試作コスト200万、工数70~140日の削減ができた。
  • 設計品質向上の実現。形状の最適化(小型化・軽量化)ができた。

3D設計に熱流体解析を取り組むことでさまざまなバリエーションでの解析を実施し最適化を図ることにより、開発(設計)期間・コストの削減、および製品の品質向上につながりました。

本件は参考例となりますが、環境・状況に合わせた運用改善のポイントはお客様ごとに多数存在すると思います。さらなる生産性の向上を目指し、いま一度熱検討の運用環境を見直してみてはいかがでしょうか。