3D CADの将来性 ~3D CADオペレーターの仕事はなくなる?~

2020年 7月 6日

製造業

3D CADのオペレーター業務に興味があるが、この仕事に将来性があるのか不安な方もいるかと思います。3D CADソフトを用いる業務は、需要が高く今後も仕事が減る可能性は低いでしょう。そのため、将来性はあるといえます。

ただし、AI(人工知能)の活用により、普通の3D CADオペレーターでは不十分かもしれません。今回は3D CADオペレーターの将来性について詳しく解説していきます。

3D CADの将来性は十分にある

まず、3D CADオペレーターの将来性は十分にあります。3D CADは製造業や建築業、インテリア業界などの幅広い分野で使用されているソフトだからです。

また、日本の人口減少に比例して働く人材は減少傾向にあります。国内で働ける生産年齢人口は、1995年の約8,762万人から2015年には約7,728万人にまで減少しているのです。

参考文献:国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口

現時点で3D CADを扱える人材の数が十分ではないという点に加え、労働人口の減少もあり、ますます需要は高くなっていくでしょう。今後もさまざまな分野で3D CADが使用されていくことを加味すると、3D CADオペレーターの将来性は十分にあると考えられます。

3D CADの将来性がある三つの理由

3D CADに将来性があることを分かりやすく示すため、具体的な三つの理由をご紹介していきます。

1.3D CADを扱える人材がまだ少ない

一つ目の理由として、3D CADを扱える人がまだ少ないという点が挙げられます。

近年、2D CADから3D CADへの移行は世界的に加速しており、市場自体も伸びています。日本国内のCAD / CAM / CAEシステム市場として、2017年には3,400億円程度でしたが、2019年には4,000億円にまで成長していることから、成長市場であると考えられます。

参考文献:株式会社矢野経済研究所 CAD / CAM / CAEシステム市場に関する調査を実施(2019年)

しかし、今後も増加すると予測される3D CADを導入する企業数に対して、3D CADソフトを扱える人材はまだまだ足りていません。そのため、3D CADオペレーターには十分に将来性があるでしょう。

2.AIによる代替もまだ技術的にフォローできない部分がある

二つ目の理由は、AI(人工知能)では技術的に代替できない部分が多いためです。代替できない部分とは、次のような問題です。

  • クライアントごとの独特な設計要望・感情的要素
  • 「製造工程を考慮したうえで設計ノウハウを反映させる」などの複雑な設計

このような知識や経験が関連する問題には、AIではまだ対応できない可能性が高いでしょう。

3.3D CADはものづくりの分野では欠かせなくなってきた

三つ目の理由は、3D CADはものづくりの分野で欠かせないものになりつつあるからです。

3D CADはより効率的な設計、モデルの見やすさやデザインの視覚化がしやすいなど2D CADにはないメリットがたくさんあります。使い勝手もよいため、さまざまな分野・業界で欠かせません。そのため、3D CADを扱えるオペレーターも必要な存在となっています。

3D CADに将来性はあるがAIの進化も近い

ここで注意したいのが「3D CADオペレーターはAI(人工知能)に仕事を取られてしまう可能性もある」点です。そこで、3D CADとAIの今後の関係性や対策法をご紹介します。

3D CAD業務はAIでの完全代替は難しい

3D CADオペレーターなどは、10~20年後にはAIに代替可能と言われています。実際にある研究によると、日本の労働人口の約49%の職種が技術的には人工知能などと代替可能という結果が出ており、3D CADオペレーターも含まれています。

参考文献:株式会社野村総合研究所 日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に

ただ、前項で記載した通り、設計者やクライアントの感情的な部分などを踏まえると、3D CAD業務を全てAIで代替するのは難しいでしょう。

3D CAD以外のソフトも使えるオペレーターになるのがお薦め

AIが3D CAD業務を完全に代替えすることはまだ難しいです。しかし、確実にAIは進化しており、3D CADソフトを扱えるだけでは需要のある人材とならない可能性があります。

3D CAD以外のソフトも実務レベルで扱えるオペレーターになることで、AIよりもはるかに求められる人材となるでしょう。

3D CAD以外のソフトは以下のようなものがあります。

  • CAE(シミュレーション・解析といった設計支援ソフト)
  • CAM(加工用NCプログラム自動作成ソフト)
  • PDM(製品データの一元管理ソフト)

このような3D CAD以外のソフトも扱えるようになり、求められる人材になることをお薦めします。

将来性がある3D CADは今のうちに導入を

AIの進化は早く、オペレーター業務のほとんどを代替する可能性もあります。AIでは代えられない仕事を行うためにも、3D CADは早めに導入し、周辺ソフトも踏まえて扱えるようにしておくのがよいでしょう。