「新幹線型滑り台」開発秘話 ~魅力的な曲面はこうして再現された~

2021年 2月19日

製造業

日都産業株式会社

鉄道博物館に設置されたE7系新幹線型滑り台

さいたま市の鉄道博物館にE7系新幹線型の滑り台が存在する。新幹線の魅力的な曲面は子供、大人を問わず常に注目の的だ。この滑り台は創業70年余りの公園遊具の老舗メーカーである日都産業株式会社が手掛けている。

同社ではAutodesk Inventorを活用している。市場では曲面機能は弱いというイメージを持たれているAutodesk Inventor。そんなイメージを払拭するため、日都産業株式会社 技術部デザイン課小林氏へインタビューをさせていただきました。

Inventor特別対談 日都産業×オートデスク

聞き手:オートデスク技術営業本部 清水元氏

清水氏
「E7型滑り台の開発はスムーズに進んだのですか?」

小林氏
「わりとスムーズに進めることができました。ただ、E7系独特の車体形状の造形には苦労しましたね。ちょうどInventorのフリーフォーム機能はアップグレードされたころだったと思いますが、この進化したフリーフォームがあったから何とか造形できた、という感じです。」

日都産業 小林氏(右)とオートデスク 清水氏(左)

清水氏
「どのような造形だったのでしょうか。」

小林氏
「E5系のときと同じく、形状とカラーリングはある程度実物に忠実な再現を求められますが、図面や3Dモデルが提供されるわけではありません。E7系のときは鉄道博物館に展示してあるモックアップを参考にせよとの指示で、鉄博へ行って前後左右と上から写真を撮影。Inventor上で平面に貼り付けて、それを見ながらフリーフォームで形を作っていきました。」

清水氏
「それは……なかなか大変でしたね。」

小林氏
「ええ、特にE7は車輌両サイド下部の金色ラインに沿ってエッジがあり、これが前方の平らな面から徐々に高くなっていくという、高度なCGソフトでなければ作れないような微妙なラインで……。」

清水氏
「特に難しかったのは、やはりエッジの部分?」

小林氏
「ええ。E7系のエッジはスムーズな面が徐々にカーブしながら、途中でふわっと消えていく実に繊細な曲面を持ったサーフェスなんです。フリーフォームがメッシュを引っ張ったり、細かくしたりして移動できるようになったので、まぁ、なんとか作れました。」

清水氏
「新しいフリーフォーム機能なら対応できるようになったのですか?」

小林氏
「かなり進化しましたし、私たちの仕事の範囲ならいけるでしょう。より難度の高い曲面はAliasでないと困難でしょうが、フリーフォームも類似した形は作れるようになったし工業製品なら問題ありません。」

  • 3面写真を元にフリーフォームでモデリング

  • ゼブラ解析でサーフェスの連続性を検証

このように小林氏に語っていただきました。

複雑な自由曲面の表現はミッドレンジ3次元CADやInventorでは難しいという声をよく聞きますが、Inventorのフリーフォーム機能は進化しているということを伺うことができました。

導入事例詳細

インタビュー内容をより詳しくまとめたPDFをご用意しています。お気軽にご覧ください。

日都産業株式会社 導入事例詳細(PDF)