製造業にとってのBIM対応 テクニカル情報(その1)

2022年 3月 7日

製造業

今回は製造業としてBIMを推進するうえで、BIMモデル作成における各種3D CADの特徴をとりまとめて解説します。BIMパーツの作成には3Dモデル作成のソフトウェアが必要となり、その手段として次の方法が挙げられます。

  • BIMソフトを使ったBIMパーツの作成
  • 機械系3D CADデータを活用したBIMパーツの作成

これらで作成されたBIMパーツは、BIMモデルの一構成部品となります。

製造業にとってのBIM対応の課題と解決策(その2)

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機械系3D CAD と BIMソフトの特徴

機械系3D CAD

機械系3D CADは製造業の3D CADを指し、製品設計に使用されるAutodesk Inventor、SOLIDWORKSなどが代表的なソフトです。

  • 制作加工用/詳細度(LOD高)
  • 複雑な形状/曲面が得意
  • 複数の機械部品のあつまり(部品単位の情報)
  • 既存3D CADデータからBIM、CIMデータ作成が容易(IFC / RFA)

BIMソフト

BIMソフトは建築建設業の3D CADを指し、建築土木の設計・施工に使用されるAutodesk Revit、Archicadなどが代表的なソフトです。

  • 建築建設設計施工/詳細度(LOD低)
  • 複雑な形状/曲面が不向き
  • ユニットレベルの属性情報(仕様・性能情報)
  • Revitならではの振る舞い(パラメトリック・ホスト)

それぞれ特徴があることが理解できると思います。例えば、設計BIMのスペックインのためにはBIMソフトにおけるパーツ作成と活用が最適であるように、機械系3D CADデータとBIMソフトで作成されたネイティブデータを使い分ける必要があります。

次におのおののCADの長所・短所を探ってみたいと思います。

BIMパーツ作成における各3D CADの長所・短所

 BIMソフトでのパーツ作成機械3D CADデータの活用
長所
  • パラメトリックなパーツが作成できる
    (幅・高・奥行きを変更して柔軟に対応可能、配置数増減の動きつけられるパーツが作成できる)
  • 変換して再利用できるため、モデリングの二度手間が削減できる
  • BIMソフトの操作スキルをさほど必要としない
短所
  • 表現できる形状に制限がある(複雑な曲面などは作成できない)
  • 機械系3D CADデータが存在する場合、モデリングが二度手間となる
  • モデルの簡略化はある程度自動だが、手作業の余地が残る
  • BIMソフト側でパラメトリックな動きができない

機械系3D CADデータの活用の流れを図式化すると図1のようになります。

図1:機械系3D CADデータの活用の流れ

製品設計データをBIMソフトにて活用できる点がメリットですが、塊データとして扱われるため柔軟性に欠けることは否めません。スペックが確定した施工BIMには有効なワークフローと思われます。

BIMパーツ作成における各3D CADの作業範囲

BIMパーツ作成におけるInventorとRevitの作業範囲を見てみましょう。機械系3D CADとBIMソフトにおける守備範囲がよく分かります。

次回は、BIMソフトと機械系3D CADの連携について触れたいと思います。