AutoCAD文字を早くきれいに作成する方法

2023年 6月28日

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AutoCADで文字を効率的に作図するには? Vol.4

今回の記事では知っていると便利な文字に関するコマンドとシステム変数についてお届けしたいと思います。

文字に関する便利なコマンド

マルチテキストをダイナミック文字に変換する

ホームタブ/修正パネル/分解(EXPLODE)コマンドを実行し、マルチテキストを選択してEnterします。

図1

  • 図2

  • 図3

図2・3のように、マルチテキストで設定していた書式は変更されるものがあります。位置合わせはダイナミック文字の既定値左寄せ(L)となり、文字の高さが違うものなどはそれぞれ個別のダイナミック文字として分解されます。

ダイナミック文字をマルチテキストに変換する

挿入タブ/読込パネル/文字を結合(TXT2MTXT)コマンドを実行し、マルチテキストに変換したいダイナミック文字を複数選択してEnterします。

図4

  • 図5

  • 図6

図5・6のように、ダイナミック文字で設定していた位置合わせは 左上になります。また文字の高さが混在していると、イメージどおりに変換されません。このコマンドは複数のマルチテキストを一つのマルチテキストに変換することもできます。

位置合わせ(JUSTIFYTEXT)コマンド

作業中に文字高さを変更すると、意図しない方向に文字が拡縮されることがあります。図7は位置合わせ左寄せ(L)のまま文字高さをプロパティパレットで2から4に変更した場合です。こうなると文字の移動が必要となります。

図7

それでは位置合わせを左上(TL)に変更し、後から文字高さを変更すればよいのですが、プロパティパレットを使用して位置合わせを左上(TL)に変更すると、位置合わせに対してダイナミック文字が移動してしまいます。

図8

こちらも文字の移動が必要で、なんとも悩ましい結果となります。

この問題を解決してくれるのが位置合わせ(JUSTIFYTEXT)コマンドです。このコマンドを使用すると、位置合わせに対してダイナミック文字が移動しません。

1.注釈タブ/文字パレット/位置合わせ(JUSTIFYTEXT)を実行します。

図9

2.位置合わせを変更したいダイナミック文字を選択し、Enterします。

図10

  • * 図10のように窓選択をしても文字のみ選択されます。
  • * マルチテキストにも適用されます。

3.オプションより変更先の位置合わせを選択します。今回は左上(TL)を選択します。

図11

4.画面上では文字に変化はみられませんが、プロパティパレットで文字高さを2から4に変更すると、イメージどおり文字が拡縮されます。

図12

尺度変更(SCALETEXT)コマンド

位置合わせ(JUSTIFYTEXT)コマンドと同様、文字高さを一括で修正する場合便利なコマンドです。位置合わせを変更せずに、一時的に文字の拡縮の基点を指示することができます。

1.注釈タブ/文字パレット/尺度変更(SCALETEXT)を実行します。▼ボタンでパネルを拡張するとコマンドが表示されます。

図13

2.文字高さを変更したいダイナミック文字を選択し、Enterします。図14のように窓選択をしても文字のみ選択されます。マルチテキストにも適用されます。

図14

3.オプションより拡縮の一時的な位置合わせ(基点)を選択します。今回は左上(TL)を選択します。

図15

4.文字高さを入力し、Enterをします。今回は4と入力します。位置合わせは左寄せ(L)のままですが、イメージどおりに文字が拡縮されます。

図16

文字位置合わせ(TEXTALIGN)コマンド

既に配置された文字を整列するコマンドです。整列の基点を一時的に指示でき、間隔を指定することもできます。今回は整列をさせてみたいと思います。

図17

1.注釈タブ/文字パレット/文字位置合わせ(TEXTALIGN)を実行します。

図18

2.オプション/位置合わせを選択し、中央(MC)を選択します。左寄せ(L)で作成した文字ですが、一時的に整列の基点を中央(MC)に変更したことになります。

図19

3.オプション/オプションを選択、さらに間隔を設定を選択し、5と入力してEnterします。

図20

4.整列したい文字を選択しEnterします。マルチテキストにも適用されます。

5.オプション/点を選択し、図21のように1点目・2点目を指示します。

図21

中央ぞろえ、垂直間隔5mmで整列することができました。

図22

文字に関する便利なシステム変数

システム変数とはコマンドやCADの動作を制御する変数です。保存先がファイルとレジストリの2種類があります。「レジストリに保存される」というのは簡単にいうと、ログインユーザーごとに設定が保存されるイメージです(正確にはプロファイルごとに保存されます)。

TEXTLAYER

現在のレイヤーではなく、指定したレイヤーでダイナミック文字マルチテキストを作成することができます。

1.直接コマンドラインにTEXTLAYERと入力し、Enterします。文字を作成するレイヤー名を入力し、Enterします。

図23

  • * ファイルに存在するレイヤーである必要があります。
  • * このシステム変数はファイルに保存されます。

MIRRTEXT

鏡像(MIRROR)コマンドを使用した場合、文字をミラーするかどうかを制御します。古いファイルを流用している場合、またDXF由来のデータで文字が鏡像してしまう場合に便利です。

1.直接コマンドラインにMIRRTEXTと入力し、Enterします。

2.「0」と入力し、Enter。

図24

  • * 0は鏡像しない。1は鏡像する。
  • * このシステム変数はファイルに保存されます。

MTEXTED

マルチテキスト編集(MTEDIT)コマンドを実行した場合のエディタを変更します。内容を編集するだけのエディタとフルエディタに切り替えて使用することができます。

1.直接コマンドラインにMTEXTEDと入力し、ENTERします。

2.「:LISPED」と入力し、ENTERします。

図25

マルチテキストをダブルクリックすると、図26のようなエディタが起動します。

図26

  • * 書式などの変更をする場合は、フルエディタボタンでエディタが拡張されます。
  • * 既定値のエディタに戻す場合はMTEXTEDの値を「.」にします。
  • * このシステム変数はレジストリに保存されます。

DTEXTED

文字編集(TEXTEDIT)コマンドを実行した場合、エディタを旧タイプに変更します。

1.直接コマンドラインにDTEXTEDと入力し、Enterします。

2.「1」と入力し、Enterします。

図27

ダイナミック文字をダブルクリックすると、図28のようなエディタが起動します。

図28

  • * 既定値のエディタに戻す場合は、DTEXTEDの値を2にします。
  • * このシステム変数はレジストリに保存されます。

AutoCADで文字を効率よく作図するにはシリーズの記事は今回で最終回です。皆さまの作業効率アップのヒントになれば幸いです。