AutoCAD 引き出し線の作成方法

2023年 9月14日

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これだけは知っておきたい寸法作成のヒント Vol.5

みなさん、引き出し線ってどうやって作図していますか?

寸法以上に理解されないまま作図されているのが引き出し線です。引き出し線というと「注釈タブのマルチ引き出し線を絶対使用しないと」と思われがちですが、実はそうではありません。

今回は、引き出し線の形状や用途に合わせて作図方法をご紹介します。

引き出し線の種類

AutoCADで引き出し線の作図で使用できるコマンドは三つあります。

  1. 引出線(LEADER)
  2. クイック引出線(QLEADER)
  3. マルチ引出線(MLEADER)

引出線(LEADER)とクイック引出線(QLEADER)は、古くからあるコマンドで、既定のリボンにはアイコンがありません。コマンドラインから直接入力すると動きます。マルチ引出線(MLEADER)は、既定のリボンに配置されている比較的新しいコマンドです。

前述の二つのコマンドとマルチ引出線(MLEADER)の一番の違いは、設定が寸法スタイルに制御されるかどうかです。引出線(LEADER)/クイック引出線(QLEADER)を使用して作図した場合、矢印の形状、矢印のサイズ、文字スタイル、尺度はカレント(現在の)の寸法スタイルに準じます。

一方、マルチ引出線(MLEADER)を使用するには、マルチ引き出し線スタイルの設定が別途必要になります。詳細な設定や引き出し線の形状に合わせて複数のスタイルを作成できる反面、設定箇所も多く、苦手感を持つユーザー様も多いかと思います。

今回は、引出線(LEADER)とクイック引出線(QLEADER)をご紹介したいと思います。これらのコマンドを覚えていただければ、引き出し線の作図が完結するかもしれません。

引出線(LEADER)/クイック引出線(QLEADER)をお勧めするケース

引き出し線の作図が図1~4の用途の場合は、引出線(LEADER)/クイック引出線(QLEADER)をまずはお試しください。

  • 図1:文字に下線付きの引き出し線

  • 図2:引き出し線と幾何公差

  • 図3:寸法スタイルと異なる矢印の引き出し線

  • 図4:スプラインの引き出し線

引出線(LEADER)での作図方法

引出線(LEADER)とクイック引出線(QLEADER)の違いは、設定ダイアログがあるかどうかです。引き出し線に対する文字位置を図1以外にしたい場合は、クイック引出線(QLEADER)で設定する必要があります。

ここでは、より簡単な引出線(LEADER)をメインに説明していきたいと思います。

下線付きの引き出し線を作図する

1.カレント(現在の)寸法スタイルを確認します。今回は1-1をカレント(現在の)寸法スタイルにしています。

図5

2.コマンドラインに直接LEADERと入力し、Enterします。

3.引き出し線の始点をクリックします。

図6

4.図7内の点をクリックします。

図7

5.オプションが注釈になっていることを確認し、Enterします。なっていなければ注釈を選択します。

図8

6.注記の内容を記入し、Enterすると、2行目の注記作成ができます。1行で注記作成を終了する場合は何も文字を入力せずEnterするとコマンドが終了します。図9のように自動で下線が付記されます。

図9

下線付きの引き出し線を修正する

1.修正する引き出し線を選択し、矢先のグリップをドラッグすると引き出し線の始点を変更できます。

図10

2.修正する引き出し線の注記文字を選択し、文字のグリップをドラッグすると引き出し線も一緒に移動します。

図11

3.修正する引き出し線の注記文字をダブルクリックします。内容を修正すると文字の数に合わせて下線の長さが自動で修正されます。

図12

引き出し線と幾何公差を作図する

1.カレント(現在の)寸法スタイルを確認します。

2.コマンドラインに直接LEADERと入力し、Enterします。

3.引き出し線の始点を選択後、直交モードを使用し、折れ点を必要なだけクリックします。

図13

4.オプションが注釈になっていることを確認し、Enterします。なっていなければ注釈を選択します。

図14

5.コマンドラインが図15の状態になっていることを確認し、Enterでオプションを実行します。

図15

6.オプションの幾何公差を選択します。

図16

7.幾何公差ダイアログが開きます。必要な内容を入力しOKします。

図17

8.図18のように作成されます。幾何公差の内容はダブルクリックで編集できます。

図18

引き出し線の長さ・位置の修正はグリップではうまくできません。ストレッチコマンドを使用してください。

図19

寸法スタイルと異なる矢印の引き出し線を作図する

1.コマンドラインに直接LEADERと入力し、Enterします。

2.引き出し線の始点を選択後、次の点をクリックします。

図20

3.オプションが注釈になっていることを確認し、Enterします。なっていなければ注釈を選択します。

図21

4.コマンドラインが図22の状態になっていることを確認し、Enterでオプションを実行します。

図22

5.オプションの指定なしを選択します。

図23

6.引き出し線のみが作成され、コマンドが終了します。

7.プロパティパレットを使用し、矢印を変更します。

図24

オプションの幾何公差を使用して垂直方向にデータムを配置すると、図25のようになります。注釈タブ/寸法記入パレット/幾何公差で別途データムのみ作成してください。水平方向の場合はオプションでも作成できます。

図25

スプラインの引き出し線を作図する

1.コマンドラインに直接LEADERと入力し、Enterします。

2.引き出し線の始点を選択後、次の点をクリックします。(スプラインの通過点)

図26

3.オプションの形式を選択します。

図27

4.スプラインを選択します。

図28

5.スプラインの通過点をクリックします。

図29

6.オプションの指定なしで図30のように作成できます。

図30

尺度について

引出線(LEADER)とクイック引出線(QLEADER)の作成時の尺度は、カレント(現在の)の寸法スタイルに準じます。ここが一番のお勧めポイントです。

図31

クイック引出線(QLEADER)を使う場合はどんなとき?

クイック引出線(QLEADER)では、設定ダイアログを使用することができます。引出線(LEADER)ではコマンドラインの操作で行っていた内容をダイアログで設定します。この点については大きな違いはありません。

引出線(LEADER)では注記文字を作成すると、必ず文字の下に下線が付記されます。それ以外のアタッチ位置にしたい場合はクイック引出線(QLEADER)を使用してください。

1.コマンドラインに直接QLEADERと入力し、Enterします。

2.オプションの設定を選択します。

図32

3.設定ダイアログが開きます。アタッチ位置のタブに切り替えます。

図33

  • * 注記文字に下線を付記したい場合は、最終行に下線のチェックが必要になります。ダイアログの設定はファイル単位になりますのでご注意ください。

次回は、知っておきたいマルチ引き出し線の作成方法についてご案内したいと思います。

AutoCAD マルチ引出線(MLEADER)の作成方法