AutoCAD マルチ引出線(MLEADER)の作成方法
2023年10月 4日
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これだけは知っておきたい寸法作成のヒント Vol.6
前回の記事では引出線(LEADER)・クイック引出線(QLEADER)の作図方法と使用メリットをお伝えしましたが、マルチ引出線(MLEADER)を使用した方が作図の効率が断然アップする場合があります。例えば「複数のスタイルを設定したい」「引き出し線の終点にブロックを配置して活用したい」「引き出し線の追加や整列をしたい」などが挙げられると思います。
今回はマルチ引出線(MLEADER)のスタイルの設定方法、作図方法、修正方法についてご紹介します。
マルチ引出線スタイルの設定
スタイルを何も設定していないファイルでマルチ引出線(MLEADER)を実行すると、図1のような引き出し線が作成されてしまいます。これは既定のスタイルStandardが使用されるからです。
図1
マルチ引出線(MLEADER)を使用するには、マルチ引出線スタイルの設定が必須です。今回は図2~5の四つのマルチ引出線スタイルを設定したいと思います。
図2:文字に下線付きの引き出し線を設定する
図3:面取り指示用引き出し線を設定する
図4:引き出し線のみを設定する
図5:終点にブロック付きの引き出し線を設定する
文字に下線付きの引き出し線を設定する
1.注釈タブ/引き出し線パネル/マルチ引出線スタイル管理を実行します。
図6
2.ベースとなるスタイルを選択し、新規作成を実行します。今回はStandardを選択します。
図7
3.スタイル名を入力し、続けるを実行します。
図8
4.引き出し線の形式タブの設定をします。
図9
5.引き出し線の構造タブの設定をします。
図10
6.内容タブの設定をします。
図11
7.OKでダイアログを閉じます。
面取り指示用引き出し線を設定する
1.注釈タブ/引き出し線パネル/マルチ引出線スタイル管理を実行します。
図12
2.ベースとなるスタイルを選択し、新規作成を実行します。今回は文字付引出を選択します。
図13
3.スタイル名を入力し、続けるを実行します。今回はC面取用引出とします。
図14
4.引き出し線の形式タブの設定をします。文字付引き出し線と同様のため、既に設定済とします。
5.引き出し線の構造タブの設定をします。文字付引き出し線と同様のため、既に設定済とします。
6.内容タブの設定をします。文字付引き出し線と同様のため、既に設定済とします。
図15
7.OKでダイアログを閉じます。
引き出し線のみを設定する
1.注釈タブ/引き出し線パネル/マルチ引出線スタイル管理を実行します。
図16
2.ベースとなるスタイルを選択し、新規作成を実行します。今回は文字付引出を選択します。
図17
3.スタイル名を入力し、続けるを実行します。今回は文字無引出とします。
図18
4.引き出し線の形式タブの設定をします。文字付引き出し線と異なる箇所を設定します。
図19
5.引き出し線の構造タブの設定をします。文字付引き出し線と同様のため、既に設定済とします。
6.内容タブの設定をします。
図20
7.OKでダイアログを閉じます。
終点にブロック付の引き出し線を作図する
事前にブロックを準備しておきます。今回は「ba」という名前で属性付きブロックを図21のように作成してあります。
図21
1.注釈タブ/引き出し線パネル/マルチ引出線スタイル管理を実行します。
図22
2.ベースとなるスタイルを選択し、新規作成を実行します。今回は文字付引出を選択します。
図23
3.スタイル名を入力し、続けるを実行します。今回はバルーンとします。
図24
4.引き出し線の形式タブの設定をします。文字付引き出し線と同様のため、既に設定済とします。
5.引き出し線の構造タブの設定をします。文字付引き出し線と同様のため、既に設定済とします。
6.内容タブの設定をします。
図25
7.OKでダイアログを閉じます。
マルチ引出線(MLEADER)を作成する
1.注釈タブ/引き出し線パネル/使用するスタイルをリストから選択します。
図26
2.注釈タブ/引き出し線パネル/マルチ引出線(MLEADER)を実行します。
図27
3.引き出し線の始点、次の点を指示します。矢印の始点から始まらない場合は、引き出し線矢印を指定をクリックしてください。
図28
4.引き出し線の終点で終了を選択
図29
5.スタイル文字無引出はコマンドが終了します。スタイル文字付引出・C面取用引出は記入文字を入力し、マルチテキストエディタを閉じるとコマンドが終了します。スタイルバルーンは、属性編集のダイアログで値を入力し、OKするとコマンドが終了します。
マルチ引出線を修正する
グリップを使用する
グリップを使用すると、次のような修正ができます(グリップをクリック)。
図30:矢印の移動
図31:終点の移動
グリップを使用すると、次のような修正ができます(グリップに触れるだけ)。
図32:引き出し線を追加
図33:引き出し線を除去
図34:頂点を追加
図35:頂点を除去
グループ化する
ブロックを含むマルチ引出線を一つのグループに編集します。
1.注釈タブ/引き出し線パネル/グループ化(MLEADERCOLLECT)を実行します。
図36
2.基準になるマルチ引出線を最初に選択し、その後配置準にグループ化するマルチ引出線を選択し、配置位置をクリックします。
図37
引き出し線を再度表示したい場合は、ブロックを選択し、右クリックのメニュー/引き出し線を追加を実行します。図38の状態にする場合は、矢印の先端位置をクリックし、Enterを2回でコマンドを終了します。
図38
引き出し線を位置合わせする
複数のマルチ引出線の位置合わせをします。
1.注釈タブ/引き出し線パネル/両端揃え(MLEADERALIGN)を実行します。
図39
2.位置合わせをしたいマルチ引出線を選択します。
図40
3.位置合わせの基準になるマルチ引出線を選択します。
図41
4.直交モードなどで方向を制御し、再配置位置でクリックします。
図42:水平方向に再配置
図43:垂直方向に再配置
位置合わせに基準となるマルチ引出線を選択する前にオプションを使用すると、より詳細な設定ができます。
図44
現在の間隔を使用が既定値となっています。
図45:均等割り付け
図46:セグメントに平行
図47:間隔を指定
マルチテキストをマルチ引出線に変換する
既存のマルチテキストに引き出し線を付与することができます。
1.スタイルを文字付引出にします。
図48
2.注釈タブ/引き出し線パネル/マルチ引出線(MLEADER)を実行します。
図49
3.オプションの内容を指定を選択し、マルチテキストを選択を選択します。
図50
4.既存のマルチテキストを選択し、矢印位置をクリックし、Enterでコマンドを終了します。
図51
注意事項
矢印を始点に引き出し線を作成したい場合は、引き出し線矢印を指定をクリックしてください。
図52
AutoCADで寸法/引き出し線を効率よく作図するには? の記事は今回で最終回です。皆様の作業効率アップのヒントになれば幸いです。