CAD利用技術者試験とは? 概要と難易度・合格率・試験範囲を解説

2024年12月12日

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CAD利用技術者試験は、CADを活用する技術者の能力を証明する民間資格です。「2次元CAD利用技術者試験」「3次元CAD利用技術者試験」の2種類があり、それぞれ3グレードに分かれています。

本記事ではそれぞれの試験範囲や難易度、スケジュールなどを解説します。

CAD利用技術者試験の概要

CAD利用技術者試験は、CADを活用する技術者の能力を証明する民間資格です。「2次元CAD利用技術者試験」「3次元CAD利用技術者試験」の2種類があり、それぞれ3グレードに分かれています。

2次元CAD利用技術者試験

  • 基礎
  • 2級
  • 1級(建築)、1級(機械)、1級(トレース)

3次元CAD利用技術者試験

  • 2級
  • 準1級
  • 1級

具体的な試験内容や難易度・合格率については次の章で解説します。

CAD利用技術者試験の試験内容や難易度・合格率

CAD利用技術者試験の試験内容や難易度・合格率をそれぞれ解説します。

  • 2次元CAD利用技術者試験基礎
  • 2次元CAD利用技術者試験2級
  • 2次元CAD利用技術者試験1級
  • 3次元CAD利用技術者試験2級
  • 3次元CAD利用技術者試験準1級
  • 3次元CAD利用技術者試験1級

2次元CAD利用技術者試験基礎

2次元CAD利用技術者試験基礎は、CADの基本的な知識を問われる試験です。CADにはじめて触れた初心者や、CADを学んでいる学生におすすめの資格で、受験資格に制限はありません。

受験料は4,000円+消費税です。

試験範囲
CADシステムの知識と利用CADシステムの概要と機能、CADシステムの基本機能、CADの作図データ
CADシステムのプラットフォームCADシステムとハードウェア、CADシステムとソフトウェア、ネットワークの知識、情報セキュリティと知的財産、コンピューターの操作、OSの基本操作
製図の知識製図一般、製図の原理と表現方法、製図における図形の表現方法
図形三角形、四角形と多角形、円、三平方の定理、三角関数、立体図形

2024年度 2次元CAD利用技術者試験 概要(CAD利用技術者試験)

2次元CAD利用技術者試験2級

2次元CAD利用技術者試験2級は、CADについて半年以上学んでいる中級者や、CADを利用する仕事に従事している方が対象となる試験です。受験資格に制限はなく、「CADシステム・製図の各分野で5割以上、総合で7割以上」の正答率があると合格となります。

受験料は5,500円+消費税です。

試験範囲
CADシステムCADシステムの概要と機能、CADシステムの基本機能、CADの作図データ、CADシステムとハードウェア、CADシステムとソフトウェア、ネットワークの知識、情報セキュリティと知的財産、CADシステムの運用・管理と課題、3次元CADの基礎知識
製図製図一般、製図の原理と表現方法、製図における図形の表現方法

2024年度 2次元CAD利用技術者試験 概要(CAD利用技術者試験)

2次元CAD利用技術者試験1級

2次元CAD利用技術者試験1級は機械・建築・トレースの3種類が準備されています。機械・建築はそれぞれの分野の設計者やオペレーターを目指す人におすすめの試験で、トレースはCADオペレーターを目指す人におすすめの試験です。1級は受験資格があり、2級の資格を持っている有資格者か、過去に1級に合格した人のみが受けられます。「実技試験・筆記試験が各5割以上、総合が7割以上」の正答率で合格となります。

受験料は1万5,000円+消費税ですが、過去に1級に合格した人は1万円+消費税となります。

試験範囲(機械)
機構部品の作図リンク構造、カム構造
適切な数値(カタログ、要目表)などからの作図、機械要素部品
投影図からの作図第三角法
機械製図の知識設計技術者に要求される資質、機械製図の基礎、材料、サイズ交差<寸法公差>とはめあい、幾何公差、表面性状、加工方法、機械要素
試験範囲(建築)
RC図平面図、断面図、立面図、矩形図、部分図、展開図
木造平面図、断面図、立面図、部分図、展開図
建築製図の基礎知識建築業務の基本知識、建築製図、建築の主な構造、建築の主な材料と部材、モデュール、建築法規、建築業務と建築図面の役割
建築生産の電子情報情報の伝達と共有、建築CALS / EC、3次元CAD、コンピューターによるシミュレーション
試験範囲(トレース)
編集・レイヤー設定能力図形の編集、コマンド機能、レイヤー設定
トレース能力図面のトレース
投影能力投影関係と形状理解
製図の知識図面の名称、線の種類と用途、寸法補助記号、図記号(建築、機械、土木、電気)

2024年度 2次元CAD利用技術者試験 概要(CAD利用技術者試験)

3次元CAD利用技術者試験2級

3次元CAD利用技術者試験2級は、3次元CADの基本的な知識が問われる試験です。3次元CADシステムを利用した機械系・製造系に業務に従事することを目指す方におすすめの資格です。受験資格に制限はありません。準1級を受験するには、3次元CAD利用技術者試験2級を取得する必要があります。

受験料は7,000円+消費税となっており、試験時間は60分、CBTシステムによる多肢選択方式が採用されています。各分野5割以上、および総合7割以上の正解で合格となります。

試験範囲
3次元CADの概念3次元CADとは、3次元CADの活用、3次元CADの歴史、3次元モデルのデータ構造、3次元モデルの構成、表示技術
3次元CADの機能と実用的モデリング手法3次元CADによる設計、モデリング機能、実用化の事例、複合化したコマンド、検査・計測・解析の方法、モデリング手法、アセンブリモデリング、実用上の注意点
3次元CADデータの管理と周辺知識プロジェクト管理、PDM、コンピューターシステムの構成、CADとネットワーク知識、情報セキュリティ
3次元CADデータの活用CAE、CAM、CAT、CG、3Dプリンター、DMU、コラボレーション、3次元CADデータの応用例

2024年度 3次元CAD利用技術者試験 概要(CAD利用技術者試験)

3次元CAD利用技術者試験準1級

3次元CAD利用技術者試験準1級は、3次元CADの基本的な知識が問われる試験です。2級と同様に3次元CADシステムを利用した機械系・製造系に業務に従事することを目指す方におすすめの資格です。

受験料は1万円+消費税となっており、試験時間は120分です。受験ではCADソフトの入ったノートPCを持ち込む必要がありますので、忘れないように注意してください。各分野5割以上、および総合7割以上の正解で合格となります。

試験範囲
CADリテラシー、形状認識能力文章による手順の指示に従い、パーツモデルを作成する問題。第三者との口頭によるやり取りや手書き図面情報の伝達をイメージし、的確にコマンドを使用できるかを問う。
2次元図面からパーツモデルを作成する問題。2次元図面から3次元空間上の形状認識が正確にできるかを問う
アセンブリモデリング能力パーツモデルを作成し、それらを組み立ててアセンブリモデルを作成する問題。パーツモデルを正しく組み立てることができるかを問う
2次元図面からのパーツモデリング能力2次元図面からパーツモデルを作成する問題。実務の基本的な能力を総合的に問う

2024年度 3次元CAD利用技術者試験 概要(CAD利用技術者試験)

3次元CAD利用技術者試験1級

3次元CAD利用技術者試験1級は、3次元CADの基本的な知識が問われる試験です。3次元CADシステムを利用した機械系・製造系に業務に従事して半年以上の実務経験がある人、1年以上の就学経験がある人におすすめの資格です。

受験料は1万5,000円+消費税となっており、試験時間は120分です。受験ではCADソフトの入ったノートPCを持ち込む必要がありますので、忘れないように注意してください。各分野5割以上、および総合7割以上の正解で合格となります。

試験範囲
CADリテラシー、形状認識能力文章による手順の指示に従い、パーツモデルを作成する問題。第三者との口頭によるやり取りや手書き図面情報の伝達をイメージし、的確にコマンドを使用できるかを問う。
2次元図面からパーツモデルを作成する問題。2次元図面から3次元空間上の形状認識が正確にできるかを問う
アセンブリモデリング能力パーツモデルを作成し、それらを組み立ててアセンブリモデルを作成する問題。パーツモデルを正しく組み立てることができるかを問う
2次元図面からのパーツモデリング能力2次元図面からパーツモデルを作成する問題。実務の基本的な能力を総合的に問う

2024年度 3次元CAD利用技術者試験 概要(CAD利用技術者試験)

CAD利用技術者試験のスケジュール

CAD利用技術者試験のスケジュールについてそれぞれ解説します。

  • 2次元CAD利用技術者試験基礎
  • 2次元CAD利用技術者試験2級
  • 2次元CAD利用技術者試験1級
  • 3次元CAD利用技術者試験2級
  • 3次元CAD利用技術者試験準1級
  • 3次元CAD利用技術者試験1級

2次元CAD利用技術者試験基礎

2次元CAD利用技術者試験基礎では、IBTシステムが採用されています。そのため、PCがある場所なら自宅でも受験できます。試験に落ちてしまった場合には、再受験の申し込みを受験日翌日から申し込み可能です。

2次元CAD利用技術者試験2級

2次元CAD利用技術者試験2級では、CBTシステムが採用されています。そのため、全国にある専用のCBT試験会場に行けばいつでも受験できます。試験に落ちてしまった場合には、再受験の申し込みを受験日翌日から次の予約が3日以降であれば申し込み可能です。

2次元CAD利用技術者試験1級

2次元CAD利用技術者試験1級の試験日は、毎年6月中旬、11月上旬です。申込期間は、毎年4月上旬~5月上旬、8月中旬~9月中旬となっているため、忘れないようにカレンダーなどに登録しておいてくださいね。

なお、合格発表は毎年8月中旬、1月中旬です。

3次元CAD利用技術者試験2級

3次元CAD利用技術者試験2級では、CBTシステムが採用されています。そのため、全国にある専用のCBT試験会場に行けばいつでも受験できます。試験に落ちてしまった場合には、再受験の申し込みを受験日翌日から次の予約が3日以降であれば申し込み可能です。

3次元CAD利用技術者試験準1級

3次元CAD利用技術者試験準1級の試験日は、毎年7月中旬、12月上旬です。申込期間は、毎年5月上旬~6月上旬、10月上旬~10月下旬となっているため、忘れないようにカレンダーなどに登録しておいてくださいね。

なお、合格発表は毎年8月中旬、1月中旬です。

3次元CAD利用技術者試験1級

3次元CAD利用技術者試験準1級の試験日は、毎年7月中旬、12月上旬です。申込期間は、毎年5月上旬~6月上旬、10月上旬~10月下旬となっているため、忘れないようにカレンダーなどに登録しておいてくださいね。

なお、合格発表は毎年8月中旬、1月中旬です。

CAD利用技術者試験の勉強方法

CAD利用技術者試験の勉強方法は以下のとおりです。

  • 大学でCADに関する知識を体系的に学ぶ
  • 職業訓練に通って学ぶ
  • CAD専門スクールに通って学ぶ

それぞれについて解説します。

大学でCADに関する知識を体系的に学ぶ

工学部や建築学部に通っている場合には、CADの操作知識だけでなく、設計理論や製図規格など体系的な知識を学べます。大学の授業では製図の基礎から2次元CAD、3次元CADを段階的に学べる環境が整っており、研究室に所属すれば、さらに専門的な知識を身につけることができます。

職業訓練に通って学ぶ

職業訓練校では、実務を意識した実践的なCADスキルを身につけることができます。3カ月~1年程度のコースが用意されており、CADオペレーターとして活躍するために必要なスキルを学びます。少人数制をとっているところがほとんどのため、質問もしやすい環境です。

CAD専門スクールに通って学ぶ

CADのスクールに通ってCADの知識を身につけることもできます。CADのスクールでは、個人の目的やレベルに合わせて自由にコースを選ぶことができるのが魅力です。平日夜間や土日開講など、仕事と学業を両立しやすいコースも多く用意されています。費用は、ほか二つと比較して高額になりやすいですが、社会人を続けながらCADについて学びたい人はCADスクールを検討するのがおすすめです。

まとめ

本記事ではCAD利用技術者試験の概要とグレードごとの試験範囲や難易度、スケジュールなどを解説しました。2次元CAD利用技術者試験基礎ではIBTシステムが採用されているため、思い立った日に自宅で受験できます。まずは、2次元CAD利用技術者試験基礎を受験してみてはいかがでしょうか。