AutoCAD「ワークスペース」を使って自分仕様の環境に
2025年 2月10日
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自分仕様にカスタマイズする Vol.4
AutoCADをご使用の皆さま、またこれからAutoCADを使いたいと思っている皆さま、前回の記事では、「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを使用して、右クリックで表示されるメニュー、ダブルクリックアクションでの起動コマンドなど、マウス操作に関連するカスタマイズ方法、またキーボードショートカットの確認方法などをご紹介しました。
AutoCAD「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」を使って自分仕様の環境に
今回は、「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを使用して、自分仕様のワークスペースのカスタマイズ方法と転送方法についてご案内します。
ワークスペースに保存されるもの
ワークスペースとは、言い換えると画面まわりのことです。メニュー・リボン・クイックアクセスツールバー・ツールバー・パレット類の表示/非表示、配置位置を保存できます。もちろん配置するそれぞれの項目、例えばツールバーをカスタマイズして配置できます。
既定値のワークスペース
AutoCADには、既定値のワークスペースが三つ用意されています。アプリケーションステータスバー/ワークスペースの切り替えから確認できます。

- 製図と注釈:2D作図用のワークスペース
- 3D基本:3D簡易モデリング用のワークスペース
- 3Dモデリング:3Dモデリング用ワークスペース
既定値は製図と注釈です。ほかのワークスペースに切り替えるとリボン・パレットの構成が変更され、配置されるコマンドが違うことが確認できます。
ワークスペースをカスタマイズする
1.ワークスペースの複製
今回は1からワークスペースを作成するのではなく、既定値のワークスペースを複製し、カスタマイズする方法をご案内します。
- 「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを開きます(注1)。
- 「製図と注釈」を選択し、右クリックのメニューから「複製」を選択します。
- (注1)直接コマンドラインにCUIと入力し、Enterでも実行できます。

名前を変更します。「コピー~製図と注釈1」を選択し、右クリックのメニューから「名前変更」を選択し、「test」とします。

「test」を選択し、右クリックのメニューから「現在に設定」を選択し、適用/OKでダイアログを閉じます。下図のようにワークスペースが切り替わっていることが確認できます。

2.メニューバーの表示
クイックアクセスツールバーの▼ボタンを押し、「メニューバーを表示」を実行します。

メニューバーが下図のように表示されました。

3.コマンドラインの配置変更
既定値でコマンドラインは浮動状態になっていますが、画面内に埋め込みます。コマンドラインの左の箇所をドラッグして一度上に移動後、画面の下でドロップします。

4.プロパティパレットの配置

5.ワークスペースの保存
いったん、ここまでの設定した状態をワークスペースに保存します。「現在に名前を付けて保存」を実行します。

リストより「test」を選択し、再保存します。

6.ツールバーの表示
「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを開きます。ワークスペース「test」を選択し、右側に表示された「ワークスペースをカスタマイズ」のボタンを押します。

左のツールバーの項目を展開し、「寸法記入」と「オブジェクトスナップ」にチェックをします。チェックすると、右側の項目にも二つのツールバーが追加されます。

完了ボタンを押し、適用・OKでダイアログを閉じます。

表示したツールバーの配置を整えます。

7.ワークスペース「test」を再保存
保存しないとツールバーの配置位置が保存されません。
ワークスペースの復旧方法
ワークスペースから配置したツールバーやコマンドラインを非表示にするなど、ワークスペースの状態が変更された場合、ワークスペースを保存時の状態に復旧できます。下図はツールバー、コマンドライン、プロパティパレットを非表示にした状態です。

いったんほかのワークスペースに切り替えます。その後再度「test」に切り替えます。

下図のようにワークスペースが復旧できます。

ワークスペースの転送方法
保存したワークスペースは、ほかの環境に渡したり、もらったりすることができます。
- 転送(書き出し)元の環境で「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを開きます。
- 「転送タブ」を選択します。
- 転送(書き出し)したいワークスペースを選択し、右側のワークスペースの項目の下にドラッグ&ドロップします。

- * ワークスペース以外の項目、例えばダブルクリックアクションなども転送できますが、個別に右側にドラッグ&ドロップする必要があります。
「保存」を実行します。拡張子.cuixで保存します。今回は「test.cuix」とします。

- 転送(読み込み)先の環境で「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを開きます。
- 「転送タブ」を選択します。
- 「カスタマイズファイルを開く」を実行し、test.cuixを選択します。
- 左側のワークスペースの項目の下にドラッグ&ドロップします。
- 「test」(左側)を選択し、右クリックのメニューから「現在に設定」を選択し、適用/OKでダイアログを閉じます。

ツールバーをカスタマイズする
「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを使用し、ツールバーをカスタマイズできます。作成方法は主に二つあります。
- 既存のツールバーを複製し、足りないコマンドを追加・不要なコマンドを除去する方法
- 新規で空のツールバーを作成し、必要なコマンドを追加する方法
1.既存のツールバーを複製
「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを開きます。ツールバーの項目を展開し、複製するツールバーを選択します。右クリックのメニューから「複製」を選択します。今回は「修正」のツールバーを複製します。「コピー~修正」のツールバーが作成されるので名前を「修正_test」に変更します。

「修正_test」のツールバーを展開し、不要なコマンドを除去します。除去は右クリックのメニューで実行します。今回は「部分削除」、「ブレンド曲線」を除去します。

「修正_test」のツールバーに、足りないコマンドを追加します。コマンドの一覧で「位置合わせ」を検索します。ドラッグ&ドロップで「修正_test」のツールバーの必要な箇所に配置します。

適用・OKでダイアログを閉じます。下図のツールバーが作成されます。

2.新規のツールバーを作成
「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを開きます。ツールバーの項目のうえで右クリックし、「新規ツールバー」を実行します。

名前を「test_2」とします。

適用ボタンを押します。画面上に空のツールバー「test_2」が表示されます。

コマンドを検索し、ドラッグ&ドロップでツールバーに追加できます。

また、表示されたほかのツールバーからCtrlを押しながらドラッグ&ドロップでコマンドを追加することもできます。
- * ツールバーから除去したい場合は、「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログ上にドラッグ&ドロップします。
適用・OKでダイアログを閉じます。
いかがですか? 皆さま、「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」ダイアログを使用してワークスペースをカスタマイズする方法をご理解いただけたでしょうか? 今回ご紹介したツールバーだけではなく、リボン・パネルもカスタマイズできます。社内標準のワークスペースをご用意いただき、配布していただければより作業効率がアップすることと思います。
自分仕様にカスタマイズするは、今回の記事で最後となります。