3D CADを導入する場合、パソコンのスペックに気をつける必要があります。
3D CADのデータは2D CADデータよりも重く、特にアセンブリの作業中にスペックが低いノートパソコンを使用すると、形状を正しく表示できなかったり表示に時間がかかったりと、作業効率にかなりの影響が出ることがあります。3D CADをノートパソコンで利用する場合は、スペックの高いものが必要となります。
3D CADにはハイスペックのノートパソコンが必要
3D CADには操作時にストレスを感じないよう、ワークステーションと呼ばれる高いスペックのノートパソコンが必要です。
一般的なノートパソコンと比べるとかなり高価なものですが、ノートパソコンで3D CADを動かすためには導入する必要があるでしょう。
ノートパソコンを選ぶ際には、次の三つのポイントを考慮しておきましょう。
ポイント1.メモリーが16GB以上
3Dデータは2Dデータよりもメモリーを多く使用します。
2D CAD用のノートパソコンでは3D形状を正しく表示するのに時間がかかったり、一つの操作に時間がかかったりと操作効率が低下することがあるため、少しでもメモリー容量が大きいノートパソコンが必要となります。
メモリーは16GB以上、特に32GB以上を推奨しています。
ポイント2.グラフィックボードがQuadroのものを選ぶ
ノートパソコンで3Dデータを鮮明に表示するためには、搭載されているグラフィックボードがCADと相性の良いものである必要があります。相性の悪いグラフィックボードを使うと、作業効率が落ちるどころかCAD自体が正常に動作しません。
3D CADでは、OpenGLというAPIを採用しています。そのため、グラフィックボードも同じOpenGLを採用したものでなければ動作が非常に遅くなり、作業効率が低下してしまいます。
グラフィックボード名 | ソフト | 相性 | 特徴 |
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Quadro | CAD | ◎ | CADと同じ3D表見のOpenGLを採用 |
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FirePro | CAD | ○ | OpenGLを採用しているので、相性自体は悪くない ただし、多くのCADメーカーでは推奨されていない |
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GeForce | ゲーム | × | ゲーム用でOpenGLを使っていないので、相性が悪い |
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Redeon | ゲーム | × | ゲーム用でOpenGLを使っていないので、相性が悪い |
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ポイント3.液晶ディスプレイのサイズ
ディスプレイサイズは15インチ以上がお薦めです。複数ファイルを同時に開く場合は、外付けモニターを活用するのもよいでしょう。
2D CADでも同様に、複数ファイルを並べて表示し形状の比較やほかのデータを参照、CAD画面の分割表示などを行う際にはモニターを拡張できるようにしておくと便利です。
また、外付けモニターを利用する場合は、解像度は1,920×1,080px以上をお薦めします。
3D CAD向けお薦めのノートパソコン
3D CAD用としてのスペックを満たしているお薦めのノート型ワークステーションをご紹介します。
全て製造業向け3D CADマシンとしてはもちろんですが、BIM / CIMに対応できるモデルについては建築系・土木系の3D CADマシンとしてもご活用いただけます。
HP ZBook Power 16インチ G11 Mobile Workstation スタンダードモデル(AMD)
OS | Windows 11 Pro 日本語版 |
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プロセッサー | AMD Ryzen 7 PRO 8845HS プロセッサー (最大周波数 5.1GHz、基本周波数3.8GHz、コア数8個) |
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メモリー | 16GB(16GBx1)DDR5 |
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グラフィックス | AMD Radeon グラフィックス(APUに内蔵)およびNVIDIA RTX 1000 Ada 6GB |
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サイズ | W 359.4×D 233.9×H 22.8mm |
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重量 | 標準構成時:約2kg |
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価格 | 354,000円(税別) |
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優れたコストパフォーマンスでプロ仕様のパワーを実現。強化されたコラボレーション機能とプロ向けグレードのコンポーネントを備える本モデルは、CAD、3Dでのコンセプト作成、モデリング、レンダリングに最適。
製品詳細
HP ZBook Power 16インチ G11 Mobile Workstation スタンダード Plusモデル(AMD)
OS | Windows 11 Pro 日本語版 |
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プロセッサー | AMD Ryzen 7 PRO 8845HS プロセッサー (最大周波数 5.1GHz、基本周波数3.8GHz、コア数8個) |
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メモリー | 32GB(32GBx1)DDR5 |
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グラフィックス | AMD Radeon グラフィックス(APUに内蔵)およびNVIDIA RTX 1000 Ada 6GB |
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サイズ | W 359.4×D 233.9×H 22.8mm |
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重量 | 標準構成時:約2kg |
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価格 | 376,000円(税別) |
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優れたコストパフォーマンスでプロ仕様のパワーを実現。32GB(32GBx1)DDR5メモリー、1TB M.2 SSDストレージにアップグレード版。
製品詳細
HP ZBook Power 16インチ G11 Mobile Workstation スタンダード Plusモデル(Intel)
OS | Windows 11 Pro |
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プロセッサー | Intel Core Ultra 7 プロセッサー 155H (最大周波数 4.8GHz、Performance-cores 6個、Efficient-cores 8個、低消費電力 Efficient-core 2個) |
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メモリー | 32GB(32GBx1)DDR5-5600 |
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グラフィックス | Intel Iris Xe グラフィックスおよびNVIDIA RTX 1000 Ada 6GB |
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サイズ | W 359.4×D 251×H 22.9mm |
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重量 | 標準構成時:約2.1kg |
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価格 | 475,000円(税別) |
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AIエンジン内蔵プロセッサー、高性能グラフィックス搭載。進化したモバイルワークステーション。
製品詳細
まとめ:3D CAD用のパソコンはスペックが重要
ノートパソコンでの3D CAD導入を行う場合には、次の3点に気をつけてパソコンの選定をご検討ください。
- メモリーが16GB以上であること
- グラフィックボードはNVIDIAのQuadroを搭載していること
- ディスプレイサイズは15インチ以上であること
3D CADのデータをストレスを感じることなく表示し、作業効率も低下させることなく使うのであれば、使用するノートパソコンのスペックは非常に重要です。
今回の記事を参考にしていただき、ご利用予定のCAD製品とパソコンのスペックを見比べてみてはいかがでしょうか。
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