3D CADの導入&選び方のポイント! 目的を明確化しよう

2019年 3月13日

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2D CADは図面作成ツールですが、3D CADはそれだけにとどまりません。
図面データを利用して作成する関連書類の作成等にも3Dモデルデータを利用して作成できるようになります。

そのため、2D CADよりもQCD:Quality Cost Delivery(品質・費用・納期)の向上を図れる可能性があります。ただし、やみくもに3D CADを導入するのではなく、導入のPOINT・コスト・操作性などを考慮して検討する必要があります。

2D CADと3D CADの違い

まずは2D CADと3D CADの違いについて解説します。
端的にいえば、図面作成が目的か、それ以外にも活用目的があるかによって選ぶポイントが異なります。

2D CAD

2D CADは手描き図面のデータ化です。

さまざまな便利機能を搭載していますが、目的はあくまで図面の作成です。
そのため、利用するのは主に設計部門です。

3D CAD

3D CADでは、図面作成の前に立体形状(3Dモデル)をPC上で作成します。
また、その作成した3Dモデルデータを設計部門以外の方とも共有し、活用することができます。

そのため、設計・生産管理・製造以外にも営業・広報といった部門でも、そのデータを使って広報活動・営業活動ができるのです。
これは製品ができ上がる前に、顧客に製品を売り込むことができるというメリットでもあります。

2D CADだけでは難しい課題?

2D CADだけでは改善が難しいといわれる部分で、以下のようなテーマがあります。

設計変更・モデル変更に即座に対応できない

  • 修正ミス、修正漏れがある
  • 設計に時間がかかる

試作品を作っての検証

  • 試作品製造のためにコストと時間がかかる
  • パターン別の試作品を製造する場合は、さらに時間とコストがかかる

資材調達のロス

  • 発注部材等の集計でミスや手間が発生してしまう

CAEデータ・CAMデータは図面を元に作成

  • 時間と手間がかかる

設計部門からの図面を元に各部門が連携を行うと思いますが3Dモデルデータを活用することによって、より早いタイミングでの共通認識を可能とし、各部門の作業軽減を図ってくれるのが3D CADの存在なのです。

3D CADの選び方と導入のポイント

3D CADを導入する場合、どのようなことを踏まえて選べばよいのでしょうか? ここでは、3D CADの選び方と導入のポイントについて解説します。以下の4点に留意して選定するようにしましょう。

導入目的を明確にする

ただ導入すればよいわけではなく、何を目的として導入するのかをはっきりさせることが大切です。
そうすることで導入する部署・台数が決まり、重要視する機能も見えていきます。

業界や製品に合わせた3D CADの選定

3D CADの中にも種類があり、選定を間違えてしまうと自社では活用できなかったということにもなりかねません。

どの業界で、どのような課題を改善したいかが重要なポイントとなります。製造業であれば当然QCDを意識した業務改善ということになると思いますが、現環境より改善したいポイントを明確にしていく必要があります。

導入チームの編成

3D CADを社内の誰が使うのか、どの部署に導入するのかを決めます。

いきなり3D CADを設計者全員に導入とするとコストが大きくなってしまいます。
そのため、段階的な3D CAD導入を目標にして3D CADのキーマン、もしくはそれに準ずる部署を決めて着手していくプランもあります。

コンサルティングサービスの活用

3D CADは、今まで利用してきた2D CADとは、操作方法も考え方も異なります。

円滑に作業を進めるためには、事前に概要や操作法を習得する必要があります。

スムーズに設計を進めるには外部の力を借りるのもよいでしょう。
CADメーカーや代理店が主催しているセミナーへの参加、メーカー認定の定例スクールを受講するなど、理解を深める方法はさまざまです。

操作指導を行っている販売代理店であれば、導入後のサポートもしっかりと受けられるでしょう。
購入元の代理店がコンサルティングサービスを行っているかどうかも、スムーズな3D CAD導入のポイントになります。

初めての導入はAutodeskがお薦め

初めて3D CADを導入するのであれば、Autodesk社の3D CADがお薦めです。

次の三つの理由があります。

理由1.導入コスト

市場で多く利用されている3D CAD(ミッドレンジの場合)でも、数百万円のコストがかかることもあります。CAE(解析)機能はオプションということも多く、機能を強化しようと思えばその分のコストも必要となっていきます。

しかし、AutodeskならCAEも標準搭載されているパッケージがあり、多機能ながら他社の3D CADほどのコストはかかりません。

理由2. サブスクリプション

多くのCADは永久ライセンス(買取版)です。
このタイプは、インストールするPC台数分のライセンスが必要になることが多く、一方Autodeskは期間ライセンスであるため、CADを利用する「人」にライセンスがひも付きます。

よって同一のCAD利用者であれば、複数のPCにインストールすることが可能です。
イメージとしては会社のデスクトップPCや持ち出し用のノートPC、ご家庭のPCといった内容です。
CAD利用者が異なる場合は追加でのライセンス購入が必要です

定期的にライセンス契約を更新する必要はありますが、初期費用が永久ライセンス(買取版)ほどはかからないというメリットがあります。

理由3.操作性

2D CADに慣れた方は、3D CADの操作に苦労するといわれることがあります。

よって3D CADの習得時には、作業効率が落ちてしまう可能性もあります。

Autodeskの製品には2D CADと3D CADが同梱されているパッケージがあり、状況に合わせて使い慣れたAutoCADで業務を進め、部分ごとに3D CADを利用していくという進め方ができます。

さらに、Autodesk社は積極的にセミナーを開いたり、多くの出版社から操作マニュアルが出版されていたり、操作を習得するための環境が整っています。
ヘルプ機能にはチュートリアルがあり、それを見ながら習得することもできます。

まとめ:3D CADは業務環境に合わせて選びましょう

3D CADを導入する際は、次の3点に留意しましょう。

  • 導入目的や利用用途を明確にする
  • 利用人数とコストを把握する
  • 導入時のサポート環境の有無

何のために導入し、どの部署に配備するのかによって、必要な台数や機能が異なります。

また、導入する場合はより早く体制を整えることが求められ、操作性だけでなく代理店などのサポート体制が整っているかどうかも重要です。

自社の抱えているプロジェクトや環境を見直し、最適な3D CADの導入を目指してみてはいかがでしょうか。